空き家の維持で年間約35万円かかる?意外と知らない維持費の内訳とリスクを解説
実家に誰も住まず、空き家状態になるなら、相続した後に使用するか手放すか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
別荘のような使い道ができるなら、便利だとは思うものの、実は維持費が結構かかります。
今回は、不動産会社のスタッフが空き家を維持するためにかかる費用、内訳、リスクについてご紹介いたします。
目次
維持するだけでも年間約35万円!更に不動産の価値が下がれば含み損も
空き家を維持するためにかかる費用は、年間約35万です。
土地の面積・建物の固定資産税によっても異なりますが、空き家の規模が大きいほど費用はかさみます。
また、経年劣化で不動産の価値が下落すれば、支出がなくても、実質的に損をしていることにもなります。
空き家は財産になるどころか、住まない場合、個人の負担になりやすいです。
空き家を維持するだけでかかる費用の内訳を解説
ここでは、空き家を維持するだけでかかる費用の内訳についてご紹介いたします。
どの部分に費用がかかっているのか、ポイントをしっかり押さえていきましょう。
また、例として固定資産税評価額1,000万円に対する費用を算出しています。
税率は自治体によっても異なるため、参考程度にみてください。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税にかかる税率は、一般的に「固定資産税で1.4%」「都市計画税で0.3%」です。
固定資産税の計算例
1,000万円×1.4%=14万円
都市計画税の計算例
1,000万円×0.3%=3万円
「小規模住宅用地の特例」と「一般住宅用地の特例」という優遇措置
税率に基づいて計算すると合わせて約17万円の費用がかかります。
しかし、固定資産税・都市計画税には優遇措置があります。
「小規模住宅用地の特例」と「一般住宅用地の特例」の2つです。
小規模住宅用地の特例
小規模住宅用地の特例は、土地の面積が200㎡以下の部分は「固定資産税が1/6」「都市計画税が1/3」になる優遇措置です。
一般住宅用地の特例
一般住宅用地の特例は、土地の面積が200㎡以上の部分は「固定資産税が1/3」「都市計画税が2/3」となります。
優遇措置に当てはめて計算すると以下となります。
固定資産税
1,000万円×1/6×1.4%=約2.4万円
都市計画税
1,000万円×1/3×0.3%=1万円
評価額が1,000万円の場合、固定資産税と都市計画税合わせて約3.4万円の費用がかかります。
水道代・電気代
水道代・電気代にかかる年間費用は合わせて約27,000円です。
実際に使わなくても、月額基本使用料がかかってきます。
内訳は以下となります。
水道代
例)月額基本使用料 1,170円×12ヶ月=約14,000円
電気代
例)月額基本使用料 約1,100円×12ヶ月=約13,200円
空き家の場合「水道代・電気代は特に必要ないんじゃないか」と考える方も多いでしょう。
しかし、掃除、修繕、管理をするためには契約が必須となる項目です。
それぞれを月ごとに割ると小額にも感じられますが、年間にしてみると大きな出費となります。
電気契約の場合、アンペア数が低いプランを契約すると料金も抑えやすいです。
もちろん使った分だけ、使用料もプラスされます。
空き家を管理するために業者や本人が現地に足を運んだ場合、料金が変動しやすい点もしっかり覚えておきましょう。
保険料
保険料にかかる費用の目安は、年間4〜8万円程度です。
また、建物の広さ、築年数、保証の範囲によって費用も異なります。
空き家で加入する保険は主に火災保険です。しかし、地震が原因で発生した家事は対象外となるので、地震保険にも加入する必要があります。
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空き家を厳重に管理したい方こそ、保険選びはしっかりおこないたいところです。
草刈りの費用
草刈りは、シルバー人材センターを利用する場合、1人1時間の作業で、目安価格は約3,000円です。
処分費は基本別途費用です。草刈りは、庭の広さ、木の剪定もあるかどうかにより費用も異なります。
また、便利屋さんにお願いする方法もあります。
数千円単位の仕事は基本受けてもらえないことが多いので、1度の依頼で予算が1〜2万円となる場合、申し込みましょう。
また、雑草は春以降に目立ち始めるので、夏の時期は2〜3回の作業が必要です。
他にこんな費用がかかっている場合も
ここでは、空き家にかかるさまざまな費用についてご紹介いたします。
地代
土地を第三者から賃借している場合には、土地の賃貸料金として地代がかかります。
費用は地主との契約内容によりますので、該当する場合はしっかり確認しましょう。
管理を委託してる場合の管理料
空き家が自宅から遠い位置にある場合、管理会社への委託料がかかります。
目安の料金は月額税込5,500円となるので、年間にして66,000円の費用がかかる計算です。
サービス内容は、通気・換気をおこなう、雨漏り確認、郵便物整理などが挙げられます。
訪問回数を増やして欲しい場合、さらに費用がかさみやすい点もしっかり覚えておきましょう。
空き家にかける時間や手間が取れない場合、管理会社への申し込みが必要となる方も多いのではないでしょうか。
帰省するときの交通費・宿泊費
空き家が自宅から遠い位置にある場合、帰省するときの交通費・宿泊費がかかります。
東京から北海道に飛行機で帰省する場合、片道の交通費のみで2〜3万円かかります。
移動費、宿泊費などを含めると、往復10万円近くになる計算です。
また、隣接する県に空き家がある場合、車で移動する際の高速代とガソリン代だけで、1回5,000〜10,000円程度かかります。
突発的に発生する費用やその他のリスク
ここでは、突発的に発生する費用やその他のリスクについてご紹介いたします。
建物の破損に伴う修繕費用
空き家が破損している場合、修繕費用がかかります。
住まない場合、必要ないのではと疑問を持つ方もいるでしょう。
手入れされていない空き家は、空き巣の入られやすかったり、明らかに人が居住していないと見て分かれば不審者に不法侵入されるケースがあります。
また、外観や室内の状態が著しく悪く、見るからに居住が困難であれば、いくら安くても買い手がつかず売却が難航します。
安全・未来のために、しっかり手をかけることが大切です。
修繕内容として、屋根の貼り直し、窓ガラスが割れた場合交換する、外壁の塗り直しなどが挙げられます。
もともとの空き家の状態が悪いと、本格的なリノベーションをおこなう必要が出てきます。
破損の被害によっては、思わぬ出費につながりやすいです。
土地建物の経年劣化によって不動産の売却価格が低くなる
空き家は、経年劣化により不動産の売却価格が低くなる傾向があります。
そのため、お金に困ったとき売って儲けようと思っても、うまくいかない場合があります。
新築どころか、廃墟同然の空き家はそもそも買い手がつきません。
また、不動産会社としても空き家は積極的に活動したがらない物件です。
儲けが少ないため、どうしても後回しになりやすいです。
処分したくてもスムーズに空き家が手放せないケースが考えられるでしょう。
空き家がある市町村が過疎化して価値が下がっていく
空き家がある地域が過疎化すると、建物の価値も下がる傾向があります。
財産になるどころか、荷物として邪魔になるケースも見受けられます。
人気物件とはならないため、売り手もなかなかつきません。
自宅から遠い場所にあるなら、管理のために足を運ぶモチベーションも上がりません。
リスクを考えた上で、空き家を手早く処分するのも一つの方法です。
まとめ
空き家を相続する場合、維持費が年間約35万円かかかります。
人によっては大幅な出費がかさむことにもなるでしょう。
また、土地を借りている方は地代、遠くに空き家がある場合、管理会社への委託料がかかります。
帰省するたびの交通費・宿泊費がかかることも忘れてはいけません。
突発的に発生する費用や、リスクもあるので、空き家に思い入れがない方は、手早く処分するのも一つの方法です。
「後でいいや」と思っていても、不動産の売却価格が低くなったり、そもそも価値が下がったりすることも否めません。
ぜひ、空き家にかかる維持費・リスクから、手早く処分したいと感じた方は、一度不動産会社に相談してみてください。
今回は、不動産会社のスタッフが空き家を維持するためにかかる費用、内訳、リスクについてご紹介いたしました。