長屋の切り離し工事とは?検討する際に注意すべきトラブル
長屋の切り離し工事は、一般的な建物の解体工事とは異なるため、さまざまな特有のトラブルが発生する可能性があります。
この記事では、長屋の切り離し工事時に注意すべきトラブルや、その予防策について解説していきます。長屋切り離しをご検討中の方は、ぜひご一読ください。
- 長屋の切り離し工事とは?
- 長屋の切り離し工事時に想定されるトラブル
- 長屋の切り離しにおけるトラブルを予防する方法
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目次
長屋とは何か
長屋とは、2戸以上の複数の住宅が壁を共有しながら横一列に連なっている建物のことを指します。集合住宅の一形態ですが、共同住宅とは異なり、玄関・階段・廊下などは共有しておらず、一軒ずつ独立した住居として扱われます。
古くから日本の伝統的な建物として知られており、1階建てのものが多いのも特徴です。大阪や京都などの関西地方では、「文化住宅」と呼ばれて親しまれています。近年ではタウンハウスやテラスハウスと呼ばれることもあります。
「切り離し」とは長屋の解体方法のこと
「切り離し」とは、長屋の解体方法のことを指します。
前述の通り、長屋は隣家と壁を共有しているため、解体の際にはその壁を切り離す作業が必要になります。こういった特徴から、長屋の解体は「切り離し」と呼ばれるのです。また、長屋は壁を共有しているので、自分の都合のみで切り離しできないということも注意しましょう。長屋の切り離しには、隣人の合意が必要になります。
また、多くの場合、切り離し工事後には補修工事も必要となります。こういった点も、長屋の切り離し工事と他の解体工事との大きな違いです。他の建物の解体工事とは負担が大きく異なるので注意しましょう。
長屋の切り離しで生じるトラブル
長屋は特殊な構造をしていることから、切り離し解体時に特有のトラブルが発生することがあります。
それでは一体どんなトラブルが想定されるのでしょうか?
一つずつ見ていきましょう。
他の住民から長屋の切り離し工事の合意が得られない
長屋の切り離し工事をおこなう際には、法的に必ず他の住民の合意が必要になります。ところが、この合意を得られないというトラブルがよく発生します。
長屋は構造上、隣家と壁・柱・梁などを共有しています。これらは区分所有法で「共用部分」とされ、取り壊しをはじめとした変更には所有者の4分の3以上の承諾が必要です。
(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
引用: 建物の区分所有等に関する法律 | e-Gov法令検索
しかし、共用部分の変更は他の住民の生活環境にも影響を及ぼす問題であるため、なかなか同意を得られないというのが現実です。合意を得られなければ切り離し工事はできませんので、他の住民のこともしっかりと考えて説明や交渉をおこなう必要があります。
合意後に住民から反対される
長屋は、ほとんどが昔に建てられた建物であるため、相続によって所有者が変わっている場合も多いようです。その場合、仮に現所有者から切り離し工事の合意を得られていても、その家族から後に反対される可能性があります。
そのほかにも、日頃の関係性などが影響して、合意後に反対されることもあるでしょう。もし合意を得た後に反対された場合、切り離し工事に支障をきたす可能性もあります。
切り離し工事を検討する際には、こういったトラブルの可能性も念頭に置いておくことが重要です。
そもそも切り離しが困難な構造をしている
長屋の場合、そもそも切り離しが難しい構造をしている場合もあるので注意が必要です。
先述の通り、長屋の多くは古くに建てられたものです。そのため、老朽化によって傾いていて切り離しが出来ないなどのケースが考えられます。
また、切り離し自体は可能でも費用が莫大になってしまう可能性もありますので、事前に構造をしっかりと確認することが重要です。
切り離し後の補修について苦情が入る
多くの場合、切り離し後には外壁等の補修工事も必要になります。
長屋は壁などを共有してしまっているため、物理的に自分の所有区分のみを解体するということができません。必然的に共用部分にも影響を与えることになるため、切り離し後にはその箇所の補修工事をおこなう必要があります。
ところが、その補修範囲や補修方法について、隣家との認識の齟齬が生じ、工事後にトラブルに発展することがあります。そのため、切り離し後の補修工事についてもしっかりと話し合っておく必要があるでしょう。
長屋の切り離しによるトラブルを防ぐために重要なこと
ここまで長屋の切り離し時に想定されるトラブルについて解説してきました。
それでは、これらのトラブルを防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?順番に見ていきましょう。
他の住民に対して入念な説明と交渉をおこなう
他の住民から切り離し工事の合意を得るためには、とにかく入念な説明と交渉を心がけましょう。
長屋の切り離し工事は、多かれ少なかれ他の住民の生活にも影響を及ぼします。どの程度の影響がどの範囲で生じるのかなどをしっかりと説明することで、合意を得られる可能性は高まるでしょう。また、入念な説明をした上で合意を得られないという場合には、条件を変えるなどして丁寧に交渉をしていく必要があります。
先述の通り、区分所有法上、合意を得られなければ切り離し工事はできません。全員が納得できる落とし所を、話し合いを通じて探していきましょう。
他の住民との信頼関係をしっかりと築いておく
切り離し工事の合意を得た後に反対されるというトラブルを防ぐためには、日頃から他の住民と信頼関係を築いておく必要があります。
先述した通り、長屋は古い建物のため相続などによって所有者が変わったケースも多いです。そういった場合、現所有者の合意を得られたとしてもその家族からの反対を受けることもあります。このような状況を防ぐためには、日頃からどんな人がどういった背景でその物件を所有しているのかなどを知っておく必要があります。
日頃からしっかりとコミュニケーションを図るように心がけましょう。
長屋の構造についてしっかりと事前調査する
長屋の構造について、専門家に依頼して事前にしっかりと家屋調査をおこなうことも重要です。
もし事前調査を怠った場合、工事を決めた後に切り離しが困難な構造をしていることが判明してしまったり、切り離し自体は可能でも費用が膨大にかかってしまったり等のトラブルが想定されます。
そのようなトラブルを避け、なおかつスムーズに切り離し工事を進めるためにも、しっかりと事前の調査をおこないましょう。
また、事前調査は建築士や土地家屋調査士といった専門家に依頼をしましょう。専門家の意見に基づいて切り離し工事を進めることで、工事後のトラブル予防にもつながります。
確実に切り離し前と同程度の状態まで補修する
長屋は、切り離し後に補修工事も必要になるということは先に述べた通りです。
そして、施主が負担すべき補修工事の責任範囲は、現状(切り離し前)と同程度までおこなうよう定められております。そのため、耐震強度・防水性・防火性などの機能性はもちろん、見た目に関しても、確実に切り離し前と同等レベルにまでは戻しましょう。
また、その際の費用は施主が負担することが一般的です。一方、現状以上の性能を他の住民に求められた場合、その分の費用に関しては施主が負担する必要性はありません。
切り離し後の補修工事に関するトラブルを防止するためには、現状復帰の責任は確実に自費で果たすと同時に、それ以上の要求に関しては他の住民と話し合って費用を出してもらうようにしましょう。
まとめ
ここまで、長屋の切り離し工事時に想定されるトラブルと、その予防策について解説してきました。適切に対処していけば、トラブルに巻き込まれることなく切り離し工事をおこなうことができるでしょう。
しかし、長屋の切り離し工事は通常の解体工事よりも負担が多い上に、切り離し工事自体が困難なケースもあります。
そこで、長屋を売却することも検討してみてもいいかもしれません。空き家パスでは、長屋の買取にも力を入れております。長屋を売却する際は、ぜひ空き家パスにご相談ください。