COLUMN
コラム

空き家の名義変更はしないとトラブルの元!?義務化の理由と変更方法・費用を解説

ご存知でしょうか。平成29年国交省の調査によると、日本の国土の1/5が、所有者不明もしくは連絡が取れない「所有者不明土地」として、活用されず放置されているそうです。
その状況を鑑み、政府は所有者不明土地に関する法律をさまざま成立させています。法律案の中には、不動産を所有する人に対して、自身の不動産の名義変更を義務づける内容もあります。怠ると過料などの罰則もありますので、この機会にきちんと学んでいきましょう。

この記事で分かること

  • 空き家の名義変更(不動産登記)とは何か
  • 相続した空き家の名義変更の流れ
  • 相続した空き家の名義変更にかかる費用
  • 名義変更をしなかった場合に起こりうるトラブル

営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

空き家の名義変更(不動産登記)とは?

日本の不動産(建物・土地)は、「不動産登記簿」という帳簿によって管理されています。登記簿には不動産の面積や場所などの基本情報に加え、どこの誰が所有しているのかなど、権利に関しての情報も載っています。
まずは、所有権の登記について理解するために、とある事例の登記を実際に見てみましょう

空き家の所有権移転の登記事例

ある不動産の所有者が以下の通り変わったことを前提とします。

  1. 新宿区に住んでいる山田太郎さんはある土地を売買で取得した
  2. 太郎さんはその数年後に亡くなり、妻の花子さんが単独で相続した
  3. 花子さんもその数年後に亡くなり、息子の一郎さん(新宿区在住)と二郎さん(渋谷区在住)が共有持分2分の1ずつで相続した

この場合、登記簿の権利の欄には以下の表のように所有権について登記されることとなります。

権利部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登記の目的 受付年月日
受付番号
権利者その他の事項
1 所有権移転 昭和63年4月1日
第1234号
原因 昭和63年4月1日売買
所有者 新宿区●丁目●番●号
山田太郎
2 所有権移転 平成20年6月1日
第2345号
原因 平成20年4月1日相続
所有者 新宿区●丁目●番●号
山田花子
3 所有権移転 令和2年6月1日
第3456号
原因 令和2年4月1日相続
所有者 新宿区●丁目●番●号
持分2分の1
山田一郎
所有者 渋谷区●丁目●番●号
持分2分の1
山田二郎

このように、どこの誰が、いつその不動産を取得したのかが分かるようになっているのが不動産登記簿の特徴です。

不動産登記法改正で相続登記や住所等変更登記の申請が義務化

政府は2021年4月、不動産登記法の改正案を成立させました。この改正案では不動産所有者に対して以下の不動産登記を義務付けています。

相続登記の義務化

不動産登記法改正により、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続で不動産を取得した人は、その事実を知った日から3年以内に相続登記の申請をしないと10万円以下の過料を科せられます。これは法改正以前から相続登記をしていない不動産も対象で、改正法の施工日から3年以内に行う必要があります。
先ほどの事例でいうと、花子さん、一郎さん二郎さんが、それぞれ土地を相続した際に所有権移転の登記を行いました。この登記(名義変更)が義務付けられるということです。

相続した空き家の名義変更の期限

上記で解説した通り、相続登記(名義変更)の期限はその事実を知った日から3年以内です。法改正以前から相続登記をしていない不動産の場合、改正法の施工日から3年以内である令和9年(2027年)3月31日が期限です。

住所等変更登記の義務化

不動産を所有している人は、引っ越し等で住所変更した場合、自身の所有する不動産について、2年以内に住所変更の手続きをしないと5万円以下の過料の対象となります。
先ほどの事例でいうと、とある不動産を所有している太郎さんは新宿区在住であり、登記簿の所有者の欄にも「所有者 新宿区●丁目●番●号 山田太郎」と記載されています。引っ越しした場合にはその引っ越し先を登記にて変更しなければならないということです。
この改正案の施行は2024年を予定しています。不動産を所有している方は不動産登記について理解して、忘れずに変更登記を行いましょう。

 

空き家の名義変更が義務化された理由

では、なぜ政府はこのような改正案を成立させたのでしょうか。
それは日本中に誰のものかわからず活用できない「所有者不明土地」が増加したことが挙げられます。

本来、所有権変更の登記は、不動産を取得した所有者が「その不動産が自分のものであること」を他人に証明するためにわざわざ行うものであり、義務ではありませんでした。しかし、義務ではなかったことで、登記をしない人が多く発生しました。
よくあるケースとしては、土地を相続で取得した場合です。両親が所有していた田舎の不動産を、兄弟とともに相続したとします。自分で使う予定もなく、変更の登記をしなくとも実生活で問題が発生することはないので、両親の名義のまま放置しておきました。その後、子や孫に所有者の変更登記がなされないまま相続が繰り返された場合、誰のものなのかわからないという土地が発生してしまいます。所有者不明土地のほぼ大半が、この相続登記をしないことが原因となっています。

また、不動産所有者の住所変更忘れも原因として挙げられます。引っ越しをする際、やることが多いので、自身の保有している不動産の住所変更登記までは気が回らない方が多いのです。結果として、所有者がどこかで生きているにも関わらず、土地の所有者の連絡先がわからず活用できないという土地が増えました。
これらの傾向は、所有権登記を行うメリットの少ない地方の過疎地でとくに見受けられます。少子高齢化の影響もあり、所有者不明土地は増えています。

 

相続した空き家の名義変更が必要な理由は?所有者不明土地の問題点

では、なぜ所有者不明土地は問題なのでしょうか。実は、国家だけでなく我々個人にとっても問題となる場合があるのです。
国家でみると、道路等の公共事業の計画地に所有者不明土地が含まれていることが判明し、計画がとん挫してしまうことがあります。
土地を買収するためには所有者を探さなければなりませんが、多大な労力をかけ戸籍などの情報を追っても、誰のものかわからない・連絡先が分からないということでどうしようもなってしまうそうです。
そういった調査にも我々の税金が使われているので、大きな問題と言えます。
また、所有者不明土地は管理が行き届かないという問題もあります。荒れ放題になってしまった空き家や土地が近くにあると、防犯面や景観面で周辺住民も困ってしまいます。
また、自分が所有者不明土地を相続してしまうということもあるでしょう。
有者不明土地を自分のものとして登記するためには、最後に登記された所有者の戸籍を調べ、自分含めその子孫全員を探し出し、同意をもらう必要があります。そこまでの労力をかけるのはなかなか難しいのが現状です。

このように、所有者不明土地は国家・民間ともに大きな問題であることから、今回の法整備が行われることとなりました。

営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

相続した空き家の名義変更をしない場合のトラブル

不動産を相続などで取得した場合は、相続登記などの名義変更が必要であることをお伝えしました。では、名義変更を行わなかった場合どうなるでしょう。考えられるトラブルをご紹介します。

3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料

2024年4月1日から施行された相続登記の義務化により、相続を知ったときから3年以内に相続登記を行わなかった場合には罰則があります。
10万円以下の過料が科せられることになりました。

空き家を売却できない

相続により空き家を所有しても、住む予定がなかったり、田舎にあって活用やメンテナンスが難しい場合は売却を検討する方が多いでしょう。
売却する際には相続登記が必要なため、いざ売ろうとするときに準備に数ヶ月かかってしまうケースもめずらしくありません。
また、賃貸で活用するためにリフォームする場合にも、相続登記が必要です。

空き家の名義変更登記は自分でもできる?

不動産登記は、法務局に登記申請書と必要書類を提出することで、誰でも行うことができます。
しかし、申請には不動産や登記法に関する知識がある程度必要です。
簡単な内容であれば法務局に問い合わせながら自分でやることも可能ですが、平日の日中に法務局や役所にいかなければならないことがネックです。司法書士に依頼するのが一般的なので、まずは相談してみるのもいいでしょう。
名義変更登記の具体的方法や費用については、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。

\合わせて読みたい/

空き家の名義人変更登記は費用は?

空き家の名義人変更登記は費用は?自分で登記申請する流れも一緒に解説
政府は2021年4月、不動産登記法の改正案を成立させました。そもそも登記とは何かについてや、自分で登記申請をするためには何をすればよいかについて、わかりやすくお伝えしていきます。

不動産登記の流れ

主な流れは以下の通りです。

  1. 登記申請書を作成する
  2. 申請に必要となる書類をそろえる
  3. 法務局に登記申請する
  4. 書類審査・完了

それぞれ説明していきましょう。

登記申請書を作成する

法務局のHPから申請書のフォーマットをダウンロードし、記載例を見本にしながら記入していきます。わからない点は法務局の相談員に質問することもできます。

申請に必要となる書類をそろえる

役所や法務局で、申請に必要な書類を集めます。書類は、名義変更の原因によって必要書類が異なります。添付書類を間違えるとまた役所に取りに行かなければなりませんので、法務局に確認をとりながら進めましょう。

書類としては主に、戸籍謄本や住民票等の関係者を把握する書類、登記原因を証明できる書類(例:売買の場合は売買契約書、贈与の場合は贈与契約書、離婚の場合は戸籍謄本や離婚協議書など)などが挙げられます。

法務局に登記申請する

対象の不動産を管轄する法務局に対し、必要書類とともに申請をします。

書類審査・完了

申請後、法務局が審査します。修正が必要な場合は都度対応しましょう。

審査が完了すると、法務局より登記完了証と登記識別情報が交付されます。登記識別情報とは、暗号シールで隠された12桁の符号で、この符号が権利証の代わりとなります。大切に保管しましょう。

 

相続した空き家の名義変更費用

主な費用は以下の3つです。

  1. 登録免許税
  2. 必要書類にかかる実費
  3. 司法書士への報酬(委託する場合)

それぞれ説明していきましょう。

 

登録免許税

登録免許税とは、国があなたの登記申請を認める(免許)ために発生する税金です。

原因により異なりますが、主な計算式は以下の通りです。

売買

不動産の固定資産税評価額×2%

相続

不動産の固定資産税評価額×0.4%

その他(贈与・交換・収用・競売等)

不動産の固定資産税評価額×2%
別途、一定の要件を満たす場合は税率が軽減されます。国税庁のHPを確認しましょう。

なお、固定資産税評価額は、実勢の価格とは異なり、固定資産税徴税のため各自治体が個別で決定している評価額です。毎年役所から送られてくる固定資産税納税通知書に記載されていますので確認してみましょう。
 

必要書類にかかる実費

戸籍謄本で450円、住民票で300円といずれも数百円で発行できるものばかりです。

原因によって必要書類が異なりますので、司法書士や法務局に確認をとり用意しましょう。

 

司法書士への報酬(委託する場合)

最後は司法書士へ委託する場合の報酬です。

相続人や不動産の数、どこの事務所に頼むかで報酬は異なります。ただし、目安として日本書士会連合会が2018年に全国の司法書士に対してアンケートを取った結果がありますので、それ をお伝えします。

当該アンケートでは、前提を統一するために以下の条件での参考価格を聞いています。

  1. 相続を原因とする所有権移転登記手続
  2. 土地1筆及び建物1棟(固定資産評価額の合計1000万円)
  3. 法定相続人は3名で,うち1名が単独相続した場合
  4. 戸籍謄本等5通の交付請求、登記原因証明情報(遺産分割協議書及び相続関係説明図)の作成及び登記申請の代理をした場合

アンケート結果によると、報酬の全体の平均値は6万円~8万円となっています。
あくまで目安にはなりますが、参考価格として押さえておきましょう。

固定資産税評価額1000万円の不動産を相続した場合に名義変更でかかる費用

最後に、冒頭で例に挙げた新宿区に住んでいる山田太郎さんの土地(固定資産税評価額1000万円)を妻の花子さんが単独で相続した場合にかかる費用を算出してみます。

内容 概算金額 備考
登録免許税 40,000円 評価額1,000万円×0.4%
必要書類にかかる実費 1,650円 戸籍謄本1枚750円
住民票の除票1枚300円
登記事項証明書1枚600円
司法書士への報酬 65,000円 関東地区の参考価格
合計 106,650円

案件により金額は異なりますが、10万円以上はかかるものとしてとらえておきましょう。

まとめ

相続した空き家の名義変更について、義務化された理由や流れ、費用を解説しました。
法改正により、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で所有者が変わった場合には名義人変更が必要です。その際にかかる費用の相場は10万円以上になることが多いでしょう。
費用をかけたくない場合や、相続しても使い道がなかったり維持に手にかかる物件という場合は相続放棄という方法もあります。
相続放棄に関してはこちらもご参照ください。
【空き家の相続放棄】期限と方法、5つの注意点とは?

空き家パスは、相続関係のトラブルがある物件や田舎の空き家など、他の不動産会社では断られた物件であっても買い取った実績がある空き家買取専門業者です。
相続した空き家についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

空き家の買取なら空き家パス| 東 京・埼玉・愛知・福岡など全国対 応のTOPへ戻る

       

【即現金化!】完全無料の査定を相談する