愛知の空き家補助金を解説ー解体・リフォームなどで活用!申請の流れや注意点も

愛知県は2025年時点で人口が全国4位となっており、トヨタ自動車やデンソー、アイシンといった世界的企業の本社があります。
また名古屋城や犬山城、岡崎城といった歴史的価値のある重要文化財も多いため観光としても人気があり、賃貸目的で空き家を購入する投資家にも注目されています。
その一方で活用されていない空き家の増加が問題視されており、危険な状態の空き家については所有者に対して管理の指導を行うなどの対策を実施しています。
空き家は活用しなければ資産価値が下がってしまいますので、修繕したり解体して更地にするなどの対応が必要となりますが、費用が工面できずに困っている所有者も多いです。
そこで愛知県では空き家に関する様々な補助金制度が公開されており、多くの所有者が利用しています。
この記事では愛知県の自治体が令和7年度時点で公開している補助金制度を紹介します。
補助金以外の空き家対策やよくある質問とトラブル例についても解説しますので、参考にしてください。
- 愛知県の空き家問題
- 愛知県で使える空き家関連補助金制度
- 補助金を受けるための流れと注意点
- 補助金以外の空き家対策
- よくある質問とトラブル例
相続などで取得した空き家に住む予定がない場合は、売却も選択肢のひとつです。
「空き家パス」は、相続不動産や築年数の古い物件、再建築不可物件、訳あり物件などの買取を得意とする不動産会社です。
他社で断られた物件でも、独自のノウハウで対応できるケースが多くあります。査定・相談はすべて無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
愛知県の空き家問題、現状は?
総務省から公開されている「令和5年住宅・土地統計調査の結果(住宅及び世帯に関する基本集計)」によると、愛知県の総住宅数は令和5年度時点で3,664,700戸となり、空き家数は433,000戸となったそうです。
空き家率は11.8%で前回の調査から0.5ポイント上昇しており、空き家は増加傾向にあるといえます。
管理されていない空き家は犯罪の拠点や害虫、害獣の温床になるだけでなく、災害時に破損して近隣住民に飛来するリスクを抱えています。
このことからも空き家は適切に管理される必要があり、愛知県の各自治体にとって大きな問題となっています。
【引用サイト:愛知県の住宅・土地(令和5年10月1日現在)】
空き家問題解決策のひとつ「補助金制度」
空き家は所有者がこまめに手入れを行い、最適な状態を保つのが理想ですが、所有者が高齢であったり遠方に住んでいることで管理ができないケースも少なくありません。
また、修繕や解体をしようとしても費用が工面できず、断念する所有者も多いです。
そこで自治体はリフォームや家屋の解体、家財処分などに対して補助金制度を公開しており、利用することで所有者の費用負担を軽減させることができます。
このことからも、空き家の所有者は自治体が公開している制度をチェックし、積極的に活用することがポイントです。
愛知県で使える空き家関連補助金
この章では令和7年度時点で募集されている補助金制度について、「リフォーム・改修」「解体」「取得」「家財処理」「その他」という項目に分けて紹介します。
これから空き家の利活用もしくは解体を検討している人は、チェックしてください。
空き家のリフォーム・改修に関する補助金
空き家のリフォーム・改修に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 名古屋市 | 空き家活用支援事業費補助金 | 改修工事費の3分の2かつ100万円。 |
| 豊田市 | 豊田市山村地域等空き家再生事業補助金 | 改修費の80%かつ100万円。 |
| 豊橋市 | 空家利活用改修費補助金 | 一般世帯:補助対象経費の2分の1かつ50万円。 新婚・子育て世帯:補助対象経費の3分の2かつ66万円。 |
| 大府市 | 空家改修費補助制度 | 補助対象経費の2分の1かつ30万円。 |
| 日進市 | 空家バンク定住促進リフォーム補助金 | リフォームに要する費用の2分の1かつ30万円。 |
| 蒲郡市 | 蒲郡市空家利活用事業費補助金 | リノベーション工事補助金(市内在住者向け):40万円。ただし居住誘導区域のバイアは50万円。 リノベーション工事(移住者向け):対象工事費の3分の2かつ200万円。 |
| 田原市 | 空き家等活用促進事業補助金 | 対象経費の2分の1かつ50万円。ただし、市内建設業者が改修した場合は60万円。 |
| 常滑市 | 空家の利活用改修費補助 | 一般住宅の場合:補助対象経費の2分の1かつ50万円。 地域活性化の場合:補助対象経費の3分の2かつ100万円。 |
| 新城市 | 空き家改修事業補助金 | 経費の3分の2かつ30万円。 |
空き家の解体に関する補助金
空き家の解体に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 名古屋市 | 老朽危険空家等除却費補助金 | 「老朽危険空家等の評価」表による評価が75点以上の場合は除却に要する経費の3分1かつ40万円、125点以上の場合は3分の2かつ80万円。 |
| 岡崎市 | 空き家除却事業費補助金 | 危険空き家:除却費用の2分の1かつ10万円。 無接道等危険空き家、がけ地空き家:国土交通大臣が定める令和7年度における住宅局所管事業に係る標準建設費等の規定による不良住宅等除却費の除却工事費又は建物の除却に係る費用の2分の1かつ120万円。 |
| 豊橋市 | 空家解体促進費補助金 | 解体費用の3分の2かつ50万円。 |
| 刈谷市 | 老朽空き家除却費補助金 | 20万円。 |
| 小牧市 | 空き家等除却工事費補助金 | 補助対象経費の2分の1かつ20万円。 |
| 瀬戸市 | 老朽空き家等解体補助金 | 解体に要する費用の5分の4かつ60万円。 |
| 半田市 | 木造建築物取壊工事費補助 | 20万円。 |
| 江南市 | 危険空き家解体工事費補助金 | 解体費用の5分の4かつ20万円。 |
| 大府市 | 老朽空家除却費補助 | 工事費の5分の4かつ20万円。ただし、「補助対象となる空き家が市街化区域にある場合」と「市内業者に依頼し、補助対象事業を行う場合」についてはそれぞれ10万円加算。 |
| 日進市 | 不良空家除却促進補助金 | 経費の5分の4かつ90万円。 |
| 北名古屋市 | 空家解体費補助金 | 20万円。 |
| あま市 | 空家解体促進費補助金 | 20万円。 |
| 蒲郡市 | 空家解体費補助金 | 倒壊危険空家解体費補助金:解体工事費の2分の1かつ20万円。 老朽空家解体費補助金:解体工事費の2分の1かつ15万円。 |
| 犬山市 | 危険空き家解体工事費補助金 | 解体工事費の5分の4かつ20万円。 |
| 碧南市 | 空き家除却費補助事業 | 解体費用の5分の4かつ20万円。 |
| 知立市 | 危険空家解体促進費補助金 | 20万円。 |
| 清須市 | 空家解体促進費補助制度 | 解体工事に要する費用の3分の2かつ20万円。 |
| 愛西市 | 危険空き家除却費補助金 | 除却工事に要する費用の5分の4かつ20万円。 |
| 田原市 | 空き家解体促進事業補助金 | 危険空き家:解体工事費用の2分の1かつ50万円。 老朽空家:解体工事費用の2分の1かつ20万円。 |
| 常滑市 | 危険空家住宅の除却費補助 | 補助対象経費の5分の4かつ30万円。 |
| 新城市 | 居住誘導区域内空き家解体促進事業費補助金 | 40万円。 |
| 弥富市 | 空家除却費補助金 | 除却に要した費用の5分の4かつ20万円。 |
空き家の取得に関する補助金
空き家の取得に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 日進市 | 空家バンク子育て世帯定住促進補助金 |
空家購入者が引っ越しを業として営む法人又は個人事業者に依頼した、その住宅への引っ越しに要する費用のうち、事業者に支払った家財の運送費用及びこれに附帯する荷造り等サービス費用:全額。 不動産登記費用:30万円。 |
| 犬山市 | あきや活用支援事業補助金 |
空き家購入費用の2分の1かつ100万円。 ただし、以下の条件で加算される。 ①若者世帯:20万円。 ②居住誘導区域:20万円。 ③多子世帯:20万円。 ④リフォーム工事の実施:20万円。 |
空き家の家財処理に関する補助金
空き家の家財処理に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 豊田市 | 豊田市空き家情報バンク登録促進事業補助金 | 空き家の片付けに要する費用の80%かつ20万円。 |
| 蒲郡市 | 蒲郡市空家利活用事業費補助金 | 10万円。 |
補助金を受けるための流れと注意点
補助金制度の利用は空き家の所有者にとって費用を軽減できるというメリットがありますが、正しいステップを踏まなければ補助金は交付されないという特徴があります。
制度によっては工事前でしか準備できない書類もあり、後から気づいて申請できないという失敗事例も少なくありません。
そのため補助金制度は事前に内容と必要書類をチェックしておくことが大切です。
この章では補助金を受けるための代表的な流れと注意点について、解説します。
申請に必要な主な書類
補助金を申請するためには各自治体が指定する必要書類を全て用意する必要があります。
主に指定される書類は次のようになりますので、事前に準備しておくことをおすすめします。
- 指定様式の補助金交付申請書
- 建物の全部事項証明書
- 運転免許証
- 住民票
- 印鑑証明書
なお、上記以外にも不動産取得の補助金であれば売買契約書、リフォームの場合は建物の平面図や立面図が必要になるケースがあります。
必要書類によってはすぐに準備できないこともありますので、不明点があれば自治体に相談することがポイントです。
特に印鑑証明書は印鑑登録が必要となり必ず一度は市役所へ出向くことになりますので、注意が必要です。
なお、制度によっては工事完了後に実績報告書の提出を求められることもあります。
申請する上での注意点や落とし穴
補助金制度でよくある失敗事例として、必要書類の見落としがあります。
住民票や工事用図面などであれば何度も市役所へ出向くことになり手間がかかってしまいますが、後から準備することもでき提出さえすれば申請を進めることが可能です。
しかし施工前の画像は事前に撮影していなければ施工後に用意することができず、必要書類を揃えられなくなってしまいます。
また、空き家がある都市計画区域によっては一度解体してしまうと建物の再建築ができないこともあり、注意点といえます。
このような失敗を避けるためにも、各制度の準備物は工事を実施する前にチェックしておき、リフォーム業者や解体業者に制度以外の注意点についても確認しておくことが重要です。
補助金以外で空き家問題を解決する方法
自治体が公開している補助金制度だけでは空き家問題を解決できるわけではなく、むしろ利用することで所有者にとってマイナスになることもあります。
そのため補助金制度を利用しない空き家問題の解決方法についても、知っておく必要があります。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。
補助金だけでは難しいケースがある
補助金制度のほとんどはあくまでも費用の一部を補助する制度のため、自己負担がゼロになるわけではありません。
そのため空き家を活用する予定がない人にとって補助金制度はあまりメリットがないといえ、申請を見送る人も多いです。
また、制度を利用しようとしても用意する書類の取得が難しかったり手続きが複雑で諦めてしまうといったケースもあります。
申請方法や必要書類の準備については自治体で相談することができますので、制度を利用すべきかも含めてなるべく早く相談することが大切です。
空き家を売却する
費用を負担することなく空き家の問題を解決したい人には、売却がおすすめです。
空き家を売却してしまうことで維持管理の手間や費用をかけることがなくなり、さらに固定資産税や都市計画税といった税金の支払いも不要となります。
このことからも、空き家を手放すことは一つの問題解決策といえます。
なお、不動産売却には「仲介」と「買取」がありますが、空き家は買取がおすすめです。
仲介は不動産会社に販売を委託して買い手を募集する方法となっており、売却価格や条件を自由に設定できるというメリットがあります。
しかし空き家の状態や立地によっては販売が長期化することも多く、「いつ売れるか分からない」というストレスを感じてしまうことも少なくありません。
場合によっては価格交渉や解体更地渡しなどの条件を検討しなければならないこともあり、大きなデメリットといえます。
その点、買取は不動産会社が買い手となるため販売期間がほとんどなく、業者によっては解体や測量、不用品の撤去をすることなく引き渡しすることができます。
買取の査定依頼から1ヶ月以内に空き家を手放すことができたというケースもありますので、とにかくスピーディーに空き家を処分したい人に向いている売却方法です。
空き家バンクを活用する
空き家バンクは各自治体が情報を把握し、提供している空き家等のポータルサイトです。
インターネットで物件情報を検索することができ、空き家を売りたい人や貸したい人は空き家バンクに登録して買い手や借り手を募集することになります。
一般的に不動産ポータルサイトと違って空き家に特化しており、費用もかかりません。
また、愛知県の場合、制度によって空き家バンクに登録されている空き家を活用することで補助金額が増えることもありますので、補助金と併用したい場合でも空き家バンクは利用すべきといえます。
なお、空き家バンクは市税を滞納していないなど利用するための要件があります。
さらに撮影した画像や物件コメントに虚偽があると物件情報自体が削除されてしまうこともありますので、正しい情報を入力することが重要です。
空き家を活用する
空き家をリフォームして民泊として活用したり賃貸に出す方法は、空き家の代表的な活用方法です。
また立地が良く敷地が広ければ建物を解体して駐車場用地やコインランドリー、コンビニ用地として運用するという方法もおすすめです。
どちらの方法も安定した収入を得られる可能性がありますので、最適な活用方法について不動産会社に相談する所有者も多いです。
ただし賃貸や事業用地として活用すると一部の節税制度が受けられなくなるなどデメリットもありますので、将来売却する予定や相続する予定がある人は注意が必要です。
相続や贈与、自己利用する可能性があれば所有権を維持できる「活用」を選択し、可能性がなければ「売却」を選択することがおすすめです。
よくある質問とトラブル例
この章では空き家関連の補助金制度についてよくある質問とトラブル例を紹介します。
Q:補助金と売却、どちらが良いですか?
空き家を自己利用したり相続する予定がある人は補助金が向いており、有効活用や相続の予定がない人には売却が向いています。
ただし補助金制度によっては売却であっても制度を利用できるケースがありますので、事前に自治体へ相談することをおすすめします。
Q:古い空き家や傷みがある空き家でも補助金は使えますか?
空き家がどのような状態であっても原則補助金制度は利用できますが、例外はあります。
たとえば家屋の大部分が破損している場合や工事ができない立地の場合は申請を却下されることがあり、注意が必要です。
これ以外にも築年月日が申請に影響することもあります。
Q:補助金申請が難しそう…誰かに頼めますか?
リフォーム業者や解体業者が代理人となり、申請することが可能です。
ただし補助金制度の必要書類には空き家の所有者にしか準備できない書類もありますので、事前に確認しておくことがポイントです。
Q:空き家を自治体に寄付できますか?
2025年時点で空き家の寄付を受け付けている自治体はありませんが、解体して更地にすることで国庫に帰属させられる制度はあります。
「相続土地国庫帰属制度」と呼ばれるこの制度は令和5年4月27日から開始されており、所有者不明の土地を発生させないことを目的としています。
都市計画道路や新幹線の開通など、国庫に帰属させた方が良いと判断された土地であれば寄付することも可能ですので、自治体を通じて相談するのもおすすめです。
【参考サイト:法務省:相続土地国庫帰属制度について】
まとめ
愛知県では増加する空き家に対し、様々な補助金制度が公開されています。
補助金制度を利用することで空き家の所有者は費用の負担を軽減することができることから、積極的に制度をチェックすることをおすすめします。
ただし、補助金の交付を受けるためには正しいステップを理解し必要書類を漏れなく準備する必要があります。
そのためまずは自治体が公開している制度について調べ、疑問点があれば自治体や専門業者に相談することをおすすめします。
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