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未登記建物を売買したい!売買方法や注意点、登記方法、費用を解説

未登記建物を売買したい!売買方法や注意点、登記方法、費用を解説

「不動産を売買したいけど建物が未登記だった」「未登記建物をそのまま売却することは可能なのか」など、建物が未登記だった場合、不動産売却に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、未登記建物の売買方法や注意点、登記方法と登記費用について解説します。

この記事で分かること

  • 未登記建物の売買には所有権主張や融資の制限、所有権奪取のリスクが存在。
  • 未登記建物の売買方法は未登記のまま売買、売主が登記後に売買、解体して土地のみ売買などがある。
  • 未登記建物の登記方法は表題登記や所有権保存登記、相続登記などがあり、費用は10〜20万円程度。

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未登記建物とは何か?

未登記建物とは何か?不動産登記と未登記建物が生じる理由
未登記建物とは、建物を建築した際に1ヶ月以内に行わなければならない「表題登記」の手続きをしていない建物のことをいいます。表題登記の手続きは、不動産登記法によって義務付けられていますが、現実には登記をしないまま放置されている建物が多く存在します。

未登記建物は、登記上の建物の所在や所有者が不明な状態であり、所有権や抵当権などを示すことができません。

不動産登記の種類

不動産登記には次の4種類があります。

  • ・建物表題登記
  • ・所有権保存登記
  • ・所有権移転登記
  • ・抵当権設定登記・抵当権抹消登記
  • これらの登記は、「建物を建築した」「不動産の所有者が変わった」「金融機関などから融資を受けた」「借入を完済したため抵当権を抹消したい」場合などに必要になります。

    未登記建物が生じる理由

    法律で義務付けられているのに、なぜ未登記建物が存在するのでしょうか。未登記建物が生じる理由はいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。

    現金での購入

    現在は家を建てる時に、金融機関などから住宅ローンの融資を受けて、不動産を担保するために登記を行うことが一般的です。

    しかし、融資を受けない場合は、抵当権設定登記を行う必要がありません。昔は家を建てる時に現金一括で支払うことが多かったため、住宅ローンを組む必要がなく、費用と手間がかかる登記の手続きを行わずに未登記のままの建物が残っているのです。

    築年数が古い

    未登記建物は、築年数の古い建物に多いです。1950年(昭和25年)に土地台帳法が改正され、それまで別々に管理されていた不動産登記簿と家屋台帳が一緒に管理されるようになりました。

  • ・不動産登記簿:建物の所有者の住所や氏名などを記したもの
  • ・家屋台帳:家屋の所在や面積など、現在の表題部にあたる情報を記したもの
  • これら2つの情報を1つに移行するための更新手続きが行われなかったことは、未登記建物が存在する理由の一つです。

    増改築後の変更登記の未実施

    表題登記が完了している建物でも、増築した場合や建物の床面積に変更が生じた場合の変更登記を行っておらず、一部未登記になっている場合もあります。

    建物の床面積が増える増築の場合は、登記事項と建物の現況に変更が生じるため、表題部分の変更登記を行わなければなりませんが、所有者が増築等を行ったあとに登記が必要であることを知らなかったケースもあり、増築後の一部未登記建物になっているものも数多く存在します。

    相続登記がなされていない状況

    建物を建てた人が登記をしないまま亡くなった場合、通常は遺産分割協議などで相続人を決めてから、その相続人名義で登記します。

    現行法では、相続によって不動産を取得した際の相続登記は義務化されていません。そのため、相続しても相続登記をおこなわないまま、相続した方が亡くなってさらに相続が発生することもあるのです。相続が発生するたびに相続人の人数が増え、権利関係が複雑になっているケースもあります。

    なお、2024年(令和6年)4月1日からは相続登記の申請が義務化されます。詳しくは後述しますが、今後は相続登記を怠れば罰金が課されるため注意が必要です。

    未登記建物の売買が難しい理由とリスク

    未登記建物の売買が難しい理由とリスク
    建物を未登記のままにすると売買の際に様ざまな不都合があります。ここでは未登記建物の売買が難しい理由と未登記建物のリスクについて説明します。

    第三者に所有権を主張できない

    未登記建物のリスクの一つは、第三者に対して所有権を主張できない点にあります。土地や建物の不動産は、売買契約や売買代金の支払いではなく、登記によって所有権が移転します。そのため、未登記の状態だと建物の所有者は土地や建物に付随している権利を第三者に主張できなくなります。

    金融機関から融資を受けられない

    未登記建物を売買する際、買主は金融機関からの融資を受けられません。

    本来、不動産を所有していれば、その物件を担保として融資を受けることができますが、この担保となる不動産に抵当権を設定するためには、まず所有権が認められる必要があるのです。そのため、未登記建物の場合は、買主は融資を受けられなくなるため、現金一括での購入しかできなくなります。

    他人に勝手に登記され、所有権を奪われる

    未登記建物を所有していると、他人に勝手に登記され所有権を奪われるリスクがあります。建物の所有権はあくまで登記簿上の所有者に認められるためです。

    たとえば、Aさんがこれまで固定資産税を支払いながら未登記建物に居住していたとしても、Bさんが自身の名義で登記をしてしまえば、建物の所有権はBさんの物になってしまいます。

    また、未登記建物の売買時に契約や代金の支払いが完了していても、買主による所有権移転登記が完了していなければ、その隙に第三者が自身の名義で登記し、建物の所有権を奪うことが可能になります。不動産(土地・建物)の所有権については登記されているが必要とされているため、未登記建物を売買するうえで悪意の第三者の存在には注意が必要です。

    法律違反の可能性

    そもそも未登記建物は法律違反の状態です。

    不動産登記法第47条では、建物の表題登記について、下記のように定められているからです。

    (建物の表題登記の申請)
    第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
    (引用元:不動産登記法第47条|e-Gov法令検索

    実際には、これまでに未登記建物で過料を請求された事例もないため、未登記建物を所有していることで不利益を被ることはありませんが、法律違反の状態を容認していることに変わりはありません。

    また、2024年(令和6年)4月1日からは、相続登記の申請が義務化されるため、注意が必要です。

    未登記建物の売買方法

    未登記建物の売買方法
    未登記建物であっても売買する方法はいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。

    未登記のまま売買する

    表題未登記のまま、建物を売却すること自体は可能です。ただし、購入後の登記申請の手間を買主が負うことになるので、未登記建物には買手が付きにくくなります。

    未登記のまま売買したい場合は、未登記である旨を売買契約書に記載したうえで、契約を締結しなければなりません。

    具体的には、特約事項にて「土地上に建っている未登記建物も売買対象とする」という趣旨の文言を記載し、売買契約を締結する必要があります。

    売主が登記をしてから売買する

    建物付きで売却したい場合は、売却前に売主が登記をしておく方法が最も良いでしょう。
    売主が表題登記に加え、所有権保存登記をしておけば、通常と変わりなく建物の売買が可能です。買主は、売買代金の決済時に所有権移転登記ができれば問題ありません。

    未登記建物を解体してから登記せずに土地を売却する

    未登記の建物を解体し、土地だけで売却するのであれば、登記は不要です。その代わり、「家屋滅失届」を自治体に提出する必要があります。しかし、建物を解体してもなかなか買手がつかない場合、固定資産税額が建物解体前の6倍になるため注意が必要です。

    買取業者に未登記のまま売却する

    売主が登記を行わなくても建物を売却できる方法として「不動産買取業者に直接買い取ってもらう」という手段があります。
    買取業者に未登記建物を直接売却するのであれば、売主が登記の手続きを行う必要はありません。買取業者は、登記の手間や費用を全て引き受ける前提で物件を買い取ってくれます。

    未登記建物の登記方法と費用

    未登記建物の登記方法と費用
    ここでは、未登記建物の登記方法と登記費用について解説します。

    表題登記の手続き

    未登記建物には、まず、「建物表題登記」をして建物の表題部分の登記簿を作る必要があります。建物表題登記とは、新築した建物やまだ登記されていない土地や建物を新規で行う登記のことです。

    表題部登記をするときに必要な書類は主に以下になります。

  • ・工事完了引渡証明書および印鑑証明書
  • ・建築確認通知書
  • ・建築代金の領収書
  • ・所有者の住民票
  • ・所有者の登記委任状
  • ・検査済証・工事請負契約書等
  • 所有権保存登記・相続登記の手続き

    建物表題登記を行った後に、「所有権保存登記」をします。所有権保存登記とは所有権の登記のない不動産で、最初に行う所有権の登記のことです。これにより権利証(登記識別情報)が交付されます。また、所有権保存登記をすることで、抵当権を設定して銀行から融資を受けることも可能になります。

    建物所有者が亡くなり、建物の登記がされていなかった場合は、直接、相続人名義で建物表題登記や所有権保存登記をすることができます。

    未登記建物の登記費用

    一般的に、未登記建物の登記費用は、10~20万円程度かかるとされています。

    なぜなら、司法書士や土地家屋調査士に依頼することが多いためです。ただし、建物の敷地面積や未登記建物自体が大きい場合には、より高額の費用がかかることもあります。

    また、「所有権保存登記」には、登録免許税を支払う必要があります。登録免許税の計算式は、次のとおりです。

    登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

    未登記建物の登記費用は、「10~20万円+登録免許税」になると念頭に置いておきましょう。

    未登記建物売買の注意点

    「未登記建物を売却したい」「購入予定の空き家が未登記だった」というケースも少なくないため、売買時の注意点を簡単に挙げます。

  • ・権利関係が不安定である
  • ・金融機関のローンが使えない
  • ・未登記のまま放置すると所有権を証明が複雑化する
  • ・次の売買のタイミングで登記が必要になることもある
  • そのため、未登記建物売買のときは、あらかじめ「未登記建物かどうかを十分に調査」し、「登記が完了した建物を購入」したり「取得後、すぐに所有権移転登記を済ませ」たりすることが大切です。

    まとめとよくある質問

    未登記建物についてよくある質問
    最後に、未登記建物についてよくある質問をまとめておきます。

    よくある質問と回答

    Q1:未登記建物を売却する際にまずやるべきことは何か。
    A1:未登記建物を売却するのであれば、まずは自ら登記を済ませておくとよいです。未登記建物の売買には、買主が住宅ローンが組めない、代金支払い後も買主が自ら登記登録できない(第三者に所有権を主張できない)など大きなリスクが伴います。そのため、一般の個人に未登記のまま建物を売るのは困難だと言えるからです。

    Q2:未登記建物の売買は法律に違反するのか。
    A2:未登記建物の売買は法律違反ではありません。ただし不動産の登記には不動産登記法で定められた期限があり、期限を過ぎると罰則の対象となるので注意が必要です。

    Q3:相続登記の義務化はいつからか。
    A3:相続登記は2024年4月1日から義務化されます。相続を知った日から3年以内に相続登記しなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。また、住所変更した場合も登記義務の対象となり、2年以内に正当な理由がなく手続きしなかった場合は、5万以下の過料の対象となります。

    まとめ

    未登記建物の売買方法や注意点、登記方法と登記費用について解説しました。未登記建物の売買は、買主にとって大きなリスクがあるため、売主で表題登記と権利部の登記を行ってから売却することをおすすめしますが、登記の手間や費用を考えるのであれば、専門の不動産買取業者に直接売却するのが賢明といえます。

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