滋賀県大津市の空き家買取実績

大津市は、琵琶湖のほとりにありながら、ただ「湖のまち」という一言では語りきれない奥行きを持った土地です。東海道の宿場町としての歴史、比叡山から吹きおろす風、そして湖岸をゆっくり走る電車の音——暮らしてみて初めて、その静けさの中にある豊かさに気づかされる場所です。今回ご相談いただいたのは、そんな大津市の住宅地に佇む一戸建てでした。最寄りの駅からは少し歩きますが、そのぶん周囲には自然が多く、坂道をのぼるごとに視界がひらけ、琵琶湖の水面がちらりと覗くような、そんな高低差のある立地でした。外から見る限りでは控えめな外観ですが、門をくぐった先に続くアプローチや、玄関まわりの石や植栽の配置に、この家で紡がれてきた暮らしの積み重ねがそっと表れていました。室内に入ると、南側の部屋には大きな窓があり、日差しが穏やかに入り込みながらも、障子や軒先の影が光を柔らかくしてくれていて、どこか時間の流れがゆるやかに感じられる空間でした。設備や建具には経年による傷みも見られますが、それもこの家の“履歴”のように思えてきて、むしろそれをどう活かしていくかを考えることが、次の住まい手にとっての楽しみにもなるのではないかと感じました。完璧さではなく、余白と柔らかさがある。そうした空間だからこそ、暮らしが自然と深く馴染んでいく。そんな印象を受けた住まいでした。ここにまた、新しい時間が静かに積み重ねられていくことを心から願っています。
エリア滋賀県大津市
種別戸建て
面積177㎡
地積238㎡