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古民家を無償譲渡する方法|税金とメリット・デメリット、注意点まで解説

古 民家 譲渡

古民家は、固定資産税や修繕費などの維持費が継続的にかかるうえ、老朽化が進むと「特定空家」に指定されるリスクもあります。そのため、売却が難しい場合は「無償譲渡」によって手放す選択肢も検討されています。無償譲渡とは、古民家の所有権を無償で他者に移転する方法であり、税金や手続きに関する知識を踏まえたうえで進めることが重要です。
本記事では古民家の無償譲渡の基本知識から具体的な方法、税金の取り扱い、メリット・デメリット、注意点を解説します。

この記事で分かること

  • 古民家の無償譲渡に関する基本知識と所有権移転の方法
  • 無償譲渡の具体的な手続きと活用できる制度
  • 譲渡時に発生する税金と贈与税対策
  • 無償譲渡のメリットとデメリット
  • 譲渡時に注意すべき契約上のリスクと対策方法

古民家の維持管理にお悩みの方は、売却という選択肢も視野に入れることをおすすめします。空き家パスは、築年数の古い伝統家屋や相続で取得した古民家など、一般的な不動産市場では売却が難しい物件の買取を得意としています。建物の状態や立地に関わらず、全国の物件を対象に買取査定を無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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まずは押さえたい古民家譲渡の基本

古民家の無償譲渡を検討する前に、「譲渡」という行為の法的意味と、不動産売買との違いを理解しておく必要があります。無償譲渡は対価を受け取らずに所有権を移転する行為で、売買と異なり契約内容や税務上の取り扱いに特有の注意点があります。
古民家の無償譲渡を円滑に進めるためには、適切な譲渡先の選定から契約締結、所有権移転登記までの一連のプロセスを理解し、計画的に進める必要があります。譲渡先との信頼関係構築も重要なポイントです。

「譲渡」とは?売買との違いを理解する

不動産の「譲渡」とは、所有権を他人に移す行為全般を指し、「売買」や「贈与」、「交換」などさまざまな形態が含まれます。古民家を無償で手放す「無償譲渡」も、この譲渡に該当します。ここでは、無償譲渡と売買の違いを整理し、それぞれの特徴や税務上の扱いを比較します。

比較項目 無償譲渡 売買
対価の有無 対価が発生しない 金銭的対価が発生する
契約の性質 片務契約(一方のみに義務) 双務契約(双方に義務)
譲渡側の税金 みなし譲渡所得税(法人への譲渡時など) 譲渡所得税
取得側の税金 贈与税・不動産取得税・登録免許税 不動産取得税・登録免許税
責任の範囲 限定的 広範囲

古民家の無償譲渡は、通常の不動産取引とは異なる課題があります。古民家の価値評価の難しさ、建物の老朽化に伴う瑕疵(欠陥)の存在、文化的・歴史的価値の保存についての配慮などを踏まえ、譲渡先や条件を慎重に検討する必要があります。

所有権移転の手続きと必要書類

古民家の無償譲渡を行うためには、適切な手続きを踏み、必要な書類を準備する必要があります。基本的な流れは以下のとおりです。

手続き項目 内容
譲渡契約の締結 無償譲渡契約書を作成し、譲渡人と譲受人の双方で合意する
所有権移転登記の申請 必要書類を法務局に提出し、所有権移転の登記を行う
各種税金の申告・納付 不動産取得税や贈与税などを所管の税務署や自治体に申告・納付する

無償譲渡において必要となる主な書類は、無償譲渡契約書、登記識別情報(権利証)、固定資産評価証明書、印鑑証明書、住民票、登記申請書などです。所有権移転登記の手続きは専門的な知識が必要となるため、司法書士への依頼が一般的です。登記費用としては、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と司法書士への報酬(5万円〜10万円程度)が発生します。

古民家を無償譲渡する方法

古民家を無償で譲渡する方法はいくつかあります。所有する古民家の状態や立地条件、譲渡の目的によって最適な方法が異なりますので、各選択肢のメリットとデメリットを理解した判断が大切です。

譲渡方法 特徴 メリット 注意点
個人(知人・周辺住民) 直接やり取り 意向を伝えやすい 契約書作成が必須
不動産会社・専門業者 専門知識あり 適切な活用が期待できる 業者の方針確認が必要
空き家バンク・0円古民家 公的サポートあり マッチング支援がある 時間がかかる場合あり

方法1:個人間の譲渡(周辺住民や知人への譲渡)

古民家の個人間譲渡は、知人や親族、周辺住民など、信頼関係のある個人に対して行う方法です。譲渡先との直接的なコミュニケーションが可能であり、古民家の価値や歴史を理解してくれる相手を選べる点がメリットです。
個人間譲渡の手順は、譲渡先候補との事前協議から始まり、無償譲渡契約書の作成、契約の締結、そして所有権移転登記へと進みます。譲渡後のトラブルを防ぐために、建物の状態や瑕疵について正確に伝えておくことが重要です。また、古民家の歴史的価値を維持するための条件がある場合は、契約書に明記しておくことが望ましいです。
譲渡先を見つける方法としては、地域のコミュニティ組織や古民家ファンのSNSグループなどを活用する方法もあります。譲渡先を地域に根ざした相手にすることで、古民家の文化的価値を引き継ぐことが期待できます。

方法2:不動産会社・専門業者への譲渡

古民家の専門業者や不動産会社に無償譲渡する方法も選択肢の一つです。古民家の再生・活用を専門とする業者は、建物の歴史的価値を理解し、適切な改修や活用方法を提案してくれる場合があります。
専門的な知識と経験を持つ相手に譲渡できることで、古民家の価値が適切に評価され、活用される流れにつながります。譲渡後の建物の管理や改修も専門的なノウハウに基づいて行われるため、建物の保存状態が良好に保たれやすいという利点もあります。
業者を選ぶ際は、再生実績や活用方針を確認し、複数の候補を比較することが重要です。解体目的の業者もあるため、事前の確認が欠かせません。

方法3:空き家バンクや0円古民家プロジェクトの活用

自治体の「空き家バンク」や民間団体の「0円古民家プロジェクト」を利用する方法もあります。いずれも空き家の利活用を通じて地域活性化を目指す制度で、公的な支援や信頼性の高い譲渡先を見つけやすい点が特徴です。ただし、手続きに時間がかかることもあるため、事前に流れや負担を把握しておく必要があります。

空き家バンクと0円古民家プロジェクトの比較

項目 空き家バンク 0円古民家プロジェクト
運営主体 自治体 NPO・民間団体
主な目的 空き家の有効活用、地域の活性化 古民家の保存と活用
マッチング支援 あり(自治体が所有者と希望者を仲介) あり(団体が譲渡先候補を紹介)
手続きの流れ 相談→調査・登録→交渉→契約→登記 団体に相談→マッチング→契約→登記など
メリット 公的支援があり安心感がある 古民家の価値を理解した相手とつながりやすい
デメリット 手続きに時間がかかることがある 同様に時間や手間がかかることがある

参考:建設産業・不動産業:空き家・空き地バンク総合情報ページ – 国土交通省
参考:0円古民家プロジェクト

古民家の譲渡時にかかる税金

古民家を無償譲渡する場合でも、様々な税金が発生する場合があります。譲渡する側と譲受する側の関係性によって適用される税制が異なるため、事前の把握が重要です。
無償譲渡の場合、一般的に譲渡所得税ではなく贈与税や不動産取得税などが課税対象となります。また、建物の状態や評価額によっても税額が変わるため、古民家の適正な評価を行うことも必要です。

譲渡パターン 譲渡側の主な税金 譲受側の主な税金
個人→個人 なし 贈与税、不動産取得税、登録免許税
個人→法人 みなし譲渡所得税 法人税(受贈益)、不動産取得税、登録免許税
法人→個人 法人税(譲渡損益) 所得税/贈与税、不動産取得税、登録免許税
法人→法人 法人税(譲渡損益) 法人税(受贈益)、不動産取得税、登録免許税

個人から個人への無償譲渡

個人から個人へ古民家を無償譲渡する場合、主に贈与税が課税対象となります。贈与税は受贈者(譲り受ける側)に課税され、基礎控除(年間110万円)を超える部分に対して累進税率で課税されます。
古民家の贈与税額計算の基本的な流れは、固定資産税評価額を算出し、基礎控除(110万円)を差し引いた後、残額に対して贈与税の税率を適用します。例えば、評価額500万円の古民家の場合、390万円(500万円-110万円)に対して贈与税が課税されます。
贈与税を軽減するための特例としては、以下のようなものがあります。

特例名 内容
配偶者控除 婚姻期間20年以上の配偶者への居住用不動産の贈与は2,000万円まで非課税
住宅取得資金の贈与 直系尊属から住宅取得資金を受ける場合、条件を満たせば最大1,000万円まで非課税
相続時精算課税制度 60歳以上の親から20歳以上の子への贈与で、2,500万円まで贈与税が非課税

これらの制度を活用すれば、贈与税の負担を軽減した古民家の譲渡が可能です。適用条件や申告手続きについては、税理士などの専門家への相談をおすすめします。
参考サイト:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
参考サイト:財産をもらったとき|国税庁
参考サイト:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

個人から法人への無償譲渡

個人が古民家を無償で譲渡した場合でも、時価で売却したものとみなされ、譲渡所得税が課税されるケースがあります。
譲渡する個人側には、みなし譲渡所得税として課税されます。ただし、認定NPO法人などへの寄附の場合、一定条件下で所得控除が受けられることがあります。
譲受する法人側には、受贈益として古民家の時価相当額に対する法人税、固定資産税評価額に対する不動産取得税、所有権移転登記に際しての登録免許税が課税されます。
個人から法人への無償譲渡では、個人側に予想外の課税が生じる場合があるため注意が必要です。

法人から個人への無償譲渡

法人から個人へ古民家を無償譲渡する場合、主に受け取る個人側に所得税と贈与税が課税されるケースがあります。また、譲渡する法人側にも税務上の影響があります。
譲渡する法人側では、時価と帳簿価額との差額について譲渡損益が発生し法人税の課税対象となります。また、条件によっては消費税も課税されます。
譲受する個人側では、法人との関係性により給与所得や一時所得として所得税が課税される場合があるほか、贈与税や不動産取得税も課税されます。
法人から個人への無償譲渡は、特に法人と個人の関係性(役員、従業員、株主など)によって税務上の取り扱いが大きく異なります。同族会社からの譲渡の場合、税務調査の対象となりやすい点にも注意が必要です。

法人から法人への無償譲渡

法人から法人へ古民家を無償譲渡する場合、両法人に対して税務上の影響があります。
譲渡する法人側では、時価と帳簿価額との差額について譲渡損益が発生し、課税事業者の場合は建物部分に対して消費税も課税される場合があります。
譲受する法人側では、受贈益として時価相当額が益金に算入され法人税が課税されるほか、不動産取得税や登録免許税も課税されます。
法人間の無償譲渡は取引に正当な理由やビジネス上の目的があるかどうかが問われ、親子会社間や同一グループ内での譲渡ではグループ税制の適用により優遇措置が受けられる場合もあります。法人からの無償譲渡は税務上の問題が複雑なため、実行前に税理士などの専門家への相談を推奨します。

古民家を無償譲渡するメリット

古民家を無償譲渡することで、所有者は維持管理の負担が解消され、特に遠方在住者や高齢者にとって大きな利点となります。さらに、建物を解体せずに価値を理解する新たな所有者に引き継げるため、金銭面だけでなく心理的・社会的にも満足感を得られる点がメリットです。

メリット 具体的な内容
経済的負担の軽減 固定資産税・都市計画税・修繕費用からの解放
管理労力の削減 定期的な見回り・草刈り・清掃などの作業が不要に
リスク回避 特定空家等指定リスクの回避、行政代執行の防止
精神的負担の軽減 管理責任からの解放、心理的安心感
文化的価値の継承 古民家の価値を理解する人への譲渡による保存

管理負担・維持費から解放される

古民家を無償譲渡する最大のメリットは、管理や維持にかかる負担から解放されることです。古民家は敷地が広く、固定資産税や都市計画税が高額になることがあります。
例えば、建物評価額が1,000万円の場合、年間の固定資産税は約10万円です。さらに、老朽化による修繕も高額になりがちで、伝統的な建築様式では屋根の葺き替えに数百万円かかることもあります。 遠方に住んでいる場合は、定期的な見回りや草刈り、清掃などの手間も加わります。無償譲渡で所有権を手放すことで、こうした費用や労力を解消できます。

特定空家に指定されるリスクを回避できる

古民家を適切に管理せずに放置していると、「特定空家等」に指定されるリスクがあります。特定空家等とは、空家等対策特別措置法に基づき、以下のいずれかの状態にあると認められる空き家のことを指します。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

参考:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 (ガイドライン)
特定空家等に指定されると、行政から改善勧告や命令が出されることがあり、従わなければ行政代執行によって強制的に解体などの措置を受けることもあります。また、住宅用地の固定資産税の特例措置(最大1/6の軽減)は適用除外となり、結果として税負担が最大6倍に増えるおそれがあります。
無償譲渡によって所有権を移せば、特定空家等に指定されるリスクを回避できます。新たな所有者が適切に管理・活用すれば、建物の老朽化を防ぎ、地域の景観や安全性の向上にもつながります。

古民家を無償譲渡するデメリット

無償譲渡にはメリットだけでなく、税金や手続きの負担、譲渡先探しの難しさといったデメリットもあります。特に見落とされがちな税務上の影響や煩雑な手続きを理解し、慎重な判断が重要です。

デメリット 具体的な影響
お金が手に入らない 売却すれば得られたはずの収入がなくなる
税金の負担がある みなし譲渡所得税の発生、贈与税が譲り受ける側にかかる可能性あり
手続きが大変 契約書作成、登記申請、税金の申告などを自分で行う必要がある
時間と手間がかかる 譲渡先探しや書類準備などに多くの時間と労力が必要
使用に制限がある 契約条件によっては建物の使い方に制限が付く場合がある

売却益を得られない

古民家を無償譲渡する最も明白なデメリットは、売却による金銭的利益を得られないことです。古民家の状態や立地によっては、売却により一定の対価を得られる可能性があります。
特に以下のような場合は、無償譲渡よりも売却を検討した方が経済的に有利な場合があります。
・立地条件が良い(駅近や都市部など)
・建物の状態が比較的良好である
・歴史的・文化的価値が高く、特定の需要層が存在する
・敷地面積が広く土地としての価値が高い
例えば、駅から徒歩圏内にある古民家や観光地に近い物件は、リノベーションを前提とした活用や土地目的の購入を希望する買い手が見込めます。また、土地の評価額が高い地域では、建物を解体して更地にすることで、十分な売却益が期待できます。
無償譲渡を決断する前に、不動産会社に査定を依頼し、市場価値を確認しておきましょう。

課税されマイナスになる場合がある

無償譲渡は「無償」とはいえ、税金面でのデメリットが生じる場合があります。特に注意すべきは「みなし譲渡所得税」の問題です。
個人が法人に対して古民家を無償譲渡する場合、時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が課税される「みなし譲渡所得課税」と呼ばれる制度があります。実際には対価を受け取っていないにもかかわらず、建物の時価評価額に基づいて譲渡所得税が課税されるのです。
また、個人への無償譲渡の場合でも、譲受人(贈与を受ける側)には贈与税が課税されます。古民家の評価額が高い場合、譲受人に大きな税負担を強いることになり、結果として譲渡が成立しないリスクがあります。
さらに、無償譲渡に伴う所有権移転登記には登録免許税が発生し、譲受人には不動産取得税も課税されます。生じる税金負担が障壁となり、無償譲渡が困難になるケースもあります。
税金面でのリスクを軽減するためには、事前に税理士等の専門家に相談し、適切な対策を講じることが重要です。

契約や事務手続きを自分で行う必要がある

古民家の無償譲渡は、一般的な不動産売買と比べてサポート体制が整っていないことが多く、契約や事務手続きの多くを自分で行う必要があります。
無償譲渡に伴う主な手続きは、譲渡契約書の作成、必要書類の収集(登記識別情報、固定資産評価証明書など)、所有権移転登記の申請、各種税金の申告・納付、公共料金や保険の名義変更などが挙げられます。
特に譲渡契約書の作成には専門的な知識が必要となります。契約書には譲渡条件や瑕疵担保責任の範囲、将来的な建物の用途制限など、重要な項目を明記する必要があります。
また、所有権移転登記の手続きも複雑です。司法書士に依頼もできますが、別途費用が発生します。さらに、税務署や自治体での各種手続きも必要となり、時間と労力を要します。
無償譲渡の場合、仲介業者が介入しないケースが多いため、譲渡先との交渉や条件調整も自分で行う必要があります。こうした手続き面でのデメリットを軽減するためには、弁護士や司法書士など専門家への相談をおすすめします。

古民家譲渡で気をつけたい注意点とリスク管理

古民家の無償譲渡を検討する際は、様々な注意点やリスクを把握した上で進めることが重要です。適切なリスク管理を行わないと、譲渡後にトラブルが発生したり、予想外の費用負担が生じたりするケースがあります。
特に重要なのは、税金面での影響を正確に把握し、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の範囲を明確にした上で、適切な契約書を整えることです。

税金を事前に把握しておく

古民家の無償譲渡を検討する際は、発生する税金について事前に詳しく把握しておくことが極めて重要です。主に注意すべき税金は以下の通りです。

税金の種類 課税対象者 税率・金額 注意点 参考サイト
譲渡所得税(みなし譲渡所得税) 譲渡する個人 所得に応じて15%〜45% ・個人が法人に譲渡する場合に発生
・実際に対価を受け取らなくても課税
・取得価額不明や相続物件は特に注意
土地や建物を売ったとき|国税庁
贈与税 譲り受ける個人 110万円超の部分に10%〜55% ・評価額が高い古民家は負担大
・親族間では特例あり
No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁
不動産取得税 譲り受ける側 固定資産税評価額の3〜4% ・古民家は建物部分に減額措置あり
・土地は通常課税
住宅:不動産取得税に係る特例措置 – 国土交通省
登録免許税 譲り受ける側 固定資産税評価額の0.4% ・契約書に収入印紙も必要 No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

税金対策としては、相続時精算課税制度の活用(親族間譲渡の場合)、住宅取得資金の贈与税の特例の検討、固定資産税評価額の見直し申請(過大評価されている場合)などが考えられます。
特に複雑なケースでは、税理士への相談をおすすめします。無償譲渡を決断する前に、発生する税金を正確に試算し、総合的なコスト評価が重要です。

契約不適合責任を負う場合がある

古民家の無償譲渡においても、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が問題となる場合があります。契約不適合責任とは、引き渡された不動産が契約の内容に適合していない場合に、譲渡人が負う責任のことです。
無償譲渡の場合でも、以下のような問題が生じた場合に責任を問われる場合があります。
・雨漏りや建物の構造上の問題
・シロアリ被害などの害虫問題
・土壌汚染や有害物質(アスベストなど)の存在
・境界の不明確さや越境物の存在
無償譲渡の場合、売買契約と比べて契約不適合責任の範囲は限定的になることが多いですが、譲渡人が古民家の重大な欠陥を知りながら告げなかった場合(悪意の隠蔽)には、責任を免れることができません。
リスク軽減のためには、以下の対策が有効です。
・建物状況調査(インスペクション)を実施し、現状を正確に把握する
・発見された不具合や欠陥を事前に譲受人に開示する
・契約書に責任の範囲と期間を明記する
・「現状有姿」での譲渡であることを明確にする。

書面で契約を交わしておく

古民家の無償譲渡では、口頭での合意だけでなく書面での契約が不可欠です。契約書があれば、後のトラブルを防ぎ、双方の権利と義務を明確にできます。
契約書には物件の詳細、引渡日、契約不適合責任の範囲、税金や公共料金の精算方法、保存条件、解除条件、紛争解決方法などを記載します。 特に重要なのは、建物の現状や瑕疵を正確に記録し、「現状有姿」で譲渡する旨を明記することです。
外観の保存など特約を付ける場合は、譲受人の負担とバランスを考慮する必要があります。契約内容は法律の知識が求められるため、弁護士や司法書士への相談が安心です。

まとめ

古民家の無償譲渡は、相続や購入により取得した古民家の活用方法として検討する価値のある選択肢です。管理負担や維持費からの解放、特定空家指定リスクの回避といったメリットがある一方、売却益を得られない、予想外の税金負担が生じるケースがあるなどのデメリットも存在します。
古民家の譲渡方法には、個人間のやり取り、不動産会社への譲渡、空き家バンクの活用などがあります。税金の把握、契約不適合責任の明確化、契約書の作成が重要です。特に税金の負担は大きくなる場合があるため、専門家への相談も検討しましょう。
古民家の維持管理や処分方法にお悩みの方は、売却という選択肢も視野に入れることをおすすめします。空き家パスでは全国の古民家や空き家の買取を行っており、建物の状態や立地に関わらず、現状のままでの買取が可能です。ご相談・査定は無料ですので、古民家の処分でお困りの方はぜひお問い合わせください。

       

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