大阪の空き家補助金を解説-解体・リフォームなどで活用!申請の流れや注意点も

大阪府で空き家を相続したものの、リフォームや解体にかかる費用が負担となり、着手できずに困っていませんか?
放置された空き家は老朽化が進むだけでなく、近隣トラブルや資産価値の低下にもつながるため、早めの対策が重要です。
大阪府内の各自治体では、空き家の解体・改修・取得などに活用できる補助金制度が整備されており、条件に合えば数十万円規模の支援を受けられる場合があります。費用の不安を軽減し、空き家の有効活用やスムーズな処分につなげるためにも、制度を正しく理解することが大切です。
本記事では、大阪府で利用できる空き家関連の補助金制度を目的別にわかりやすく整理し、申請の流れや注意点、補助金以外の解決策まで詳しく解説します。
空き家の放置が長引く前に、ご自身に合った制度を確認しておきましょう。
- 大阪府における空き家問題の現状と背景
- 大阪府内で使える空き家関連補助金の種類と概要
- 補助金申請の流れと注意すべきポイント
- 補助金以外の空き家の活用・売却方法
- 空き家処分に関するよくある疑問とその解決策
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大阪府の空き家問題、現状は?
大阪府では、都市部と郊外の双方で空き家の増加が深刻な課題となっています。府の発表によれば、令和5年10月1日時点で大阪府の空き家率は14.2%で、空き家戸数は約70万戸に達しています。
特に大阪市内の一部地区や郊外の住宅地では、老朽化した空き家が長年放置され、治安や景観、災害リスクの観点から地域住民にとって大きな課題となっています。
こうした現象の背景には、人口減少・高齢化・単独世帯の増加・相続後の管理放棄など、複数の要因が重なっています。また、かつて大量に供給された戸建て住宅や集合住宅が、利用されないまま残っている例もあります。
大阪府や市町村では、空き家対策として補助金制度の整備や相談窓口の設置を推進しており、所有者が放置を避け、早期に対応できる体制づくりを進めています。空き家放置による悪影響を防ぐためには、現状を正しく把握し、「活用」または「処分」を含めた適切な対応が重要です。
【参考:令和5年住宅・土地統計調査の公表について】
空き家問題解決策のひとつ「補助金制度」
空き家の放置が社会課題となっていることから、国や地方自治体では空き家対策として補助金制度の整備が進められています。これらの制度は、老朽化した住宅の解体やリフォーム、空き家取得時の費用、家財の撤去などにかかる経費の一部を補助金として交付する仕組みです。特に大阪府内では、多くの市町村が独自の補助金制度を整備し、空き家の再利用や安全性の確保を後押ししています。
補助金を活用することで、所有者は経済的な負担を軽減しながら空き家の適切な管理や活用に取り組むことができます。また、空き家の解体や修繕によって地域の景観や安全性が向上するため、近隣住民にとっても恩恵が期待されます。
ただし、補助金には申請条件や対象工事、金額の上限などが設けられており、制度ごとに要件や申請手順が異なります。申請を検討する際は、事前に制度内容をよく確認し、必要な準備を整えておくことが重要です。
大阪府で使える空き家関連補助金
大阪府内では、空き家の活用・管理の促進のため、各市町村が独自の補助金制度を整備しています。老朽化した空き家の解体費用やリフォーム工事、取得・活用にかかる費用の一部を支援することで、空き家の放置を防ぎ、地域の安全性や住環境の改善に寄与する施策が進められています。
特に大阪市や堺市をはじめとする都市部では、密集市街地における防災性向上や空き家の有効活用を目的とした支援制度が整備されており、制度によっては数十万円から百万円以上の補助を受けられる場合があります。
以下では、「リフォーム」「解体」「取得」「家財処理」などの目的別に、大阪府内で利用できる主な補助金制度を分類して紹介します。
空き家のリフォーム・改修に関する補助金
大阪府内では、空き家の再生・有効活用を目的に、リフォームや耐震改修に関する多様な補助制度が設けられています。若年層の定住促進や空き家バンクの活用促進といった地域課題に合わせた制度設計がなされており、補助金の上限額や要件も市町村ごとに異なります。
| 市町村名 | 補助金制度名 | 補助上限額 | 主な条件 | 
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 空家利活用改修補助事業 | ・住宅再生型:最大75万円 ・地域まちづくり活用型:最大300万円 ・その他:耐震関連工事(最大100万円) | ・対象:2000年5月31日以前築で3ヶ月以上空き家の戸建または長屋 ・耐震性能の確保が必須 ・地域まちづくり活用型は区役所との事前協議が必要 ・売却目的の改修は対象外 | 
| 枚方市 | 枚方市若者世代空き家活用補助制度 | ・新築(建て替え)の場合: 上限100万円 ・耐震改修・リフォームの場合: 100万円以上の工事費の1/2、上限100万円 | ・対象者:40歳未満の若者世帯、または18歳未満の子がいる子育て世帯 ・対象物件:1981年5月31日以前着工の空き家を取得しリフォーム ・不動産売買契約前の事前協議が必須 | 
| 枚方市 | 地域空き家活用補助金 | ・耐震改修含む:最大250万円(経費の2/3) ・通常リフォーム:最大150万円(経費の2/3) | ・対象:築15年以上の空き家を地域の課題解決目的で活用する改修 ・最低10年間、目的通りに活用すること ・工事着手前の申請が必須 | 
| 四條畷市 | 四條畷市若者世帯等定住促進既存住宅リフォーム補助金 | 最大100万円(対象経費の1/2) ※基本額10万円+空き家加算40万円など | ・対象者:40歳未満の夫婦、または20歳未満の子どもがいる世帯 ・対象行為:市内で中古住宅を取得してリフォーム ・加算対象の「空き家」は築10年以上で1年以上居住実績がない住宅 | 
| 大東市 | 大東市空家流通促進補助金 | 最大75万円 ※基本額20万円+有償取得20万円などの加算あり | ・対象:6ヶ月以上空き家で1981年6月1日以降に建築された築5年以上、土砂災害特別警戒区域外にある住宅のリフォーム ・個人および宅地建物取引業者が申請可能 | 
| 豊能町 | 豊能町空き家バンク活用促進事業「リフォーム工事補助金」 | 最大30万円(経費の1/2) | ・対象:豊能町空き家バンク登録物件 ・申請者:物件を購入して居住する者、またはバンクを介して賃貸する所有者 ・3年以上の継続居住が必須 | 
| 岬町 | 空き家再生事業補助制度 | 5万円 | ・対象:所有者が行う空き家住宅の改修、清掃、家財道具処分又は除却(解体) ・岬町空き家バンクへの登録(または予定)、もしくは入居予定者がいること | 
| 松原市 | 松原市空き家利活用補助制度 | 最大40万円(経費の1/2) | ・対象:1981年5月31日以前に建築された区分所有長屋の空き住戸の修繕 ・市の空き家情報への登録と事前協議が必須 | 
| 藤井寺市 | 藤井寺市空き家リフォーム補助制度 | 最大30万円(経費の2/3) | ・対象:1年以上利活用されていない空き家を新たに取得または賃借してリフォーム ・工事着手前の申請が必要 | 
| 岸和田市 | 空家リフォーム事業補助金 | 最大100万円(経費の2/3) | ・対象:市外から転入するために空き家をリフォームする所有者 ・10年以上の定住意思が必要 ・物件が一定の耐震基準を満たすこと | 
| 富田林市 | 富田林市空き家バンク制度活用促進補助金 | 最大20万円(工事費用の1/3) | ・対象:市の空き家バンクを通じて物件を購入した居住希望者が行うリフォーム | 
| 太子町 | 太子町空家バンクリフォーム補助金 | 最大50万円 | ・対象:太子町空き家バンクに登録された物件の購入者 | 
| 千早赤阪村 | 千早赤阪村空き家改修補助金 | 最大10万円(経費の1/2) | ・対象:1年以上村外に居住していた転入者、または1年以上同一住所に居住していた村内移住者 ・改修した空き家に5年以上定住すること ・物件が耐震性を有すること | 
大阪府内では、自治体によって補助対象となる空き家の築年数や、対象となる世帯、地域貢献の条件などが細かく設定されています。補助金の利用には、購入前や工事着手前の事前協議や申請が必要なケースが多いため、必ず各市町村の公式サイトで最新の要項を確認しましょう。
空き家の解体に関する補助金
老朽化が進み、倒壊や防災面でのリスクが高まっている空き家について、大阪府内では除却(解体)にかかる費用を支援する制度が複数の自治体で実施されています。主に1981年以前の旧耐震基準の住宅や、危険な木造住宅などが対象となることが多く、地域によっては特定の密集市街地や評価制度に基づいた対象指定が行われています。
| 市町村名 | 補助金制度名 | 補助上限額 | 主な条件 | 
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 大阪市狭あい道路沿道老朽住宅除却促進補助金 | ・集合住宅:最大200万円(重点対策地区) ・戸建住宅:最大75万円(対策地区)、最大100万円(重点対策地区) | ・対象:特定の密集市街地内の狭あい道路に面した古い木造住宅 ・補助率/上限額は地区指定により異なる | 
| 大阪市 | 大阪市民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助金(除却) | ・戸建住宅:最大50万円 ・長屋・共同住宅:最大100万円 | ・対象:2000年5月31日以前築で耐震性不足と判断された建築物の除却 | 
| 枚方市 | 住宅の除却(解体)工事補助 | 最大20万円 | ・対象:1981年5月31日以前築の耐震性不足の住宅 ・所有者世帯の所得上限あり(256.8万円) | 
| 和泉市 | 老朽危険空家等除却補助金 | 最大40万円(経費の8/10) | ・対象:行政に「危険」「不良」と認定された空き家 ・事前相談と所得要件あり | 
| 泉南市 | 老朽危険空家除却工事補助制度 | 最大50万円(経費の8/10) | ・対象:1年以上空き家の木造住宅で、市の事前調査で危険(評点100点以上)と判定されたもの ・特定空家等に認定されたもの | 
| 八尾市 | 木造住宅除却補助制度 | 1棟あたり40万円 | ・対象:1981年5月31日以前築の木造住宅 ・所有者の所得・資産に厳しい上限あり ・主に居住中の住宅が対象(特定条件の空き家も対象になる場合あり) | 
| 八尾市 | 八尾市区分所有長屋住宅等除却補助制度 | 1戸あたり40万円 | ・対象:1981年5月31日以前築で、一定の老朽度を満たす区分所有長屋の空き住戸 | 
| 大東市 | 老朽危険空家等除却補助制度 | ・戸建住宅:最大80万円 ・長屋:最大200万円 (いずれも経費の4/5) | ・対象:1年以上空き家の危険な木造住宅 ・市の事前調査と所得上限(507万円)あり | 
| 堺市 | 密集市街地における老朽木造住宅除却補助 | 最大200万円 | ・対象:密集市街地(新湊地区)内の老朽木造住宅 ・補助率は経費の2/3 | 
| 豊中市 | 豊中市震災対策木造住宅除却補助金 | 最大40万円 | ・対象:1981年5月31日以前築の耐震性不足の木造住宅 ・所得・資産要件あり | 
これらの除却補助は、多くの場合「空き家の老朽化」だけでなく「耐震性不足」や「危険度の判定」が条件となります。また、申請には所得制限や事前調査が設けられているケースもあるため、各自治体の条件をよく確認したうえで、早めに相談を進めることが大切です。
空き家の取得に関する補助金
大阪府内では、若年世帯や子育て世帯の移住・定住を促進するために、空き家の取得費用を補助する制度が複数の自治体で用意されています。取得費用そのものへの助成や、空き家バンクを介した購入時の支援、引越し・登記に関する費用への補助など、内容は自治体によってさまざまです。
| 市町村名 | 補助金制度名 | 補助上限額 | 主な条件 | 
|---|---|---|---|
| 泉佐野市 | 泉佐野市若年者世帯及び子育て世帯空き家活用定住支援事業 | 最大200万円(物件購入費の1/2) | ・対象者:若年・子育て世帯 ・対象行為:市外または市内賃貸から移住のため空き家(6ヶ月以上空き家等)を取得 ・補助対象:購入費用(土地・建物) ・必須事項:建物状況調査の実施 | 
| 堺市 | 堺市子育て世帯等空き家活用定住支援事業補助金 | 最大120万円 | ・対象者:若年世帯または子育て世帯 ・対象行為:世帯が住民票を異動した日から遡って1年以上、かつ売買契約締結日から遡って半年以上空き家であった住宅を購入 ・必須事項:建物状況調査 | 
| 枚方市 | 枚方市若者世代空き家活用補助制度 | 最大100万円 ※取得・解体・新築/リフォームを一体とした事業が対象 | ・対象者:若者・子育て世帯 ・対象行為:1981年5月31日以前の空き家を取得し、リフォームまたは建て替えて居住 ・必須事項:不動産売買契約前の申請 | 
| 四條畷市 | 四條畷市若者世帯等定住促進既存住宅リフォーム補助金 | リフォーム補助金の算定基礎に40万円が加算 | ・リフォーム補助金だが、空き家取得を間接的に支援 ・前提条件:若者・子育て世帯が中古住宅を取得すること | 
| 富田林市 | 富田林市空き家バンク制度活用促進補助金 | 購入者に20万円 | ・対象:市の空き家バンクを通じて物件を購入した者 ・市税の滞納がないこと ・所有者と三親等以内の親族でないこと | 
| 阪南市 | 空き家バンク活用促進事業補助金 | 最大20万円 | ・対象:空き家バンク経由で物件を購入し、市へ移住する者 ・補助対象:登記費用、引越し費用 | 
| 太子町(南河内郡) | 太子町空家バンク子育て世帯定住支援事業補助金 | 最大50万円 | ・対象:子育て世帯が空き家バンク登録物件を購入する場合 | 
補助対象は、若年層・子育て世帯に限定されている場合が多く、空き家の「空き期間」や「築年数」「取得後の改修や定住の有無」なども条件に含まれます。補助金を活用したい場合は、不動産契約の前に申請や協議が必要となるケースがあるため、早めの情報収集と相談が欠かせません。
空き家の家財処理に関する補助金
空き家を売却・活用したくても、大量の家財や残置物が障壁になることがあります。そうした片付け費用の負担を軽減するため、大阪府内の一部自治体では、家財処分に関する補助金制度が用意されています。
| 市町村名 | 補助金制度名 | 補助上限額 | 主な条件 | 
|---|---|---|---|
| 豊能町 | 豊能町空き家バンク活用促進事業 家財道具等処分補助金 | 最大10万円(経費の2/3) | ・対象:空き家バンク登録者 ・補助金交付後、2年以上の登録継続の意思が必要 | 
| 松原市 | 松原市空き家利活用補助制度 | 最大10万円(経費の1/2) | ・家財整理後に物件を第三者へ売却することが条件 ・総事業費が1万円以上 ・事前協議が必須 | 
| 貝塚市 | 貝塚市空き家バンク家財道具処分等事業補助制度 | 最大10万円(経費の1/2) | ・空き家バンク経由での売買・賃貸契約成立後、所有者が申請可能 | 
| 太子町(南河内郡) | 太子町空家バンク家財道具等処分補助金 | 最大10万円 | ・対象:空き家バンク登録物件の所有者 ・売買または賃貸借契約の締結後に交付 | 
| 岬町 | 空き家再生事業補助制度 | 5万円 ※リフォーム、清掃、家財処分、解体等の組み合わせが対象 | ・空き家バンクに登録済み(または登録予定)、もしくは入居予定者がいること | 
| 千早赤阪村 | 空き家改修補助金 | 最大10万円 ※改修補助金だが、家財の片付け・掃除も対象経費に含まれる | ・対象:継続して1年以上、本村以外の市区町村に住民登録されていたこと ・5年以上継続して本村に定住する意思があること | 
なお、補助金を受けるには空き家バンクへの登録や事前協議、契約成立などが必須条件となる場合があります。また、事業費が一定額以上であることや、定住の意思を求められるケースもあるため、申請前に条件を十分に確認しておきましょう。
その他の補助金
空き家活用に関わる費用の中には、解体や改修以外にもさまざまな出費が伴います。たとえば、売却前の相続登記やインスペクション(住宅状況調査)、安全性に不安があるブロック塀の撤去などに対しても、補助制度が整備されている自治体があります。
| 市町村名 | 補助金制度名/概要 | 補助上限額 | 主な条件 | 
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 空家利活用改修補助事業 インスペクション(既存住宅状況調査) | 最大3万円(費用の1/2) | ・空家所有者、空家所有者の配偶者または一親等以内の親族 ・空家取得予定者、賃借予定者 | 
| 八尾市 | 八尾市空家バンク既存住宅状況調査(インスペクション)補助制度 | 最大5万円 | ・八尾市空家バンクへの登録物件が対象 | 
| 松原市 | 松原市空き家利活用補助制度(相続登記) | 最大20万円(費用の1/2) | ・登記後に当該物件を第三者へ売却すること | 
| 大阪市 | 大阪市ブロック塀等撤去促進事業 | 最大40万円 | ・道路等に面し、安全性の確認ができない、高さ80cm以上のブロック塀等 | 
| 枚方市 | 危険ブロック塀等除却補助制度 | 最大15万円 | ・市内にあるもの ・道路、公園等に面しているもの(隣家との境界のものは対象外) ・高さが80cm以上のもの | 
| 八尾市 | 八尾市ブロック塀等安全対策補助金 | 最大20万円 | ・高さが60cmを超え、不特定多数が利用する道路に面するもの | 
これらの補助制度は、空き家の安全性や売却準備を進めるうえでも役立ちます。特にブロック塀の撤去や相続登記は、放置されがちな部分でもあるため、補助金を活用して早めの対応を検討しましょう。
補助金を受けるための流れと注意点
大阪府内で空き家に関する補助金を利用するには、自治体が定める申請手順に正しく従う必要があります。制度によっては、必要な書類や申請時期、工事の実施タイミングなどが細かく定められており、事前確認を怠ると補助の対象外となる場合があるため、十分な注意が求められます。
また、補助金の多くは「交付決定後に着工」が原則とされており、申請前に工事を開始してしまうと対象から外れる例が大半です。申請時には、見積書や工事内容の詳細、施工業者の情報など、多くの種類の書類を準備しなければなりません。
以下では、補助金を受ける際に必要な主な書類と、申請時によくある注意点・落とし穴について詳しく解説します。
申請に必要な主な書類
補助金を申請する際には、工事の内容や所有状況を証明するための各種書類が必要です。大阪府内の各市町村でも制度ごとに細かな違いはあるものの、一般的に求められる書類は以下のとおりです。
- 申請書(自治体指定の様式)
- 対象空き家の登記事項証明書
- 所有者の本人確認書類(例:運転免許証、住民票)
- 工事の見積書および図面(施工業者が作成したもの)
- 工事前の現況写真
- 固定資産税の課税証明書または納税通知書の写し
- 委任状(代理申請を行う場合)
自治体によっては、空き家であることを確認するため、一定期間の居住実績がないことを示す書類や、空き家バンクへの登録証明などが追加で求められる場合もあります。
申請漏れを防ぐためにも、事前に担当窓口へ相談し、チェックリストを活用して準備を整えることが重要です。
申請する上での注意点や落とし穴
空き家補助金の申請には多くのメリットがありますが、制度の性質上、いくつか注意すべきポイントがあります。手続きの途中で不備が発覚すると補助金が受けられなくなる可能性もあるため、事前に十分な確認を行うことが重要です。
まず大きな注意点は、「補助金の交付決定前に工事を始めてはいけない」点です。ほとんどの制度では、着工前に交付決定通知を受けていない場合、補助対象外とされます。また、自己判断による工事内容の変更も認められておらず、申請時と異なる内容で工事が実施された場合、補助金が取り消される可能性があります。
次に、交付予算にも注意が必要です。補助金は年度ごとの予算に基づいて交付されるため、募集期間内であっても予算に達すると受付が終了する場合があります。特に申請希望者が多い自治体では、早期に締め切られる例も見られます。
さらに、制度によっては補助対象となる施工業者が限定されている場合や、契約方法に制限がある場合もあります。自治体ごとに要件や審査基準が異なるため、必ず公募要領やガイドラインを確認し、不明点がある場合は事前に問い合わせることが重要です。
補助金以外で空き家問題を解決する方法
補助金制度は空き家活用における有効な支援策ですが、すべての空き家に適用できるわけではありません。築年数や構造、立地などの条件によっては対象外となる場合も多く、補助金だけに依存するのは現実的とはいえないケースもあります。
大阪府内にも、補助金の対象外となる老朽化した空き家や、再建築不可の土地にある物件が多数存在しています。こうした空き家問題を解決するには、売却や賃貸への転用、空き家バンクの活用、さらには地域活動や福祉事業などへの利活用といった多様な選択肢を検討することが重要です。
ここでは、補助金に依存しない現実的な対応策として、空き家の処分や活用方法について詳しく解説します。
補助金だけでは難しいケースがある
補助金は空き家の再生や処分に役立つ制度ですが、すべてのケースで十分とは限りません。たとえば、大規模なリフォームや解体工事を行う場合、補助金の上限額では全額を補えず、自己負担が大きくなることがあります。
また、申請に必要な書類の準備や手続きが煩雑で、特に高齢者や遠方に住む相続人にとっては大きな負担となるケースも見受けられます。さらに、今後空き家を活用する予定がない場合には、補助金を活用してまで改修する必要がなく、別の手段を検討する方が合理的です。
このように、補助金の活用には一定の条件や前提があるため、自身の状況に適した解決策を見極めることが重要です。
空き家を売却する
補助金を活用した改修や解体が難しい場合には、空き家を売却することも現実的な選択肢の一つです。たとえば、改修費用の負担が大きいケースや、今後活用する予定がない場合には、空き家を保有し続けることで固定資産税や管理の手間といった費用負担が継続的に発生します。
こうした背景から、近年では老朽化した空き家や再建築不可の物件など、一般的に売却が難しいとされる不動産でも買取に対応する専門業者の存在が注目されています。
なかでも「空き家パス」は、相続物件や築古物件、訳あり物件の買取を得意としており、現状のままでも迅速に査定・買取を行うサービスを提供しています。全国対応・無料相談に対応しており、他社で断られた物件にも対応可能な点が特長です。
空き家を「残す」のではなく「手放す」という選択を考える場合には、こうした買取専門業者に相談してみることも有効な手段です。
空き家バンクを活用する
空き家を「売却」や「賃貸」で活用したい場合には、自治体が運営する「空き家バンク」の活用も有力な選択肢です。空き家バンクは、空き家の所有者と住まいを探している人をつなぐマッチング制度であり、大阪府内でも多くの市町村が導入しています。
空き家バンクに登録することで、自治体のホームページや移住促進サイトを通じて物件情報が広く発信されます。これにより、通常の不動産市場では接点を持ちにくい移住希望者や、地域活動に関心を持つ買主とつながる機会が得られます。特に、都市部からの移住ニーズがある地域では、古民家、木造住宅、土蔵付き住宅など、歴史的な趣を持つ建物に一定の需要が見込まれます。
ただし、登録には自治体ごとの基準があり、建物の状態や用途、必要書類などに条件が設定されていることもあります。活用を検討する際は、該当する市町村の空き家バンク窓口に相談し、登録要件や申請手順を事前に確認することが重要です。
空き家を活用する
空き家は、売却する以外にも、自ら活用することが可能です。たとえば、リフォームして賃貸物件として運用したり、店舗や事務所として再生する事例もあり、大阪府内では古民家を改修してカフェやギャラリーに活用するケースも見られます。
(参考:大阪府の古民家の建築事例と建築家 | SuMiKa | 建築家・工務店との家づくりを無料でサポート)
こうした活用にあたっては、条件を満たせば国や自治体の支援制度を利用できる可能性もあります。たとえば、空き家改修に関する補助金や、用途変更時の税制優遇措置などが設けられている制度もあります。地域への貢献や副収入を目的に活用を検討している方にとって、有効な後押しとなります。
ただし、活用には用途変更に伴う申請手続きや、近隣住民との調整、改修コストの負担など、いくつかの課題も想定されます。方向性に迷っている場合は、空き家の活用に詳しい専門家や自治体の相談窓口を活用しながら、具体的なプランを検討していくことが重要です。
よくある質問とトラブル例
空き家の補助金を活用したいと考えている場合でも、「自分の空き家は対象になるのか」「申請は難しくないか」「売却との違いは何か」など、多くの方が疑問や不安を感じています。特に、大阪府のように自治体ごとに制度が細かく異なる場合には、誤解や手続きミスによって補助を受けられないケースが発生することもあります。
以下では、実際によく寄せられる質問や、補助金制度を利用する際に起きやすいトラブル例を取り上げ、注意点とあわせて解説します。
Q:補助金と売却、どちらが良いですか?
A:空き家の対応は、将来的な活用の有無や経済的負担、管理の手間などにより判断が分かれます。
たとえば、将来的に居住や賃貸を検討している場合には、補助金を活用してリフォーム・修繕を行うことで再利用につなげる選択肢があります。一方、空き家を活用する予定がなく、管理や維持にかかる費用が大きな負担となっている場合には、売却によって根本的な解決を図ることも可能です。
空き家の買取に特化した「空き家パス」のような専門サービスもあり、築年数の古い物件や訳あり物件でも対応しているため、現状のままで査定・買取される例もあります。こうした選択肢を補助金とあわせて検討することが有効です。
Q:古い空き家や傷みがある空き家でも補助金は使えますか?
A:一定の条件を満たせば、築年数の古い空き家や損傷が進んだ物件でも、補助金の対象になる可能性があります。
大阪府内では、耐震性能の向上や老朽危険空き家の解体を目的とした補助制度が複数設けられており、空き家の現状や立地、所有者の状況に応じて支援対象が判断されます。事前に各自治体が定める基準を確認しておくことが重要です。
なお、倒壊の危険性が高い場合や、衛生上の問題がある物件については、優先的に補助対象とされることもあります。現地調査や事前相談を通じて、補助金の適用可否を確認しておくとよいでしょう。
Q:補助金申請が難しそう…誰かに頼めますか?
A:補助金の申請手続きは、制度によって書類の準備や手順が複雑になる場合がありますが、行政書士や建築業者、不動産会社などから支援を受けられることもあります。
大阪府内では、各市町村に相談窓口が設けられており、補助対象の確認や申請書類の記載方法について助言を受けることが可能です。また、地域の宅建協会や空き家対策に取り組むNPO法人、不動産業者などが、申請手続きの代行や書類収集の支援を行っている場合もあります。
「高齢で手続きが難しい」「遠方に住んでいて動けない」といった事情がある場合には、こうした専門家の力を借りることで、申請を円滑に進められます。
Q:空き家を自治体に寄付できますか?
A:原則として、空き家を自治体に寄付することは認められていません。
大阪府内の多くの自治体では、老朽化した建物や再建築不可の土地については、維持管理や再利用が困難であることから、寄付の受け入れを行っていないのが一般的です。ただし、地域によっては公共事業やまちづくりの一環として、一定の条件を満たす土地に限り、寄付を受け入れている場合もあります。
たとえば、道路拡幅や公園整備の対象となっている土地であれば、事前協議を経て寄付が受け入れられる可能性があります。寄付を検討する際は、必ず自治体の担当窓口に相談し、現地調査や書類提出など所定の手続きを経て可否を確認することが重要です。
まとめ
大阪府では、空き家のリフォームや解体、取得、家財処分に対応する補助制度が整備されており、空き家の有効活用や処分を進めるうえで有効な支援策となります。ただし、すべての空き家が補助対象となるわけではなく、制度によって条件や申請手続きが異なるため、事前の確認が欠かせません。
また、補助金の活用だけでなく、空き家の売却や空き家バンクの利用といった選択肢もあわせて検討することで、自身の状況に合った現実的な対策が見つかる可能性があります。家族や専門家と相談しながら、将来を見据えて最適な方法を選択することが大切です。
空き家を売却したいと考えている方には、「空き家パス」の利用もおすすめです。
空き家パスは、相続物件や再建築不可、古い建物などの買取を得意とする不動産会社で、現状のままでも無料査定・相談が可能です。全国対応でスピーディーな対応にも強みがありますので、まずはお気軽にご相談ください。










