日本に約848万戸!空き家が増えているのはなぜ?放置するとどうなる?

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近年、日本では空き家の増加が問題になっています。空き家をそのまま放置しておくと、近隣住民とのトラブルや害虫が発生することによる衛生環境の悪化、さらに地震や台風などの自然災害による空き家の倒壊や火災など、様々なトラブルに発展しかねません。

 

ではなぜ、人々はこれほどまでリスクを伴う空き家を放置したままなのでしょうか?

 

今回の記事では、空き家が日本にどれくらい放置されているのか、そしてどうして空き家が増加しているのかを解明していくとともに、空き家を放置することによるリスクを詳しく見ていきます。

 

 

日本にある空き家はどれくらいあるの?

 日本にどれくらいの空き家があるのかご存知ですか?まずは、その実態から見ていきましょう。

 

 

日本全体の空き家は、約848万戸!

 近年、日本の空き家は年々増加傾向にあり、総務省統計局が5年に1度発表している「住宅・土地統計調査」によると、2018年時点で約848万戸を超える空き家があると言われています。この数は、全国にある住宅の約13.6%を占めており、日本における空き家の多さが分かります。

 

20年前と比べてみても、1988年には約394万戸であった空き家が2018年には約848万戸と増加しており、約2倍に急増。1年間に約22万戸の空き家が増え続けており、そのスピード感がうかがえます。

 

 

空き家は木造が多い!

 居住する人がいない空き家は、所有者の用途によって大きく4つに分類することができます。1つ目は、売却する意思のある住宅を示す「売却用の空き家」。2つ目は、普段は人が住んでいない、週末や長期休みなどに利用する別荘のような住宅を示す「二次住宅の空き家」。3つ目は、空き家の大部分を占める「賃貸用の住宅」。そして4つ目に、最も問題視されている「その他の住宅」です。

 

4つ目に挙げた「その他の住宅」とは、居住する人がおらず、上記の理由にも満たない住宅のことを指します。これらの住宅は、その多くが木造の一戸建ておよび昭和55年以前に建築され、耐久不足や老朽化など深刻な問題を抱えています。

 

 

空き家が増えている理由とは?

 それでは、どうして空き家は年々増加しているのか、その確信に迫っていきましょう。大きく分けて、3つの要因が原因とされています。

 

 

少子高齢化

 空き家が増加している要因のひとつに、「少子高齢化」が挙げられます。空き家問題以上に社会的問題になっている「少子高齢化」は、2008年に国内の人口がピークを迎えたのを境に悪化。2015年には、75歳以上の人口が0〜14歳の人口を上回り、本格的な人口減少社会へと歩みを進めています。

 

この「少子高齢化」の影響で、もともと居住していた高齢者が亡くなった際に相続放棄され、空き家が増加したと考えられています。今後も悪化の一途をだどる「少子高齢化」により、空き家は増加していくでしょう。

 

 

税金の緩和

 日本の住宅には、法的制度が備わっています。「住宅用の特例」と呼ばれ、住宅用地に対する「固定資産税」が最大1/6、「都市計画税」が最大1/3まで減額されるというもの。

 

そもそも「固定資産税」とは、土地と住宅を所有する人が課税対象となり、「都市計画税」とは、市街化区域内に土地や住宅を所有している人が課税対象となる税金ことです。

 

これらの税金はつまり、土地や住宅を所有している限り払い続けなければならない義務であり、所有者に負担を及ぼします。しかし、法的制度が備わっていることで、減額が適用される場合があり、これにより空き家がそのまま放置され続けるという事態が発生するのです。


 

新築住宅の増加

新築住宅が増加しているのも、空き家が増え続ける要因のひとつです。結婚や出産などの人生の転機とされる場面で、自分たちだけの家を購入することを考える人が多いのも事実ですよね。

 

実際に、国土交通省が発表する「建築着工統計調査報告書」でも毎年約80〜100万戸の新築住宅が建設されています。この数は、全国の世帯の約2%が新しい住宅に入居していることを表しており、日本人がいかに新しい住宅にこだわっているのかが分かります。

 

もともとあった住宅ではなく、新しく建築する住宅に魅力を感じる人が多いため、空き家などのまだ人が住める家が放置され続けるのです。

 

 

空き家を放置するとどんなリスクがある?

 では、増加の一途をたどる空き家を放置し続けておくと、どのようなリスクがあるのでしょうか?大きく分けて、3つの問題を抱えています。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

 

 

倒壊や火災などの自然災害のリスク

 人が住まない空き家は、すぐに廃れていきます。一定期間家を空けていると、帰宅した際に空気のよどみやクモなどの害虫によるクモの巣が発生したことはありませんか?人間が住んでいるからこそ、空気は換気され家が綺麗な状態で保たれているのですが、空き家の場合はそうはいきません。

 

空き家を放置し続けていると、景観はみるみるうちに悪化していき、ボロボロの状態になります。この状態のまま、例えば地震や台風、火事などの自然災害が起こったとしましょう。もともとボロボロだった空き家は、あっという間に倒壊、さらには外壁の落下、火災による大炎上も起こしかねません。空き家は、自然災害のリスクと隣り合わせにあると言っていいでしょう。

 

さらに、漏水や漏電などの空き家の老朽化も懸念されています。それらが新たな災害を起こす可能性も否定できません。

 

 

近隣トラブルのリスク

長年放置された空き家は、日差しでグングン成長する雑草や樹木による景観の悪化は免れません。見た目の印象が悪くなり、その地域のブランドにさえ影響を与えます。

 

また、人が住んでいないことによりネズミや猫などの害獣が住み着く恐れも。誰もいない家の中は、まさに彼らにとって最高の住処。エサを求めて走り回ったり、鳴き声を発したり、害獣の影響で近隣住民との関係はどんどん悪くなるでしょう。

 

 

固定資産税などの税金のリスク

 空き家を放置し続けていると、住宅に適用されている法的制度が利用できなくなる恐れがあります。本来、住宅を所有していると「固定資産税」は従来の最大1/6、「都市計画税」は、最大1/3に減額措置が取られる場合がありますが、2015年に施工された「空家等対策特別措置法」に基づく「特定空家」に指定された場合、この減額措置を受けることができなくなってしまうのです。

 

「特定空家」に指定されると、約6倍の固定資産税がかかる恐れがあり、所有者の負担が急増してしまいます。そうならないためにも、倒壊などの危険性がない状態にするのはもちろん、空き家の内部も外部も綺麗に保ち続ける必要があるでしょう。

 

 

まとめ:空き家を放置しておくとリスクがたくさん

 国内では少子高齢化や新築住宅の建築などの影響により、今後も多くの空き家が発生する恐れがあります。しかし、そのまま放置し続けると自然災害による倒壊や火災、害虫による近隣住民とのトラブル、税金の問題など、様々なリスクに見舞われることになるでしょう。

 

空き家はそのまま放置せず、しっかりと対策を行うことが大事。空き家を管理して綺麗な状態を保ち続けることが、少しでもトラブルを避け、空き家のリスクの減少へと繋がっていきます。


【出典】

総務省統計局「住宅・土地統計調査」2018年度

総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ」

国土交通省「建築着工統計調査報告」2018年度

高祖広季

空き家パスの運営会社、株式会社ウィントランスの代表です。 年間1,500件以上の空き家の相談を受けています。佐賀県出身です。