香川の空き家補助金を解説ー解体・リフォームなどで活用!申請の流れや注意点も

四国において香川県は愛媛県に次いで人口が多く、本州からの移住や賃貸経営を目的とした不動産取引が多いエリアです。
その一方で活用されず放置されている空き家も増加傾向にあり、自治体にとって大きな問題になりつつあります。
また、空き家の放置は所有者にとってもリスクになり得ることから、なるべく活用するか家屋を解体してしまうことをおすすめします。
香川県の各自治体からはこうした空き家に対して様々な補助金制度が公開されており、所有者の費用負担を軽減できる方法として注目されています。
この記事では香川県の自治体が令和7年度時点で公開している補助金制度を紹介します。
補助金以外の空き家対策やよくある質問とトラブル例についても解説しますので、参考にしてください。
- 香川県の空き家問題
- 香川県で使える空き家関連補助金制度
- 補助金を受けるための流れと注意点
- 補助金以外の空き家対策
- よくある質問とトラブル例
相続などで取得した空き家に住む予定がない場合は、売却も選択肢のひとつです。
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香川県の空き家問題、現状は?
総務省から公開されている「令和5年住宅・土地統計調査の結果(住宅及び世帯に関する基本集計)」によると、香川県の総住宅数は令和5年度時点で492,800戸となり、空き家率は過去最高の18.6%となったそうです。
前回の調査から総住宅数は増加傾向にあるため空き家の増加もその影響を受けている可能性はありますが、活用されていない空き家が増えてしまうと様々な問題が発生してしまいます。
そのため香川県の各自治体は空き家の所有者に対して適切な管理や解体、活用を呼びかけていますが、問題の解決に至っていないのが現状です。
【引用サイト:令和5年住宅・土地統計調査結果(香川県分)】
空き家問題解決策のひとつ「補助金制度」
空き家の所有者が空き家の近くに住んでいるのであれば管理もしやすいですが遠方に住んでいることも多く、管理したくてもできないケースも少なくありません。
そこで自治体からは空き家のリフォームや除却について補助金制度が公開されており、倒壊のリスクがある空き家を減少させるための対策としています。
所有者としても費用を抑えた上でリフォームや解体ができますので、チェックしておきたい制度といえます。
香川県で使える空き家関連補助金
この章では令和7年度時点で募集されている補助金制度について、「リフォーム・改修」「解体」「家財処理」「その他」という項目に分けて紹介します。
これから空き家の利活用もしくは解体を検討している人は、チェックしてください。
空き家のリフォーム・改修に関する補助金
空き家のリフォーム・改修に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 高松市 | 空き家改修補助事業 | 補助対象事業費の1/2かつ50万円 |
| 坂出市 | 移住促進・空き家改修補助金 |
①移住者または移住予定者で居住誘導区域内の空き家改修:200万円 ②移住者または移住予定者で居住誘導区域外の空き家改修:150万円 ③その他で居住誘導区域内の空き家改修:150万円 ④その他で居住誘導区域外の空き家改修:100万円 |
| さぬき市 | 空き家リフォーム支援事業 | 補助対象経費の1/2かつ100万円 |
| 東かがわ市 | 空き家リフォーム補助制度 |
補助対象事業費の1/2 市内業者実施:上限100万円 市外業者実施:上限90万円 |
空き家の解体に関する補助金
空き家の解体に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 丸亀市 | 老朽危険空き家除却支援事業補助金 |
次の①②いずれか少ない額の80%もしくは160万円の少ない方の額。 ①老朽空き家の除却工事費 ②延べ床面積に国の定める額を乗じて得た額(令和7年度:木造33,000円/㎡、非木造47,000円/㎡) |
| 三豊市 | 老朽危険空き家除却支援事業補助金 | 補助対象事業費または補助対象住宅の延べ面積に国で定める額を乗じた額のいずれか少ない方の金額の80%もしくは160万円 |
| 観音寺市 | 老朽危険空き家除却支援事業 | 補助対象事業費または補助対象住宅の延べ面積に国で定める額を乗じた額のいずれか少ない方の金額の80%もしくは160万円 |
| 善通寺市 | 老朽危険空き家除却支援事業 | 除却費用の80%かつ160万円 |
空き家の家財処理に関する補助金
空き家の家財処理に関する補助金は次の通りです。
| 自治体名 | 制度名 | 補助金の上限額 |
|---|---|---|
| 丸亀市 | 離島空き家家財道具等処分費補助金 | 10万円 |
| さぬき市 | 空き家リフォーム支援事業 | 補助対象経費の2分の1かつ10万円 |
その他の補助金
香川県では前述した補助金制度以外にも、次のような制度が公開されています。
| 自治体名 | 制度名 | 補助制度の内容 |
|---|---|---|
| 高松市 | 高松市安心あんぜん住宅事業 |
空き家バンクに登録されている市内に所在する売買用の物件の①インスペクション(既存住宅状況調査)費用②既存住宅売買瑕疵保険の加入費用の一部を補助。 ①②それぞれ対象経費の50%かつ5万円が上限。 |
補助金を受けるための流れと注意点
補助金制度は空き家の所有者にとって大きなメリットがありますが、正しい手順を踏まなければ受けられないため注意が必要です。
特にリフォームや解体はやり直しができないステップもありますので、各自治体が公開している必要書類や適用要件を熟読することがポイントです。
この章では補助金を受けるための代表的な流れと注意点について、解説します。
申請に必要な主な書類
補助金を申請するためには各自治体が指定する必要書類を全て用意する必要があります。
主に指定される書類は次のようになりますので、事前に準備しておくことをおすすめします。
- 指定様式の補助金交付申請書
- 建物の全部事項証明書
- 運転免許証
- 住民票
- 印鑑証明書
なお、上記以外にも不動産取得の補助金であれば売買契約書、リフォームの場合は建物の平面図や立面図が必要になるケースがあります。
必要書類によってはすぐに準備できないこともありますので、不明点があれば自治体に相談することがポイントです。
特に印鑑証明書は印鑑登録が必要となり必ず一度は市役所へ出向くことになりますので、注意が必要です。
なお、制度によっては工事完了後に実績報告書の提出を求められることもあります。
申請する上での注意点や落とし穴
補助金制度を受けるうえで失敗しやすいケースとして、必要書類の不足があります。
住民票や工事用図面などであれば何度も市役所へ出向くことになり手間がかかってしまいますが、後から準備することもでき提出さえすれば申請を進めることが可能です。
しかし施工前の画像は事前に撮影していなければ施工後に用意することができず、必要書類を揃えられなくなってしまいます。
このような失敗を避けるためにも、各制度の準備物は工事を実施する前にチェックしておくことが重要です。
補助金以外で空き家問題を解決する方法
補助金を活用することで危険な空き家を減少させることができますが、全ての空き家問題を解決できるわけではありません。
所有者の事情や空き家の状態によっては補助金制度を利用することがマイナスになってしまうこともあります。
そのため空き家の所有者は補助金制度を利用しない解決方法についても、知っておく必要があります。
この章では補助金以外で空き家問題を解決する方法について、解説します。
補助金だけでは難しいケースがある
補助金制度のほとんどはあくまでも費用の一部を補助する制度のため、自己負担がゼロになるわけではありません。
そのため空き家を活用する予定がない人にとって補助金制度はあまりメリットがないといえ、申請を見送る人も多いです。
また、制度を利用しようとしても用意する書類の取得が難しかったり手続きが複雑で諦めてしまうといったケースもあります。
申請方法や必要書類の準備については自治体で相談することができますので、制度を利用すべきかも含めてなるべく早く相談することが大切です。
空き家を売却する
空き家をリフォームして活用したり解体することは資産価値向上や倒壊のリスク軽減といった効果がありますが、施工後に空き家を有効活用しないのであれば費用をかける意味がないといえます。
そのため、空き家を活用する予定がない人には売却してしまうことをおすすめします。
空き家を売却して所有権を放棄することで維持管理の手間や費用負担から解放され、さらに固定資産税や都市計画税といった税金を支払う必要もなくなります。
売却によって得た利益を投資や生活費に充当することもできることから、空き家を活用せず売却する人も多いです。
なお、不動産の売却方法には「仲介」と「買取」がありますが、空き家の場合は買取がおすすめです。
仲介は不動産会社に査定を依頼して売却価格を設定し、不動産会社に販売を委託する売却方法です。
売却価格と条件を自由に設定できるというメリットがありますが、状態や立地の悪い空き家は買い手を見つけることが難しく販売が長期化してしまい、さらに空き家の資産価値を下げてしまう可能性があります。
場合によっては買い手から家屋の解体や確定測量、不用品の撤去などを求められてしまい、想定よりも手残り額が減ってしまうことも少なくありません。
その点、買取は不動産会社が買い手となって直接契約を締結するため販売期間がほとんどなく、「売主は空き家が売れない」というストレスを抱えることがありません。
また、買取業者は買い取った空き家を修繕して再販売することから解体費用がかからず、測量費や仲介手数料も不要です。
仲介では一般的に設定される契約不適合責任も免責にして契約を締結できることから、とにかくスピーディーに空き家を処分したい人に向いている売却方法といえます。
空き家バンクを活用する
空き家バンクは各自治体が情報を把握し、提供している空き家等のポータルサイトです。
インターネットで物件情報を検索することができ、空き家を売りたい人や貸したい人は空き家バンクに登録して買い手や借り手を募集することになります。
一般的に不動産ポータルサイトと違って空き家に特化しており、費用もかかりません。
また、香川県の場合、制度によって空き家バンクに登録されている空き家を活用することで補助金額が増えることもありますので、補助金と併用したい場合でも空き家バンクは利用すべきといえます。
なお、空き家バンクは市税を滞納していないなど利用するための要件があります。
さらに撮影した画像や物件コメントに虚偽があると物件情報自体が削除されてしまうこともありますので、正しい情報を入力することが重要です。
空き家を活用する
空き家をリフォームして民泊として活用したり賃貸に出す方法は、空き家の代表的な活用方法です。
また立地が良く敷地が広ければ建物を解体して駐車場用地やコインランドリー、コンビニ用地として運用するという方法もおすすめです。
どちらの方法も安定した収入を得られる可能性がありますので、最適な活用方法について不動産会社に相談する所有者も多いです。
ただし賃貸や事業用地として活用すると一部の節税制度が受けられなくなるなどデメリットもありますので、将来売却する予定や相続する予定がある人は注意が必要です。
相続や贈与、自己利用する可能性があれば所有権を維持できる「活用」を選択し、可能性がなければ「売却」を選択することがおすすめです。
よくある質問とトラブル例
この章では空き家関連の補助金制度についてよくある質問とトラブル例を紹介します。
Q:補助金と売却、どちらが良いですか?
補助金と売却を選ぶポイントは、所有権を維持する必要があるかどうかです。
たとえば空き家を将来自己利用したり相続させる予定がある場合は所有権を維持する必要があり、補助金を使って空き家を修繕したり解体して更地にしてしまうことを検討するのがおすすめです。
一方、将来的に活用する予定も相続の予定もないのであれば維持管理するだけ手間がかかってしまいますので、売却が向いているといえます。
このように、空き家を将来にわたってどのように扱うのかを決めることで、補助金と売却で悩むことがなくなります。
ただし、補助金制度によっては補助金を利用しつつ売却の諸費用を抑えられることがありますので、どちらを選ぶにしろなるべく早い段階で自治体に相談することが大切です。
Q:古い空き家や傷みがある空き家でも補助金は使えますか?
原則、どのような空き家であっても補助金を利用することは可能ですが、例外はあります。
たとえば空き家の除却に関する補助金を受けるためには解体する家屋が現存している必要があり、基礎や躯体だけの状態になっている場合は申請が却下されることもあります。
また制度によっては旧耐震の家屋が適用要件になっていることもあり、築年月日が比較的新しいと申請が通らないケースもあります。
Q:補助金申請が難しそう…誰かに頼めますか?
補助金の申請は原則空き家の所有者ですが、代理人に委任することは可能です。
代理人は工事事業者や相続人、親族などが一般的ですが、申請の内容や適用要件に詳しい人がおすすめです。
そのためリフォーム業者や解体業者が代理となって申請するケースが多いです。
ただし空き家の所有者にしか用意できない書類もありますので、注意が必要です。
Q:空き家を自治体に寄付できますか?
2025年時点で空き家の寄付を受け付けている自治体はありませんが、解体して更地にすることで国庫に帰属させられる制度はあります。
「相続土地国庫帰属制度」と呼ばれるこの制度は令和5年4月27日から開始されており、所有者不明の土地を発生させないことを目的としています。
都市計画道路や新幹線の開通など、国庫に帰属させた方が良いと判断された土地であれば寄付することも可能ですので、自治体を通じて相談するのもおすすめです。
【参考サイト:法務省:相続土地国庫帰属制度について】
まとめ
香川県では空き家が増加傾向にあり、空き家率も令和5年の調査時点で過去最高となっています。
空き家の増加は治安の悪化や近隣住民のリスクといった問題になることから、空き家の所有者には適切な管理が求められています。
各自治体からはリフォームや解体、家財処分に関する補助金制度が公開されているため、利用することをおすすめします。
ただし、補助金制度は正しいステップで進まなければ申請を却下されてしまいますので、利用する制度について準備物と適用要件を細かくチェックし、分からなければ自治体に相談することが大切です。










