再建築不可の旗竿地で建て替えはできる?方法や注意点を解説
特に都心部で見かけることが多い、特殊な形状をしている土地が旗竿地です。整形地に比べて坪単価が安く、道路から距離があり人目につきにくいなどの特徴があるため、旗竿地を好んで購入する方もいないわけではありませんが、整形地に比べると人気がないのが実状です。
しかし、再建築できないことを知らないまま旗竿地を購入してしまい、「二世帯住宅に建替えたい」「老朽化が激しいため建替えたい」と希望しても再建築できず頭を抱える人も珍しくありません。ただ、実はいくつかの方法・条件を満たせば再建築することができるのです。
そこで本記事では、再建築不可の旗竿地を建替えるために押さえておくべき方法や注意点を解説していきます。
- 再建築不可の旗竿地はどのようにしてできるのか
- 再建築不可の旗竿地は建替えることができるのか
- 再建築不可の旗竿地を建替える方法や注意点は何か
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旗竿地とは?
(図1)
「旗竿地」とは、道路に接している路地部分が竿のように細長く、奥に旗のような形をしたまとまった敷地がある形状の土地のことをいいます(図1)。
土地は、一般的に、正方形や長方形で平らな土地を「整形地」、三角形の土地や敷地内に高低差のある土地を「不整形地」と呼びます。「旗竿地」は、不整形地の一つです。
竿に付けた旗のような土地の形状をしていることから「旗竿地」と呼ばれますが、「路地状敷地」や「敷地延長区画」などと呼ばれることもあります。
なぜ旗竿地になってしまったの?
旗竿地の多くは、不動産業者が宅地や新築戸建ての分譲販売を行うときに、一般の人が購入しやすい価格や敷地の広さにすることで、土地の売却をしやすくする販売手法によってつくられます。
例えば、もともとは一つの大きな土地を5,000万円で不動産業者が購入します(図2)。
(図2)
その一つの土地に建物を建てて1棟のみの販売をすることもできますが、2区画に分けて2棟建てられるなら、不動産業者は後者を選択し、販売します。
そして、一つの土地を縦に区割りして販売することもできますが、建物を建てる際に、細長い敷地の場合、建物の設計においてあまり良い間取りの建物が建てられない場合もあるのです。
そういった場合に、手前の区画(接道の幅が広い区画)と、奥にまとまった敷地のある区画(旗竿地)に分割して販売するのです。そうすることで、それぞれの区画に合う間取りの建物を建築することができるからです。
また、手前の区画と奥の旗竿地の区画とで、価格に差をつけ、一般の人が購入しやすい価格やニーズに合わせて、それぞれの区画を販売することが一般的です(図3)。
(図3)
旗竿地は再建築不可なの?
「旗竿地」であっても建築基準法に定められている要件を満たせば、再建築は可能です。
ただし、役所との協議が必要なケースや、各行政で定められる条例により、接道の長さや路地状部分の長さによっては、建物の再建築はできるけど、共同住宅や長屋など再建築できない建物の種類がある場合もあります。
これは、一般的な戸建住宅と違い、不特定多数の住民が生活する共同住宅などについては災害時の安全面を考慮して路地状部分の幅の確保や前面道路の幅員などの要件を建築基準法に基づき更に条例で厳しく定めている場合があるからです。
条例の内容については各行政によって異なるため、担当窓口にて確認する必要があります。
再建築するための要件とは
建物を再建築するための要件は、建築基準法で定められている「幅員が4m以上ある建築基準法上の道路に、敷地の間口が2m以上接していなければならない」という接道義務を満たしていなければなりません。引用:法令検索
幅員が4m以上ある建築基準法上の道路とは、道路法による認定を受けた道路で、所謂「公道」を指す道路や、都市計画法による開発行為や土地区画整理事業などによりつくられた幅員4m以上の道路(開発道路など)です。他にもいくつか種類があります。
接道の長さについては、2m以上なければなりません。ただし、接道の長さについては注意が必要です。路地状の入口部分の幅のみ建築基準法上の道路に2m以上接していればいいわけではなく、路地状部分すべての横幅が2m以上ないと接道しているとはいえません。入口部分は2m以上の接道が確保されていても奥にいくにつれて細くなるなど、2m未満の幅になっている部分がある場合は再建築不可物件となります(図4)。
(図4)
旗竿地のメリットとは
一定の要件を満たさなければ再建築が困難な旗竿地ですが、メリットも多く存在します。主なメリットは次の3点です。
- 安く購入できる
- バイクや自転車がたくさん停められる
- 道路まで距離があるから子供も安心
ひとつずつ解説していきます。
安く購入できる
旗竿地は不整形地であるため、近隣にある整形地の土地単価相場より安く購入できることが多いです。
一般的に、正方形や長方形のような整形地の利用しやすい土地の方が、土地単価が高い傾向にあります。一方の旗竿地は、土地を利用するにあたって工夫が必要となるため、敷地面積に対する土地単価が安くなるのです。
バイクや自転車がたくさん停められる
旗竿地には、建物まで続く路地があります。その路地にバイクや自転車をたくさん停められるため、奥の敷地部分を駐車スペースとして最大限に活用できます。
また、竿部分の幅にもよりますが、自動車を縦列駐車することも可能です。奥の敷地部分に庭がある物件なら、自転車やバイクなどを置かずに空いたスペースでガーデニングなどを楽しむこともできます。
道路まで距離があるから子供も安心
旗竿地は道路から奥に敷地があり、玄関から道路までの距離があるため、小さいお子さんが道路に飛び出さないという安心感があります。
また、道路まで距離があるため、通行量や人通りの多い地域であっても、車の騒音がなく静かで、排気ガス、通行人からの視線などを気にせずに暮らせます。
旗竿地のデメリットとは
さまざまなメリットを持つ旗竿地ですが、次のデメリットも存在します。
購入を検討している方や譲り受ける予定がある方は、しっかりと押さえておきましょう。
売るときも安い
旗竿地(不整形地)は、近隣の整形地の価格相場に比べて安く査定されることが多く、安く購入できる反面、売るときも安くなってしまいます。
少しでも高い価格で売却したいのであれば、隣接する土地を購入し整形地として売却し、購入希望者が利用しやすい土地にする、という手段があります。
再建築要件に合っていないと建替えできない
再建築要件である「接道義務(幅4m以上ある道路に敷地の間口が2m以上接していなければならない)」を満たさない限り、建替えができません。
安全面や避難通路確保などの観点から、正方形や長方形の整形地に比べ、建築基準法や各行政の条例による再建築要件の制限が厳しくなります。そのため、対象の旗竿地は再建築ができるのか、再建築できる建物の種類は何かを事前に調べておく必要があります。
日当たりや風通りが悪い
旗竿地は周囲を建物で囲まれていることが多く、前面道路に接する敷地に比べて、日当りや風通しが悪くなりやすいです。
南向きの窓があるリビングでも目の前に建物があれば採光が得られにくいですし、建物に囲まれていると風が通り抜ける隙間がなく旗竿地への風の通りが悪くなり、室内の湿気やカビのが繁殖する原因にもなります。
外構工事費が高くなることがある
旗竿地は整形地と比べると、外構(塀など)が長くなります。
塀や境界が既にある場合は問題ないのですが、新たに造作する場合、外構工事費が高くなりがちです。
再建築不可の旗竿地を建替えるには
再建築不可の旗竿地でも、次に2つの方法であれば再建築可能です。
- 隣接している土地を買い取る
- 但し書き道路なら建築審査会に打診しよう
具体的に解説していきます。
隣接している土地を買い取る
対象となる旗竿地が建築基準法を満たさない場合、隣接している土地(隣接地)を買い取ることで再建築可能になります。
- 隣接している土地をすべて買い取る
- 隣接している土地の一部を買い取る
いずれにおいても、対象の旗竿地の間口が2.0m以上の幅で前面道路に接すれば、「接道義務」を満たすことができ、建替え可能になります。
但し書き道路なら建築審査会に打診しよう
但し書き道路は、建築基準法第43条但し書きに定められた道路です。簡潔に言えば、但し書き道路とは、「接道義務」を満たさない土地であっても、一定の基準に適合すれば特例として建築できる道路を意味します。
但し書き道路の代表例は次のとおりです。
- 敷地(土地)が道路に接する部分の長さが2m未満である
- 敷地(土地)の接する部分が道路でなく、遊歩道である
- 現況の道が、見た目では道路状であるが建築基準法上の道路でない
- 敷地(土地)と道路との間に暗渠(あんきょ)になった水路がある
- 敷地(土地)の周りがすべて他人の敷地(土地)に囲まれている(袋地)
この但し書き道路に該当する場合、建築審査会に打診することで再建築が認められることがあります。打診してみなければ再建築が許可されるかはわかりませんし、再建築の都度打診しなければならないため、永続的に保証されるわけではないという点は押さえておきましょう。
旗竿地で建替えるときの注意点
ここでは、旗竿地で建物を建替えるときの注意点について解説します。主な注意点は次の3点です。
- 好きな間取りの家が建てられない可能性
- 解体や建築の費用が割高になる
- 建築できる建築会社が限られる
詳しく見ていきましょう。
好きな間取りの家が建てられない可能性
旗竿地は、奥まった場所にまとまった敷地があり、周りの土地に囲まれている場合も多いため、前面道路に接する幅が広い整形地に比べて、日当りや風通しが悪くなる傾向があります。
そのため、2階建ての戸建てを検討する際は日当りや風通しを良くするために、普段の生活をするうえで家族が集まるリビングや水廻りを2階に配置することも多いです。
また、路地部分は建物を建てられる部分ではないため、建物は路地部分を除いた、まとまった敷地部分に建築します。そのため、一般的な整形地に比べて、敷地自体の広さは同じ平米数であっても、建築できる建物の延床面積は小さくなります。
このように、旗竿地の性質から、「好きな間取りの家が建てられない」「希望の間取りより部屋数が少ない」場合もある点は、あらかじめ注意しておきましょう。
解体や建築の費用が割高になる
解体費用や建築費用が割高になる主な要因として、重機や大型トラックが道路を自由に利用できない点が挙げられます。
旗竿地は奥まった敷地のため、重機やトラックなどが路地部分を通って敷地の奥まで入れない可能性があります。重機やトラックが使用できない場合、解体や建築工事はほぼ手作業です。その結果、作業に必要な作業員の数が増えることで、人件費が増えることになります。
また、旗竿地は建物と前面道路、建物と電柱の距離が遠くなることが多いため、電気・ガス・飲用水といったライフライン関係の引き込み工事にかかる費用も割高になる可能性が高いです。
建築できる建築会社が限られる
旗竿地の場合、建築できる建物の間取りや広さにも制限があります。そのため、建築会社によっては、メインに扱っている建築資材や得意とする設計の関係で、旗竿地における建築ができないというケースも少なくありません。
建築会社を選択する際は、旗竿地の設計や建築実績があるのか、旗竿地の性質を活かした設計・間取りの提案をしてくれるのか、などを複数の建築会社に確認しましょう。
再建築不可の旗竿地は売却できる?
再建築不可の旗竿地は売却に工夫が必要な不動産です。やみくもに売却しようと努力しても、なかなか買い手は見つからないでしょう。
そこでおすすめしたい方法が次の2つです。
- 買取専門業者に依頼する
- 不動産会社に買い取ってもらう
具体的に見ていきましょう。
買取専門業者に依頼する
旗竿地など、特殊な要素を持つ不動産は、一般的な不動産会社では物件の活用が難しく、買取を断られるケースもあります。その場合は、再建築不可物件や権利関係の複雑な物件の買取を専門としている買取専門業者に依頼する方法がおすすめです。
買取専門業者は活用が難しい物件でも、活用方法の知識と買取るための資金力があります。また、買取専門業者は、自社で直接物件を買い取るため現金化もスムーズです。
不動産会社に買い取ってもらおう
実績や経験が豊富な不動産会社に買い取ってもらう、という方法もおすすめです。
実績のある不動産会社や経験豊富な担当者と二人三脚で進められれば安心できますし、悩みや売却に関するノウハウを教えてもらえることもあります。また、旗竿地の将来的な活用方法・プランなどを見越した価格で買い取ってくれること、旗竿地の購入希望者を抱えていることも少なくありません。
整形地に比べて売却に工夫が必要な旗竿地は、旗竿地を得意とする不動産会社に依頼すれば、スムーズに売買取引を進められるでしょう。
再建築できない旗竿地の売却なら空き家パスへ
再建築不可の旗竿地でも、接道要件を満たせば再建築は可能です。
再建築を可能にする方法には「隣接地の一部を買い取る方法」や「但し書き道路を適用させる」などがありますが、実際には再建築を可能にできるケースは稀です。
旗竿地を所有していて売却を検討している方の中には、「不動産会社に買取できないと言われた」「なかなか売れずに困っている」という方も多いのではないでしょうか?
空き家パスでは、袋地や再建築不可の旗竿地の不動産を多数買取し、再生してきた実績があるため、お困りの不動産でも高く買取ができるかもしれません。
再建築不可の旗竿地の不動産を所有している方は、ぜひ一度ご相談ください。