静岡県沼津市の空き家買取実績

沼津というまちは、海と暮らしがすぐそばにある。その感覚は、観光案内に載る港の風景というより、干した布団に潮の香りが混じるような、もっと日常に近いところにあります。富士を仰ぎ、駿河湾に向かって開けたこのまちは、地形のせいか光の入り方もどこか独特で、街角の何気ない風景にも輪郭があるように感じます。ご相談いただいたのは、そんな沼津市内の住宅地に建つ一戸建てでした。駅から少し離れた静かな通りに面していて、道ゆく人の足どりもゆっくりで、せかせかしない生活のテンポがこの家のまわりにしっくりと馴染んでいました。玄関先には季節の草花が控えめに咲いていて、外から見ただけではわからない「暮らされてきた時間」がそっと漂っています。室内に入ると、南向きの居間に自然光が差し込み、障子や畳にやわらかい陰影を落としていました。目立つ設備や特別な意匠はありませんが、むしろそういった「主張のなさ」が、この家の魅力になっているように思えました。築年数に応じた手入れは必要ですが、暮らしの土台はしっかりしていて、住む人が手をかけていく余地もきちんと残されています。何も飾らず、ただまっすぐに、毎日を支えてきたような住まいでした。ここにまた誰かの新しい生活が重なっていくことを、静かに楽しみにしています。