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相続登記における「中間省略登記」とは?どんな場合に認められる?分かりやすく解説

これから空き家を相続する人にとって、相続登記は手間のかかる作業です。しかし、「中間省略登記」ならその負担を軽減することができます。

この記事では、相続登記における「中間省略登記」とは何なのか、どんな場合に認められるのかについて解説していきます。

これから相続の発生が予定される方や今まさに遺産分割中の方は、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。

この記事で分かること

  • 中間省略登記のメリット
  • 中間省略登記と数次相続
  • 中間省略登記が可能な数次相続の条件

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中間省略登記とは?

中間省略登記とは?

「中間省略登記」とは、複数の所有権移転が発生した際に、中間の登記を省略して一気に最後の名義人に所有権を移すことができる登記方法です。

通常、不動産登記法では登記は順番通りに行う必要があるとされています。

(登記の順序)
第二十条 登記官は、同一の不動産に関し権利に関する登記の申請が二以上あったときは、これらの登記を受付番号の順序に従ってしなければならない。
引用: 不動産登記法 | e-Gov法令検索

そのため、父が亡くなった後に相続権があった母も亡くなり、子供である自分が相続するという場合には、父→母→自分という順番で登記する必要があります。

ところが、中間省略登記ではこの不動産登記法のルールから逸脱し、父から一気に自分に所有権移転登記することが可能です。これは原則認められない方法ですが、例外的に認められるケースがあります。そして、認められた場合は通常の登記と比べて大きなメリットがあるのです。

そこで、この章では中間省略登記が持つメリットについて解説していきましょう。

メリット①:中間の相続人に登記する手間が省ける

中間省略登記では、最後の名義人までの間にいる中間相続人への登記を省略することができるため、登記の回数を減らすことが可能です。

前述した通り不動産登記法上、所有権移転登記は順番通りに行わなければなりません。しかし、中間相続人が同居家族間だけに留まらず遠方や海外在住であった場合、一次相続の登記だけでも何年もかかることがあります。この場合、相続人は確定しているにも関わらず、登記の順序に関するルールのせいで、なかなか相続登記が完了できないという事態が発生してしまいます。

そこで、このような問題を解消できるのが中間省略登記です。もちろん中間相続人全員の合意は必要ですが、登記を1人1人行う手間を考えると、非常に大きな工数削減が可能です。

メリット②:登録免許税の節約が可能

「登録免許税」とは、登記をする際に支払う税金のことです。通常、相続による所有権移転登記が複数回発生する場合は、その度に以下税額の登録免許税がかかります。

登録免許税

課税標準額×税率

しかし中間省略登記をすることで、登録免許税を1回分に節約することができます。さらに、司法書士に支払う報酬に関しても1回分に抑えることが可能です。

このように、中間省略登記は前述した登記の手間を減らすというメリットだけでなく、費用面でも大きなメリットがあります。

また、関連する話として、中間相続人が相続登記をする前に死亡した場合の免税措置もあります。令和4年度の税制改正により、上記場合の登記であれば令和7年3月31日までにおこなうことで登録免許税の免税措置を受けることが可能です。

参考: 相続登記の登録免許税の免税措置について:法務局

こちらも中間省略登記とあわせて覚えておき、登録免許税の節税に役立てましょう。

数次相続なら中間省略登記が認められることがある

数次相続なら中間省略登記が認められることがある

中間省略登記は前述したようなメリットがあるため、認めてもらえるチャンスがあるのであればしっかりと許可申請をしていきたいところです。

それでは、中間省略登記はどんな場合に認められるのでしょうか?結論から述べますと、数次相続の場合に中間省略登記が認められることがあります。

それでは、その数次相続について詳しく解説していきましょう。

数次相続とは?

数次相続とは、相続登記を行う前に相続人が死亡してしまい、次の相続が開始されてしまう場合の相続を指します。

例えば、1人親で子供2人、それぞれの子供に1人ずつ孫がいるというケースを想定してみましょう。親が死亡した場合、2人の子供が親の財産を相続することになります。これが1次相続です。この場合、子供の法定相続分はそれぞれ親の財産の1/2となります。

ここで、相続登記を完了する前に子供のうち1人が死亡したとしましょう。その場合、死亡した子供の子供、つまり孫が相続人となります。なお、この場合の孫の法定相続分は亡くなった子供と同様、親の財産の1/2です。

こういったケースでは、亡くなった子供に一度相続登記することなく、親から孫に中間省略登記をすることができます。

上記のようなケースであればそれほど複雑ではありませんが、1次相続時点で相続人が多くいる場合は遺産分割が難しくなります。遺産分割協議を完了するには、行政書士などの有資格者に遺産分割協議書の作成を依頼することになります。しかし、遺産分割協議書には相続人全員の実印による押印と印鑑証明書が必要です。相続人が高齢だったり遠方に住んでいたりした場合、書類作成するだけでも何年もかかることがあります。その間に考えが変わった場合は、最初から遺産分割協議をやり直すこともあります。そのため、数次相続が発生した時点で登記を順序だてて進めていくこと自体が不可能な場合が多いです。

2024年4月1日から相続登記の義務化が決定されており、相続を知った時から3年以内に登記をしなければ10万円以下の罰金が科せられることになります。法務省としても相続登記を推進し、正しい所有者を法務局が把握し管理できるような体制を作りたいという思いがあるようです。

そのため、所有者不明となる可能性がある数次相続が発生した場合は、中間省略登記が認められる可能性が高くなります。

相続登記の義務化についてはこちらをご覧ください
相続登記の義務化はいつから?過去の相続も対象?罰則や過料などを解説
相続登記にかかる費用は?専門家に依頼・自分でやる場合2024年からの義務化について解説

代襲相続との違い

数次相続とよく似た相続に代襲相続があります。2つの相続の違いは、相続人が亡くなる順番です。

数次相続の例では、親が亡くなった後に子供がなくなっていますが、代襲相続の場合は親が亡くなる前に子供が亡くなり、その子供(孫)が相続権を得ることになります。

こちらについては相続権を孫が継承した形になるため、そもそも亡くなった子供が相続権を得ることはなく、相続権があるのは最初から孫というのが特徴です。そのため、数次相続と同じ相続人が相続することになったとしても通常の相続登記となります。

ただし、遺産分割協議が必要となり、協議の結果亡くなった子供の子供に相続が決まった場合は別です。このケースでは、亡くなった子供が相続登記をしていなければ中間省略登記が認められる場合もあります。

このように、中間省略登記が認められるかどうかはケースバイケースとなるため、早めにプロに相談するようにしましょう。

中間省略登記が認められる数次相続の条件

中間省略登記が認められる数次相続の条件

数次相続は中間省略登記を認めてもらえる可能性が高いとは言うものの、無条件というわけではありません。

前述した通り、不動産登記法ではあくまでも相続順通りに登記することが定められており、中間省略登記自体は特例である事は変わらないからです。

それでは、数次相続の中でも中間省略登記が認められるのは一体どういったケースなのでしょうか?

中間省略登記が可能な4つの場合について解説いたします。

中間の相続人が1人の場合

例えば、親の死亡後に子供も死亡して孫が相続する場合のように、中間相続人が1人しかいない場合は中間省略登記が比較的認められやすいとされています。

ただし、死亡した子供が相続放棄をしていた場合、当然孫にも相続権は発生しないため、中間省略登記は認められません。

相続放棄は、相続の際によくあるトラブルの一つです。相続人は相続を知った時から3カ月以内であれば家庭裁判所に申請することで相続放棄することができます。

そして、子供が相続放棄したことを周知せずに死亡した場合、孫はそもそも存在しない相続権をあると思い込むことになります。当然そもそも存在しないものなので、中間省略登記によって登記することはできません。

このように注意や確認が必要ではありますが、中間相続人が1人の場合は中間省略登記が認められる可能性が高いです。

他の中間相続人が相続放棄をして、相続人が1人になった場合

中間相続人が複数人いたとしても全員が相続放棄した場合は、中間省略登記は認められます。

この場合の中間相続人は登記を省略するというよりも相続自体を放棄していることになるため、そもそも該当不動産を相続登記する必要がありません。そのため、問題なく中間省略登記は認められるケースとなります。

なお、最終的に複数名義となる場合でも、問題なく中間省略登記することが可能です。あくまでも「中間相続人に相続権があったかどうか」がポイントになります。

ただし、そもそも中間相続人が相続放棄できないケースもあるので注意しましょう。それは、財産の一部を使用していた場合などです。

相続放棄とは、文字通り相続自体の権利を放棄することです。これによりプラスの財産もマイナスの財産も放棄することができ、遺産分割協議書への書名押印があれば周知させることもできます。しかし一部でも相続放棄予定だった財産を使用した事が分かった場合、相続放棄はできません。

このように、中間省略登記をすることを目的とした相続放棄は様々なトラブルを生むことになるため、相続発生よりも前にプロに相談するようにしましょう。

遺言によって1人の相続人が指定されている場合

遺言には被相続人の意思が反映されているため、遺言によって1人の相続人に相続が指定されている場合は基本的にその相続人が相続登記をすることになります。

順番通りに相続が発生した相続人が相続登記前に死亡した場合は数次相続となってしまうことがありますが、この場合であっても遺言の指定による相続人が1人ということになるため、中間省略登記は認められます。

本来は相続人に対し1回で登記する予定だったため、相続の権利を継承する場合であっても登記の回数は変わらないということになるからです。

遺言による相続人の指定は、しばしば相続人間でトラブルになることがあります。事前に遺言の内容を把握した上で協議がされていれば問題ありませんが、相続発生後に突然知るケースも多いです。

例えば父が亡くなり、財産の相続をする予定だった母と子供が相続開始時点で遺言書を発見し、別世帯の子供に遺産を相続させるとの意思を知った場合です。

通常、遺言は個人の意思を反映させるため相続においても遺言の内容が尊重されます。しかし、突然相続人の存在を知ったケースでは遺言通りの相続にならない事が多いです。

こういったケースでは中間相続人が妻や子供になる可能性があるため、中間省略登記が認められない場合もあります。

そのため、遺言書による指定相続人がいたとしても、遺産分割協議書の内容と合わせて相続を進めていくことが通常です。

遺産分割協議によって相続人が1人になった場合

遺産分割協議で1人の相続人が相続登記することが決まっていた場合は、その相続人が死亡したとしても中間省略登記が認められ、1回の相続登記で完了させることができます。

遺言が被相続人の意思が記載されているのに対し、遺産分割協議は相続人全員の合意によって行われます。そのため相続人の1人が相続することになった場合にその相続人が死亡したとしても、その権利は当然法定相続人が継承することになります。

この場合も、本来1回の登記で完了する予定だったということになるため、問題なく中間省略登記することが可能です。

例えば、父、母、子供1、子供2、子供1の妻、子供1の子供、子供2の妻、子供2の子供という家族構成のケースを想定してみましょう。父が亡くなり、妻と子供1と2による遺産分割協議の結果、子供1が相続することになったとします。

その後、相続登記前に母と子供1が亡くなり、子供1の妻と子供1の子供による遺産分割協議の結果、子供1の子供が相続することが決まっていた場合、中間省略登記によって父から子供1の子供に登記することできます。

しかし、上記のケースで子供1の妻と子供1の子供が遺産分割協議完了する前に子供1が亡くなった場合、相続人が確定していません。

中間省略登記が認められるかどうかのポイントは「登記名義人から最終登記人までの相続が明らかに実態を伴っていない」という点です。

しかし、このケースでは子供1の妻と子供1の子供のどちらが相続するのかという点が解消されないまま、子供1の子供が相続しようとしています。

そのため、父→子供1までの登記と子供1から子供1の子供という登記の2回が必要になります。

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まとめ

まとめ

ここまで相続登記における中間省略登記と、それが認められるケースについて解説してきました。

相続した空き家をどうすればいいのか分からない方は、売却を検討するのも一つの手です。空き家の売却は、ぜひ空き家パスにご相談ください。

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この記事の監修者 高祖広季

株式会社ウィントランス 代表取締役 高祖広季

空き家パスを運営している株式会社ウィントランスの代表です。日本の空き家問題を解決するため空き家専門の不動産事業を展開中。「空き家パス」と「空家ベース」というサービスを運営しています。これまで500件以上の不動産の売買取引に携わってきました。空き家でお困りの方の力になりたいと思っています。

       

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