長屋の空き家はなぜ売れない?理由や売却方法を解説
売却しづらい物件として代表的なのが、「長屋式」の住宅です。各地にある長屋式住宅ですが、空き家になっている物件も多いです。
長屋は一つの棟の建物を壁で区切り戸建住宅の集合体を作る建築方法を指します。
土地や建物を複数人で共有することから、物理的・法的に様々な制限があります。不動産の権利についても物件ごとに異なり、そのデメリットの多さから売却しづらい傾向にあります。
そこで今回は、長屋に住まれている方、長屋の一部を所有している方向けに、長屋の概要や売りづらい理由、物件を売却するための方法をご説明します。
また、長屋の空き家なら、すぐに買取してくれる空き家買取専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
買取業者は所有者から直接不動産を買取するため、仲介手数料も不要です。
空き家パスは袋地や旗竿地の不動産などを専門に、他社で断られてしまった不動産や、価格がつかないと言われた不動産でも高額買取しています。
ご相談は無料ですので、まずは一度無料査定をご利用ください!
目次
長屋とは
長屋とは、棟や外壁といった部分を共有し、複数の戸建て住宅が一体になった建物です。
「連棟式建物」や「テラスハウス」とも呼ばれます。長屋の歴史は古く、江戸時代には一般的な住居として利用されていました。
近代化に伴い一戸建てが増えましたが、都市部では住宅が密集することから長屋住居が作られ続け、今に至ります。
長屋の多くは木造で、築年数が経過したものが多くなっています。
長屋の複雑な権利関係
長屋に関する権利関係は様々です。
まず、建物については、長屋は住戸ごとに単独所有の登記がされている場合と、マンションのように区分所有の登記がされている場合があります。
区分所有とは、マンションなどの共同住宅に適用される所有権です。それぞれの居住部分に区分所有権が成立し、専有部については自らの意思で売却などの行為が可能です。
一方、建物の基礎部分や、屋根、外壁、柱や境界壁長屋の住民全員の共有物となるため、変更等の行為に他住民の同意が必要となります。
次に、土地については、建物の専有部分に応じて敷地が分筆されている(住民ごとの単独所有となっている)場合と、敷地全体を共有名義で所有している場合、地主から借地している場合があります。
建物・土地とも単独所有の場合は、自ら居住している専有部分を自らの意思で売却することが可能です。しかし、土地が共有になっている場合は売却について他の住民からの同意が必要となります。
これらの権利については、法務局で土地と建物の不動産登記簿を確認することで把握することができます。
アパートとの違い
一つの建物を複数人で共有するという意味では、マンションやアパートなどの共同住宅も同じです。
しかし、共同住宅では管理組合による定期的なメンテナンスが行われる一方、長屋ではそういった組織がないことから、外壁や構造部などの共有部分のメンテナンスが行き届かない傾向にあります。
また、長屋と共同住宅では建築基準法上の規制の点でも異なります。
共同住宅は建築基準法上、「特殊建築物」という扱いになります。特殊建築物は防火や防災の観点から内装制限や消防に対する定期報告など、様々な対策が必要となります。
しかし、長屋は特殊建築物ではない為、共同住宅のような対策が不要です。
長屋が売却しづらい理由
長屋はその取り扱いの難しさから、売却価格が低くなる傾向にあります。
ここでは、長屋の売却が難しい理由について、詳しくご説明します。
共有関係になっている場合、様々な行為が制限される
長屋の売却が難しい理由の一つ目は、建物が共有状態であることです。
戸建て住宅のように、不動産の名義が自己の単独所有の場合は、リフォームや建て替え、第三者への賃貸、売却などの行為を自らの一存で実施できます。
しかし共有名義になっている場合は、それらの行為が共有者にも影響を与えることから、一定の行為について共有者の同意が必要と法律で定められています。
長屋においても、居住している専有部分については単独で様々な行為が可能です。
しかし、共有部分については単独でできる事項ばかりではなく、共有者の同意が必要な事項があります。
単独でできること | 保存 | 現状維持のために修繕を行うこと (例)壁紙の交換や雨どいの修理など |
---|---|---|
使用 | 不動産を自ら使用すること。共有持分に関わらず、全体の使用をすることも可能 (例)不動産に自ら居住など |
|
共有持分の過半数の同意でできること | 利用 | 短期的に物件を共有者以外に利用させること (例)賃貸物件として短期で賃貸する ※土地の場合は5年、建物は3年までは「利用」、それ以上は「処分」に相当するとされる |
改良 | 物件価値を上げるための改良行為 (例)リノベーション・リフォームなど |
|
全員の同意でできること | 処分 | 不動産の権利関係に対して大きな影響を与える行為 (例)不動産の売却・抵当権の設定・長期間にわたる賃貸契約で第三者に利用させることなど |
長屋でも、土地・建物の両方の単独所有権を持っているのであれば、専有部の売却は住民の同意なく実施することができます。しかし、土地が共有名義になっている場合、売却については他住民の同意が必要となります。
中には、隣の住戸について「相続登記がされておらず名義人が分からない」という事例や、「名義人が高齢で各地に点在している」という事例もあるようです。こうなると、同意を得ること自体が難しくなってしまいます。
物理的に切り離すことが難しい
長屋は、物理的に切り離すことが困難です。
隣の住戸と柱や壁を共有しているため、片方をとり壊すと隣戸の強度が落ちてしまいます。
隣の住戸の補強についてもコストが発生してしまうため、物理的にできたとしてもコスト面から事実上不可となる結果が多いようです。
状態の悪化した建物が多い
適切なメンテナンスがされていない長屋も多くあります。
外壁のひび割れや建物の耐震補強などに代表される建物全体のメンテナンスは、住民全員の同意と出資により行われます。
しかし長屋は古いものが多く、住んでいる方もそれぞれです。
中には、「建物が悪くなってもいいので、お金をかけたくない。」と考える方もいらっしゃいます。
近所付き合いが疎遠になってきている現代において、こういった協力はしづらくなってきています。結果として必要な修繕が行われず、放置されている建物が多いのが実情です。
老朽化が進んだ建物は当然資産価値が低いため、買い手が付きづらい傾向にあります。
メンテナンスが行き届いていないため、長屋が空き家になっていることが多いのです。
単独では接道義務を満たしていない場合が多い
売却する長屋の専有部の土地が接道義務を満たしていない場合、買い手が付きづらい傾向にあります。
接道義務とは、敷地が2メートル以上建築基準法上の道路に接していることを指します。その義務を満たしていなければ、原則として建物を新しく建てることができません(こういった物件を「再建築不可物件」と言います)。
長屋では、全体の土地では接道義務を満たしているものの、専有部の土地一つ一つまでは接道義務を果たせていないケースが多くあります。
長屋を購入する方にとって、「購入した長屋の一部分を切り離して、単独の戸建てを建てられるか」どうかは購入する上での重要な判断材料となります。
それが叶わない土地は資産価値が低いため、売却できたとしても相場より安くなる傾向にあります。
ローンの審査が通りづらい
購入者がローンを使いづらいのも、長屋が売却しづらい要因です。
不動産のローンにおいては、融資を受ける本人の年収などの返済能力だけでなく、抵当にいれる対象不動産の価値も審査の基準となります。
長屋はこれまでご説明した様々な要因から、金融機関にとっても資産価値が低いとみなされています。
銀行が出す利率の低いローンの審査ほど審査が厳しく、ローン融資が下りないケースが多いようです。
結果として、金利の高いノンバンク系のローンで借り入れるか、現金一括でしか購入する方法がなくなることから、購入できる層が限られるようです。
借地権付き建物であることが多い
長屋が借地権付き建物の場合は、さらに売却するハードルは上がります。
借地権付き建物とは、地主から借地した土地の上に建てる建物のことを指します。
一部の長屋では、居住者全員が一人の地主からそれぞれ土地を借り、地代を支払っているケースがあります。
借地権付き建物を売却する場合、建て替えや売却について地主からの承諾が必要となります。
承諾してもらうためには承諾料を支払う必要もあり、こういった制限がある建物はより価格が下がる傾向にあります。
なお、借地権付き建物については、<内部リンク>でも詳しくご説明しています。気になる方はチェックしてみてください。
長屋をより高く売却するための具体的な方法
では、どうすれば長屋を売却することが可能になるのでしょうか。
その答えは、所有している土地と建物について「接道義務を満たした状態で単独所有にすること」です。
これまでご説明してきた通り、長屋が売却しづらい理由は建物が物理的につながっていることや、土地が共有状態であることによる制限です。
土地や建物の所有権を単独にすることができたならば、通常の物件と同じ相場で売却することが可能です。
ここでは、長屋をより高く売却するための方法として3つご紹介します。
土地と建屋を長屋から切り離して売却する
単独所有とする方法の一つ目は、元の長屋から専有部分を切り離すことです。
長屋が売却できない理由は、土地や建物が他居住者との共有状態になっており、様々な行為に同意が必要となる点です。法的・物理的に切り離すことができれば、高く売却することができます。
しかし、切り離せる物件は限られているのが現状です。
前述した通り、長屋の一部を切り離すことで建物全体の強度が弱ってしまう場合があり、できたとしても補強などで別途の費用が必要となります。
物理的に切り離したとしても、前述した建築基準法の接道義務を土地が満たしていない場合は建物を建てることができません。
そういったことから、実際に切り離しを実現できた事例は多くはありません。
他の居住者へ売却する
建物や土地の切り離しができない場合の対策として、他の居住者へ売却する方法が挙げられます。
共有状態が解消されれば高く売却できるというのは他の居住者にとっても同じ話です。
他の居住者に資金的な余裕がある場合、共有解消のために自らの居住分を買い取ってくれるケースがあるでしょう。
長屋の売却について検討しているのであれば、打診してみるのもよいでしょう。
他の居住者の土地を購入する
もし資金に余裕があるのであれば、他の居住者の専有部分を買い取ることで自ら共有状態を解消させる手もあります。
取得にある程度費用が発生したとしても、通常の物件と同じ高い価格で売却することができれば、差益を儲けることが可能です。
しかし、購入するにあたっては、交渉が必要となります。価格交渉などでトラブルになるケースもあるため、不動産仲介会社などの第三者を通じて交渉するようにしましょう。
不動産会社など、第三者への売却を検討する
4つ目の方法は、第三者への売却です。
長屋のような扱いが難しい特殊な物件は、そのまま市場に出しても一般顧客の買い手がつきづらい傾向にあります。そういったことから、不動産会社による直接買取が多いようです。
買取とは、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう売却方法です。
仲介による一般市場への売却では、購入希望者が出てくるまで、売却をすることが出来ません。ずっと売却できないまま、空き家の状態で塩漬けとなっている物件もあります。
一方、不動産会社による直接買取であれば、長屋のような売却が難しい物件に対しても価格査定が行われ、早期売却が可能になります。
物件所有している期間、固定資産税や都市計画税、管理費などのランニングコストが発生します。
こういったコストを削減できる点で、早期に売却することはメリットがあると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、長屋の売却についてご説明しました。
長屋は土地や建物を共有していることから様々な行為に住民の同意が必要となります。
ただでさえ築年数が経過した物件が多いだけでなく、管理組合などもないことから適切なメンテナンスがされていない傾向にあり、全体の老朽化が目立つ物件もあります。
長屋を高い物件で売却するためには、通常の物件と同じく単独所有で接道義務を満たす必要があります。物件全体が建築基準法上の道路に広く接道している場合などはこれを満たすことができる場合がありますが、実際には物件のいずれかが接道義務を満たすことができず、断念するケースもあるようです。
そういった物件は一般市場に出しても購入しようと考える方が少なく、結果として隣家や不動産買い取りの専門会社が有力な買い取り先となります。
このように売却のハードルが高い長屋ですが、まずはご自身の不動産がどういう状態なのかを客観的に確かめることが重要です。
長屋の売却なら空き家パスへ
空き家パスでは長屋の空き家を買取した実績が多数あります!
他の不動産会社に断られてしまった不動産でも買い取った実績が多数ございますので、まずはお気軽にご相談ください。