静岡県富士市の空き家買取実績

富士市というと、まず「工業のまち」「富士山のふもと」といった言葉が思い浮かびます。でも実際に足を運んでみると、このまちには意外なほど静かで、芯のある暮らしの風景が広がっています。製紙や製造の音が遠くに流れ、そのすぐそばに、洗濯物が風に揺れる住宅地がある。働くことと暮らすことが地続きになっているまちです。今回ご相談いただいたのは、そんな富士市の一角にある一戸建てでした。大きな通りから少し奥に入ると、住宅が整然と並ぶ中にその家はありました。周囲には長く住んでいるご近所さんも多く、庭越しのあいさつが自然に交わされてきたような、落ち着いた空気が漂っていました。外観に華やかさはないものの、門まわりや玄関の佇まいには、長くここで人が暮らしてきた重みと温度が感じられました。南側の居間は陽当たりがよく、障子越しの光が床にうっすらと映る様子は、時間の流れをそのまま受け止めているようでした。庭木の影が少し揺れるたびに、この家で営まれてきた日常が目に浮かぶようでした。確かに、リフォームの余地はあります。でもそれは「古さの修正」ではなく、「これからの暮らしを重ねていくための余白」として、この家に自然と馴染んでいるように思えました。この家には、“自分たちの生活をここに置いても大丈夫だ”と感じさせるだけの静かな力がありました。富士山の見えるまちで、また新しい暮らしが育っていくことを、そっと願っています。