古い家を売るための方法を解説。節税方法や早く売るコツも
両親が住まなくなった田舎の実家や土地等、中古一戸建てを放置すると、雨漏りや害虫・害獣トラブルが発生する状態になる可能性があります。こういった古屋の処分方法に不安を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは、将来古い家を売る際に覚えておきたい、ポイントを徹底解説します。
- 古い家を売る7つの具体的な方法
- 古い家を売る手順と必要書類
- 古い家を売る際にかかる税金とや利用できる特例
- おすすめの不動産業者の選び方
目次
古い家を売る7つの方法
まずは、古い戸建てをスムーズに売る上で、検討しておきたい方法を7つに分けて紹介します。
そのまま売る
管理が行き届いており、建物に資産価値が残っているような住宅の場合は、そのまま売却にかけるのがよいでしょう。不動産仲介会社にまずは売却の査定を依頼し、信頼のおける業者が見つかれば、媒介契約を締結します。買主が見つかれば売買契約を締結し、無事売却完了です。この方法が最も手間がかからないため、古家を所有している場合は、まずは不動産仲介会社に査定を依頼し、そのままでも売却出来るか相談するのがよいでしょう。
古家付き土地として売る
古家付き土地とは、家屋自体に経済的な価値がほぼない古家が建っている土地のことを指します。売却方法自体は上記の「そのまま売る」と同じですが、一般的には木造住宅の法定耐用年数である築22年を超え、建物自体に価値がない、取り壊し前提の住宅を、広告においては古家付き土地として売りに出されます。こういった土地の場合、買主が解体費用を負担しなければならなくなるため、更地と比較し解体費用分だけ価格が落ちる傾向にあります。
リフォームをしてから売る
売却価格を向上させるために、リフォームやリノベーション等の補修を行ってから販売するというのも手です。リノベーションの中には、壁紙や天井、床板などの表層部分のみを張り替える表層リノベーションというものがあります。表層リノベーションであれば、費用を抑えて見栄えをよくすることができるメリットがあります。一方、リノベーションを実施したとしても、想定通り売却できるかは分かりません。リフォーム費用に対する効果が見込めるものを選定し、実施するようにしましょう。
解体して更地にしてから売る
建物は経年劣化するものです。建物自体の耐震性能・耐火性能が低く、価値がない場合は、売主が解体の手間をかけ、更地にした方が売却できる可能性が高まるケースがあります。
解体費用がいくらになるかは、その構造と解体しやすい立地、延床面積で決まります。最も解体しやすい木造住宅で、1坪あたり5万円ほどかかります。もし延床面積が60坪の場合は、約300万円程度はかかります。立地条件では、工事がしやすい道路に接道していることが大切です。東京都などの都心部では、人件費が高いことから解体費用も割高になる傾向にあります。
更地渡しの約束で売る
更地渡しとは、古家を売主が解体することを約束し、売買契約を締結することを指します。建物を解体するためには、事前調査や、解体工事後の不動産登記簿の建物滅失登記を行う必要があります。また、敷地内の地中に埋没物が見つかった場合には処理もしなければなりません。更地渡しの約束をする場合には、どこまで売主が責任を持ち、どこから買主の責任になるかを明確にしておく必要があります。この責任区分は仲介を行う不動産会社によっても認識が異なる場合があるため、トラブルの元になる可能性があります。更地渡しの約束で販売する場合は、事前によく確認しておきましょう。
不動産会社に買取してもらう
一般市場に売りに出してもダメな場合は、不動産専門の買取業者に物件を買い取ってもらうという選択肢もあります。買取業者の買取りは、市場価格より売買代金が低いというデメリットがあります。しかし、一般市場では売却が困難な物件でも買い取ってもらえる可能性があり、かつ売買契約締結から購入代金の支払いまでが短く、すぐに現金を受け取れるというメリットがあります。不動産を早く現金化して、手元資金が欲しいと言う場合は、有力な選択肢となるでしょう。
空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、地方自治体が運営する空き家の情報提供サービスです。空き家を売りたい人、貸したい人が物件情報を登録し、買いたい人、借りたい人が申し込む仕組みです。少子高齢化社会の日本では年々空き家が増加傾向にあります。古民家等に価値を見出して活用する事例もありますが、物件活用にはマッチングが必要です。活用できない不動産を所有していても、修繕費や固定資産税などの諸経費が発生するばかりです。空き家をバンクに登録することで、買い手が見つかる可能性があります。なお、自治体によっては、空き家バンクでマッチングした建物の改修費用などに補助金制度を設けている場合もあります。
古い家を売る手順と必要な書類
続いては、古い家を売却する流れを把握しましょう。手順と必要書類をお伝えします。
古い家の売却方法を選択する
まずは、前述したどの売却方法を選ぶか決めましょう。その為には、まず中古住宅の売買に実績のある不動産会社複数社に査定を依頼し、自分の住宅の査定価格を認識することが重要です。そのままでも売れる場合は一般市場へ売却を始めましょう。一般市場ではなかなか買い手がつかない場合は、空き家バンクや買取業者による買取りを選択することとなります。
売却から売買契約までの流れ
一般的な売却時の流れを説明します。仲介会社と不動産売買の媒介契約を締結した後、物件の広告が出されます。購入希望者が現れた場合、まずは内覧が行われます。購入の意思が固まった方からは、購入申込書が提出されます。そこで値引きなどの条件交渉が行われる場合もあります。売買条件について合意できれば、売買契約書を締結します。この際、買主から手付金を収受するのが一般的です。あとば、売買契約書で取り決めた日時に、物件の引き渡しと残金の決済を行います。決済が完了すれば、売買は完了です。
不動産売却において必要な書類は主に以下の通りです。
- 土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報
自らが登記名義人であることを証明する為に必要です。 - 実印・印鑑証明書(3ケ月以内に発行したもの)
- 固定資産税・都市計画税納税通知書
購入者との税負担割合の清算のために必要 - 本人確認書類(免許証など)
古い家の引渡しとその後の手続き
売却後に必要な手続きとして、確定申告があります。確定申告は売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告の必要があるのは不動産譲渡により利益が生じた場合のみで、利益が生じない場合には確定申告は原則不要です(ただし、特例を利用したい場合などは確定申告が必要)。前述した譲渡所得の計算を行い、確定申告書や譲渡所得の内訳書、不動産売却に関係する書類を提出しなければなりません。税理士などの専門家の力を借りながら、実施しましょう。
税金と節税方法について
不動産を売却した利益である譲渡所得には、譲渡所得税・住民税という税金が発生します。基本的な情報と利用できる税制優遇制度についてチェックしていきましょう。
売却益と譲渡所得税
不動産譲渡所得(利益)は、不動産の売却して得た金額(譲渡価額)から、その不動産の購入時、売却時に支払った費用を差し引いて算出します。
取得費用とは、不動産を購入した際に支払った様々な費用の合計です。例えば、宅地建物の本体価格や、仲介手数料、土地改良費などが挙げられます。ただし、住宅ローンの事務手数料や修繕費、引っ越し代などは取得費用に含むことはできません。なお、建物の場合は、経年劣化によって価値が下落していると見なされるため、法定耐用年数に応じた減価償却費を差し引いた金額で取得費用を計算します。
譲渡費用とは、売却時に支払う諸費用の合計です。例えば、仲介手数料や契約書の印紙税、家屋の解体を行った場合はその費用や測量費用などが挙げられます。
譲渡所得にかかる税率は、その土地の保有期間に応じて変わります。
給与など、ほかの所得とは別に計算する分離課税制度が採用されているため、譲渡所得に以下の税率を掛けることで税額が算出できます。
(内訳:所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%)
(内訳:所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税率5%)
所有期間は、不動産を売却した年の1月1日時点での経過年数で計算します。なお、不動産を相続したのちに売却した場合は、被相続人(亡くなった方)がその不動産を所有した時期から所有期間を算出します。
税制優遇措置
確定申告時に特例の申請を行うことで、税制の優遇措置を活用することができます。
相続時の特例
相続してから3年10か月以内に不動産を売却した場合、譲渡所得税を減らす「取得費加算の特例」を適用することができます。この特例は、譲渡所得を算出する際、所得から相続時に支払った相続税の一定額を控除するというものです。控除した額だけ譲渡所得は減じるため、支払う所得税を少なくする効果があります。
住宅購入後の特例
特定のマイホーム(居住用財産)を買い換えた場合にも、譲渡所得税を繰り延べる特例があります。これを「特定の居住用財産の買換えの特例」と言います。この特例を用いると、通常売却した翌年に発生する譲渡所得税の支払いを、新しいマイホームを将来売却する際まで繰り延べることができるようになります。主な適用要件は、自らの住んでいる家屋(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)を売ること、「マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」などの特例を受けていないこと、売却代金1億円以下であること、等が挙げられます。
売買損失時の特例
不動産譲渡で譲渡損失が出てしまった場合、譲渡所得税はもちろん発生しません。それに加え、一定の要件を満たすことでその損失を他の所得から控除することができます。主な適用要件は、所有期間5年超の居住用財産であること、住宅ローンが残っていること、売却損が出ることです。この場合、損失のうち一定額を他の所得から控除することができます(その年に控除しきれない金額については3年間繰り越して控除可能)。
古い家を売る際の注意点とアドバイス
老朽化した家屋は需要が少ないことから、修繕などのコストをかけたとしても売れ残ってしまうリスクがあります。ここでは古い家を売る際の注意点とおすすめの業者選びの方法について見ていきましょう。
古い家売却の注意点
古い家を売却する際の注意点として、売却相場の確認と、リフォームを実施する際にはその投資対効果の確認が挙げられます。
まず、売却相場を確認するためには、不動産売買の情報サイトで募集中の物件を確認するほか、不動産流通機構が運営するレインズで、成約した物件についての情報を確認することが重要です。それらの情報を確認し、自らの物件にどの程度の値段をつけることができるのかを確認しましょう。また、リフォームを実施する場合は、同様の物件がどの程度の価格で売却されているかを確認しましょう。投資したとしてもたいした価格付けができないようであれば、投資対効果が低いとみなして実施しない決断をすることも大切です。
最適な不動産会社の選び方
古い家を販売する際には、最適な不動産仲介会社を選ぶことが重要です。不動産仲介会社にはそれぞれ得意なエリアや物件があります。まずは物件のある周辺の不動産仲介会社に対して、査定依頼をするのがよいでしょう。それに加え、空き家専門で売買仲介を行っている会社にネットで査定依頼をするのもよいでしょう。複数社から売却プランの提案を受けることで、比較することができます。最近では一括査定サイトに簡単な内容を入力するだけで、複数社に声掛けすることもできるようになりました。利用してみるとよいでしょう。
早く売るためのコツ
不動産を早く売りたい場合には、不動産買取業者による買取が最も最適な選択肢となります。不動産会社は売買契約から引き渡しまで最速で数日で済んでしまうこともあります。買主が不動産会社の場合は仲介手数料が不要で、かつ契約不適合責任も発生しないため、何か物件の品質に瑕疵があった場合でも、買主に責任が及ぶこともありません。
まとめ
今回は、古い家を売る方法について説明しました。一般市場への売却が難しい物件は、不動産買取業者への売却が候補となります。売却額は一般市場より低くなる傾向にありますが、訳アリ物件でも買い取ってもらえ、素早くお金を得ることができます。「空き家パス」は、他で売れなかった空き家を買い取った多くの実績があります。全国対応なので、地方の物件でもご相談ください。