山形の空き家補助金を解説ー解体・リフォームなどで活用!申請の流れや注意点も

山形県にある空き家を放置していると、倒壊や衛生リスクがあると判断され「特定空家」に指定される可能性があり、その結果、固定資産税が最大で6倍にまで跳ね上がることがあります。
加えて、雪の重みで屋根が傷んだり、老朽化による倒壊リスクが高まったりと、空き家の管理には多くの負担が伴います。解体やリフォームを考えていても、数百万円単位の費用が理由で判断を先送りしている方も少なくありません。
そこで注目したいのは、山形県内で活用できる空き家対策の補助金制度です。
条件を満たせば、解体費や修繕費などの負担を軽減できます。
本記事では、山形県における空き家のリスクと補助金制度の概要をわかりやすく解説し、「手放す」「活かす」ための具体的な選択肢を紹介します。
- 山形県における空き家問題の現状とリスク
- 山形県内で使える空き家関連補助金の種類と概要
- 補助金申請の具体的な流れと注意点
- 補助金以外の空き家の活用・売却方法
- 空き家処分に関するよくある疑問と解決策
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山形県の空き家問題、現状は?
山形県では、空き家の増加と老朽化による管理不全が、地域社会にとって大きな課題となっています。総務省「令和5年住宅・土地統計調査(速報値)」によると、山形県の空き家数は約62,000戸、空き家率は13.5%と、全国平均(13.8%)とほぼ同水準です。
注目すべきは、そのうち賃貸・売却用以外の「その他の住宅」に分類される空き家が7.9%を占めており、誰にも使われずに放置されている物件が増えている点です。
特に山形県では、豪雪地帯特有の倒壊リスクが懸念されます。居住者のいない空き家では雪下ろしがされず、屋根が押し潰されたり、落雪により通行人が事故に巻き込まれる恐れもあります。
さらに老朽化した空き家では、強風で屋根材が飛散したり、害獣の侵入など、周囲へ悪影響を及ぼすケースも少なくありません。
こうした状況を受け、山形県や各自治体では、空き家の発生抑制や危険空き家の除却を支援する制度の拡充を進めています。
【参考:令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果】
空き家問題解決策のひとつ「補助金制度」
空き家問題に対応する手段のひとつとして、国や自治体が設けているのが「補助金制度」です。
補助金制度は、所有者が空き家の解体やリフォーム、家財処分などを行う際に、費用の一部を自治体が負担する仕組みです。補助金を活用することで、本来であれば全額自己負担となる工事費用を数十万円単位で削減できる場合があり、経済的な理由で対策を躊躇していた所有者にとって、大きな助けとなります。
補助金の対象となる工事は、老朽化した危険な建物の解体、耐震補強、定住を目的としたリフォーム、残置物の撤去など多岐にわたります。ただし、補助金は基本的に工事完了後の「事後精算」であり、着工前に申請手続きを済ませる必要があります。
また、各自治体の予算には上限があるため、年度の途中で予算額に達した場合は、受付期間内であっても申請を締め切ることがあります。補助金の活用を検討する際は、早めに自治体の担当窓口へ相談し、最新の状況を確認することが重要です。
山形県で使える空き家関連補助金
山形県内では、空き家の有効活用や、倒壊の危険がある老朽空き家の除却を促進するため、多くの市町村が独自の補助金制度を設けています。各自治体の支援制度を上手に活用すれば、リフォームや解体にかかる経済的な負担を軽減できます。
ただし、補助金の名称、申請条件、対象となる工事内容、予算額は自治体によって大きく異なります。予算の消化状況によっては年度の途中で受付が終了する場合もあるため、活用を検討する際は、必ず事前に各自治体の担当窓口や公式ホームページで最新情報を確認してください。以下では、県内の代表的な制度を5つの目的に分類して解説します。
空き家のリフォーム・改修に関する補助金
山形県内では、老朽化した空き家を現代の生活様式に合わせて再生し、若者世帯や移住者の定住を促すためのリフォーム補助金が充実しています。特に豪雪地帯である山形県の地域性を反映し、「克雪化(屋根の雪対策など)」や「断熱化(寒さ対策)」を含む工事に対して、加算措置や優先採択を行う自治体が多いのが特徴です。
また、鶴岡市のように、条件を満たせば最大200万円〜300万円という大規模な支援を行う自治体もあります。以下に、主要な市町村の制度をまとめました。
| 市町村名 | 制度名 | 補助上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 米沢市 |
米沢市空き家・空き地利活用支援事業補助金(空き家改修支援事業) |
【移住者】上限100万円(2/3)+加算最大20万円 【一般】上限50万円(3/10) |
改修費50万円以上、市内業者と契約。 【移住者】市外1年以上居住・定住意思、築10年以上・空き1年以上。 【一般】空き家バンク登録・築20年以上。 |
| 鶴岡市 |
令和7年度鶴岡市住宅リフォーム支援事業補助金 |
一般:上限20万円(10%) 移住等:上限30万円(20%) 特別枠:上限200~300万円 |
工事費30万円以上、市内業者施工。 令和7年4月1日~12月19日に事前申請必須。 |
| 新庄市 |
令和7年度新庄市住宅リフォーム補助金 |
一般:上限20万円(10%) 移住等:最大50万円 |
基準点10点以上(小規模5点以上)。 市内業者施工、着工前申請必須。 |
| 寒河江市 |
老朽住宅等管理支援事業補助金(空き家バンク) |
世帯属性により変動(詳細規定あり) |
空き家バンク利用物件。 改修後、期限内に実績報告。 |
| 長井市 |
令和7年度長井市住宅リフォーム補助金 |
一般:上限24万円(20%) 移住等:上限30万円(30%) |
市内所有住宅、市内(県内本店)業者施工。 市税滞納なし。 |
| 天童市 |
住宅リフォーム支援事業費補助金 |
一般:上限24万円(1/5) 人口減少対策:上限30万円(1/3) |
基準点10点以上、未着工。 県内業者施工、期限内報告。 |
| 東根市 |
東根市住まい応援事業 |
上限15万円(1/10) |
市内業者施工、工事費10万円以上。 着工前申請必須。 |
| 尾花沢市 |
空き家活用支援事業 |
改修費2/3(上限100万円) |
空き家バンク登録物件。 移住者・子育て世帯等。 |
| 南陽市 |
令和7年度南陽市住宅リフォーム支援事業 |
一般:上限24万円(1/3) 移住等:上限30万円(1/3) |
市内所有・居住住宅。 断熱等の要件工事を含む。 |
空き家の解体に関する補助金
豪雪地帯である山形県では、積雪による家屋倒壊が近隣への被害に直結しやすいため、多くの自治体が「危険な空き家」の解体(除却)に対して手厚い補助を行っています。特に、解体費用の補助を受けるためには、自治体による事前調査で「不良度判定(評点)」を受け、一定の基準(100点以上など)を超えていると認定される必要があるのが一般的です。
また、米沢市のように、空き家の所有者だけでなく、被害を受ける恐れがある「近隣住民」が解体を行う場合に最大400万円を補助する画期的な制度もあります。
以下に、主要な市町村の制度をまとめました。
| 市町村名 | 制度名 | 補助上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 山形市 |
山形市老朽危険空き家除却補助事業補助金 |
上限100万円 |
・市内にある住宅の過半として使用されていた空き家。 ・住宅の不良度測定基準による評点合計が100点以上。 ・所有権以外の権利が設定されていないこと(同意があれば可)。 |
| 山形市 |
山形市市街化区域空き家除却補助事業補助金 |
上限50万円 |
・市街化区域内に所在すること。 ・住宅の不良度測定基準で25点以上。 ・市税の滞納がなく、同一世帯の前年所得が655万円以下。 |
| 米沢市 |
米沢市不良住宅・特定空家等除却促進事業費補助金 |
最大120万円/最大60万円/最大400万円 |
・不良住宅(評点100以上)または特定空家等。 ・【個人申請】所得320万円未満または非課税。 ・所有期間5年以上。 ・【近隣住民枠】対象空き家から概ね1km以内。 |
| 鶴岡市 |
鶴岡市危険空き家等解体補助金 |
個人型:上限50万円 地域まちづくり事業型:上限75万円 |
・不良度評点130点以上、または100点以上で危険度あり。 ・地域まちづくり事業型は評点50点以上。 |
| 酒田市 |
酒田市住宅総合支援事業(空き家の解体工事) |
一般地域:上限20万円 防火・準防火地域:上限40万円 |
・空き家期間3年以上。 ・昭和56年以前に建築。 |
| 酒田市 |
酒田市危険空き家解体支援補助金 |
上限80万円(補助率8/10) |
・評点100点以上の管理不全空き家。 ・県内本社かつ市内事業所の解体業者を利用。 |
| 新庄市 |
令和7年度空き家等除却支援事業 |
上限50万円/上限70万円/上限100万円 |
・登記簿上の所有者。 ・未登記の場合は固定資産税納税義務者。 |
| 寒河江市 |
令和7年度寒河江市老朽住宅等管理支援事業補助金 |
不良住宅:上限80万円 空き家住宅:上限40万円 |
・1年以上未使用の住宅。 ・木造または軽量鉄骨造。 ・評点50点以上100点未満。 |
| 村山市 |
村山市老朽危険空き家除却促進事業補助金 |
上限100万円/上限50万円 |
・事前調査で補助対象と判定。 ・不良住宅(評点100以上)または空き家(評点50以上)。 |
空き家の取得に関する補助金
山形県内では、空き家の解消と人口減少対策を兼ねて、空き家の「取得」にかかる費用を補助する制度が数多く設けられています。特徴的なのは、単に家を買う費用を補助するだけでなく、「子育て世帯」や「県外からの移住者」に対して、補助金額を大幅に上乗せする自治体が多い点です。
以下に、県内の主要な制度をまとめました。
| 市町村名 | 制度名 | 補助上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 米沢市 |
隣接地取得支援事業 |
最大120万円 |
・隣接地または自己所有地等が200㎡未満、無接道地または異形地で、隣接地取得により解消できること。 ・隣接地または自己所有地等に空き家が存在すること。 |
| 寒河江市 |
令和7年度寒河江市子育て定住住宅建築事業補助金 |
最大150万円/最大100万円 |
・子育て世代(定住者)支援タイプ:中古住宅購入、工事費の1/2(第2子以降1人10万円加算)。 ・定住支援タイプ:工事費の1/2。 ・交付決定後に中古住宅を購入する方。 ・契約者全員に市税等の滞納がないこと。 |
| 村山市 |
令和7年度村山市子育て応援・定住促進事業補助金 |
最大60万円 |
・中古住宅(土地付)購入が対象。 ・3年以上居住すること。 ・購入費150万円以上。 ・登記上、土地の所有権を有すること。 |
| 天童市 |
やっぱりてんどう!中古物件等取得支援補助金 |
市外転入:40万円 市内転居:30万円 |
・市区町村税の滞納がないこと。 ・売買契約相手が二親等以内の親族でないこと。 |
| 東根市 |
東根市定住促進事業助成金 |
基本額15万円+各種加算 |
・転入前3年間、市内に住所がないこと。 ・転入から3年未満で対象住宅に入居。 ・本人および同居家族全員に市税等の滞納がないこと。 |
| 尾花沢市 |
ふるさと暮らし応援事業(中古住宅助成/空き家改修事業) |
上限100万円(最大200万円) |
・中古住宅取得は購入価格の10%。 ・尾花沢市へ定住する方。 ・子育て世帯等は上限加算あり。 |
| 南陽市 |
子育て世代住宅取得交付金 |
最大50万円 |
・中古住宅(移住+子育て世代)が対象。 ・土地+建物の購入金額が500万円以上。 ・取得後5年以上継続居住できること。 ・世帯全員に税の滞納がないこと。 |
空き家の家財処理に関する補助金
空き家を売却・賃貸に出す際、大きな障壁となるのが室内に残された大量の家財道具(残置物)です。自分たちだけで片付けるには膨大な労力がかかり、業者に依頼すれば数十万円の費用が発生することも珍しくありません。
山形県内の一部自治体では、こうした負担を軽減するため、家財処分にかかる費用の一部を補助する制度を設けています。主な条件として、「空き家バンクへの登録」を義務付けている自治体がほとんどです。
| 市町村名 | 制度名 | 補助上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 山形市 |
空き家バンク利活用推進補助金 |
上限10万円(対象経費の1/2以内) |
・空き家バンクに登録されている物件の所有者。 ・売買等が成立した場合を除き、2年以上継続してバンク登録すること。 |
| 長井市 |
長井市空家等家財片付け支援事業費補助金 |
上限10万円(補助対象経費の1/2以内) |
・空き家バンク登録物件の所有者。 ・売買等が成立した場合を除き、1年間継続して空き家バンク登録ができる方。 ・市税の滞納がない方。 |
| 天童市 |
空き家バンク登録物件片付け事業費補助金 |
上限10万円 |
・空き家バンクに登録した、または登録しようとする物件であること。 ・住宅家財の処分、清掃、庭木の伐採等を行うこと。 ・県内業者と請負契約を締結し事業を実施すること。 |
その他の補助金
空き家の活用を進める上では、工事費用以外にも「不動産会社の仲介手数料」や「耐震診断の費用」など、さまざまな初期費用が発生します。山形県内の一部の自治体では、こうした諸経費に対する補助制度も用意されています。
自治体によっては「危険なブロック塀の撤去」や「相続登記の費用」、「インスペクション(建物状況調査)」に対して補助を行っているケースがあります。ご自身が所有する空き家がある市町村の公式ホームページを確認するか、担当窓口へ問い合わせ、使える制度がないかを確認することをおすすめします。
| 市町村名 | 制度名 | 補助上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 山形市 |
空き家バンク取引仲介手数料補助金 |
上限5万円(仲介手数料の1/2以内) |
・空き家バンク登録物件を宅建業者の仲介で購入・賃借し、居住すること。 ・市外に10年以上居住していた移住者、または震災避難者等が対象。 |
補助金を受けるための流れと注意点
空き家補助金を活用するには、あらかじめ全体の流れと注意点を把握しておくことが重要です。多くの制度では「事前申請」が原則となっており、工事や解体を始めてからでは申請できないケースが少なくありません。
また、補助金は自治体ごとに目的や条件が異なり、申請期間や予算枠も限られています。内容を十分に確認せずに進めると、想定していた補助が受けられないこともあるため、早い段階で情報収集を行い、計画的に進めることが大切です。
申請に必要な主な書類
空き家補助金の申請では、自治体ごとに細かな違いはあるものの、基本的には「工事内容」と「所有者」を確認できる書類一式の提出が求められます。あらかじめ準備を進めておくことで、申請受付開始後も慌てずに対応できます。
一般的に必要とされる主な書類は、以下のとおりです。
・交付申請書:各市町村の窓口や公式サイトから取得できる定型の申請書類。
・工事見積書および内訳書:工事費用の総額に加え、内容の内訳が確認できるもの。
・位置図・現況写真:空き家の所在地が確認できる地図と、工事前の建物状況がわかる写真。
・登記事項証明書(未登記の場合は納税証明書など):建物の所有関係を確認するために法務局で取得。
・本人確認書類:申請者の運転免許証やマイナンバーカードの写しなど。
・完納証明書(納税証明書):市税などに滞納がないことを証明する書類が求められる場合あり。
また、解体補助金では、自治体によって「空き家判定調査」などの事前調査結果の提出が必要となる場合もあります。書類の準備や手続きに不安がある場合は、工事を依頼予定の業者に相談し、サポートを受けながら進めるのも一つの方法です。
申請する上での注意点や落とし穴
空き家補助金を活用する際に注意すべき点のひとつが、申請のタイミングです。多くの制度では、交付決定前に工事や解体を開始してしまうと補助の対象外となります。先に着手しないことは、基本ルールとして必ず押さえておきましょう。
また、補助金には年度ごとの予算枠が設定されており、申請期間内であっても予算上限に達した場合は、受付が終了することがあります。検討段階のうちから早めに自治体に相談し、制度の最新情報を確認しておくことが重要です。
さらに、補助対象となる工事内容や施工業者が限定されている場合もあります。要件を満たさない業者に依頼すると、申請が却下されることもあるため、事前に条件を確認したうえで進める必要があります。
加えて、補助金は原則として工事完了後に支給される「事後精算」方式です。一時的に費用を立て替える必要があるため、資金計画をしっかり立てたうえで、補助制度の利用を検討しましょう。
補助金以外で空き家問題を解決する方法
空き家対策として補助金制度は有効な手段の一つですが、すべてのケースに適用されるとは限りません。制度の条件や申請手続き、将来的な活用計画によっては、別の方法を選択したほうが費用や手間の負担を抑えられる場合もあります。
空き家の状況や所有者の意向に応じて、売却、空き家バンクの活用、賃貸、リノベーションといった複数の選択肢を比較し、それぞれの特徴を把握した上で、無理のない解決策を検討することが重要です。
補助金だけでは難しいケースがある
補助金制度は空き家対策に有効ですが、すべての状況に対応できるわけではありません。特に以下のようなケースでは、活用が難しい傾向があります。
・費用が不足する場合
補助金は工事費の一部を支援するもので、全額を賄えるわけではありません。たとえば、解体に200万円かかっても、補助が50万円であれば残りの150万円は自己負担となります。さらに、工事後に支給される制度が多く、先に全額を立て替える資金が必要です。
・手続きの負担が大きい場合
申請には、見積もりの取得や図面・写真の用意、申請書の作成など、多くの手間がかかります。遠方に住んでいる方や多忙な方にとって、役所とのやり取りが大きな負担になります。
・補助金の目的に合わない場合
多くの補助金は、「居住用として活用する」「賃貸として活用する」といった利活用が前提です。今後住む予定がなく、できるだけ早く手放したい方にとっては、かえって条件が合わず使いにくい場合もあります。売却や処分を検討している場合は、補助金以外の方法も視野に入れるとよいでしょう。
空き家を売却する
今後その空き家を利用する予定がなく、管理の手間や維持費を削減したい場合は、売却によって手放すことが有効な解決策となります。売却が完了すれば、固定資産税や火災保険料などの継続的な費用に加え、建物管理や近隣への配慮といった精神的な負担からも解放されます。
ただし、築年数が古く老朽化が進んでいる空き家の場合、一般的な不動産会社では「買い手が見つかりにくい」と判断され、仲介による売却が難航することもあります。こうしたケースでは、空き家の買取を専門とする不動産会社に相談する方法が有効です。
「空き家パス」のような買取専門業者は、リフォームや再活用を前提とした対応に慣れているため、老朽化した建物や残置物が残ったままの状態でも、そのまま買い取れる場合があります。売却後に契約不適合責任が免責されるケースも多く、トラブルを避けたい所有者にとって安心できる選択肢です。
空き家バンクを活用する
地域への貢献も視野に、時間をかけて活用先を探したい場合は、自治体が運営する「空き家バンク」への登録が有効です。
空き家バンクは、自治体のウェブサイトなどを通じて物件情報を公開し、移住・定住希望者と空き家の所有者をマッチングさせる仕組みです。営利を目的としないため、一般の市場では売却が難しい地方の空き家や古民家でも登録しやすいのが特長です。
山形県への移住に関心のある層に情報が届けば、築年数や状態にかかわらず、買い手が見つかる可能性があります。
ただし、自治体はあくまで情報提供のみで、売買交渉や契約手続きには関与しません。実際の取引は、所有者自身が進めるか、地元の不動産会社に依頼する必要があります。また、登録後すぐに成約に至るとは限らず、長期間にわたって維持管理が必要になるケースもあります。費用や手間を考慮し、慎重に判断しましょう。
空き家を活用する
空き家を売却せず資産として維持する場合は、リフォームを行って活用する方法を検討します。賃貸住宅や民泊施設として運用するほか、地域のコミュニティスペースとして提供するなど、活用の幅は広がります。
賃貸経営や民泊事業が軌道に乗れば、定期的な収入を得ることで固定資産税などの維持費を賄えます。一方で、第三者に貸し出すためには、水回りの交換や耐震補強工事など、数百万円規模の初期投資が欠かせません。
特に山形県での活用においては、冬の厳しい寒さに対応する断熱性能の確保や、積雪時の除雪体制を整えることが重要です。事業として採算が取れるか、リフォーム費用と将来の収益バランスを考慮し、慎重な収支計画を立てることが求められます。
【参考:空き家の活用事例 – 山形県すまい情報センター【タテッカーナ】】
よくある質問とトラブル例
空き家の補助金制度や処分方法は内容が複雑で、制度の利用にあたって疑問や不安を感じる所有者も多く見られます。
特に、「所有している空き家は補助金の対象になるのか」「手続きの相談先が分からない」といった質問はよく寄せられる内容です。
ここでは、空き家の所有者から寄せられることの多い質問と、トラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。
Q:補助金と売却、どちらが良いですか?
A:将来的な利用方針によって、最適な選択肢は異なります。
ご自身やご家族が住む予定がある、あるいはリフォーム後に賃貸物件として活用したいなど、明確な目的がある場合は、補助金を活用して初期費用を抑える方法が有効です。
一方で、空き家を利用する予定がなく、維持管理の手間や固定資産税などの費用負担を軽減したい場合は、無理に保有を続けるよりも売却するほうが合理的な解決策です。
築年数が古く、市場価値が低いと一般的に見なされる物件でも、「空き家パス」のような買取専門業者であれば、リフォームや解体を行わず現状のまま買い取ってもらえるケースがあります。補助金申請を検討する前に、まずは買取査定を受けてみるのも有効な選択肢です。
Q:古い空き家や傷みがある空き家でも補助金は使えますか?
A:はい、多くの場合で補助金の利用が可能です。
老朽化が進み、倒壊のリスクがある空き家については、行政が安全確保のために「除却(解体)」を推奨しており、補助の対象となるケースが少なくありません。リフォームについても、空き家バンクを活用して移住者に提供する場合などは、築年数に関係なく支援制度を利用できるケースがあります。
ただし、制度によっては「1981年以前の旧耐震基準で建築された建物」や「自治体の調査で一定以上の危険度が認定された物件」など、特定の条件が設けられていることもあります。補助金の利用を検討する際は、所有する空き家が要件を満たしているかどうか、事前に各自治体の担当窓口で確認することをおすすめします。
Q:補助金申請が難しそう…誰かに頼めますか?
A:専門家の支援を活用して進めることが可能です。
空き家の補助金申請には、図面の作成や専門的な書類の提出が必須となりますが、多くのケースでは工事を担当する工務店や解体業者、建築士などが手続きの代行やサポートを行っています。また、書類作成のプロである行政書士へ依頼し、申請業務を一任するという方法もあります。
山形県内の多くの自治体で専用の相談窓口が設けられており、申請の流れや書類の書き方について詳しく案内を受けられます。手続きへの不安から申請を断念するのではなく、まずは施工予定の業者や役場の担当課へ相談し、受けられるサポートを確認することをおすすめします。
Q:空き家を自治体に寄付できますか?
A:自治体への寄付は、公共的な活用目的が見込めない限り受け入れられにくいのが一般的です。
「無償で譲渡したい」と申し出を行う所有者も見られますが、実際に寄付を受け入れている自治体は非常に限られています。自治体が寄付を受けると、固定資産税の税収が途絶えるだけでなく、建物の維持管理や将来的な解体に公費を要することになり、財政負担が生じるためです。
例外となるのは、対象の土地が道路拡張や公園整備などの公共事業に該当する計画エリア内にある場合です。自治体の窓口で相談することは可能ですが、所有者の個人的な事情による寄付が受け入れられる可能性は極めて低いと考えられます。
Q:住宅セーフティネット制度とは何ですか?
A:高齢者や子育て世帯など、住まいの確保が難しい方の入居を受け入れる賃貸住宅として、物件を登録する制度です。
住宅セーフティネット制度とは、低額所得者、高齢者、子育て世帯といった「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない物件として、都道府県などに登録を行う制度です。
空き家の所有者にとっての利点は、リフォーム工事にかかる費用の一部について補助を受けられるケースがあることです。耐震補強やバリアフリー設備の導入、間取り変更といった改修工事に対し、国や自治体から助成金が交付される場合があります。
空き家を再生して賃貸経営を行いたい、あるいは地域社会への貢献を検討している場合、住宅セーフティネット制度への登録と補助金の活用は有効な手段となります。
まとめ
山形県の空き家対策では、自治体の補助金制度を活用することで、解体や雪害対策のリフォームにかかる費用負担を抑えることができます。
ただし、補助金には「着工前の申請」や「工事費の一時立て替え」などの条件があり、資金と手間の両面で準備が必要です。今後、空き家を活用する予定がない場合は、無理に維持するよりも早めに売却し、雪下ろしや固定資産税といった負担を根本から解消する選択も検討しましょう。
「手続きが面倒」「費用が捻出できない」とお悩みの方は、ぜひ空き家パスへご相談ください。空き家パスでは、雪害で損傷した建物や再建築不可の土地など、他社で断られやすい物件でも現状のままで買取しています。
全国対応で、査定・相談は完全無料です。LINEやWebフォームから手軽にお申し込みいただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。










