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契約不適合責任とは?不動産買取における免責とは?事例を含めて解説

契約不適合責任 買取

不動産の売買は売主と買主の約束ごとを売買契約書に記載し、契約内容に沿って取引を進めることになります。
契約書には様々な約束事が記載されていますが、住宅を売却する際に重要となるのが契約不適合責任の有無です。
契約不適合責任を設定することで売主は建物や土地に対して売却後もリスクを抱えることになり、特に空き家の売買はトラブルが起きやすいため契約不適合責任の設定については慎重に判断する必要があります。
しかし契約不適合責任を免責にすると物件の内覧では確認できない「隠れた瑕疵」について保証がないことになり、買主は安心できないという理由から購入を見送るケースも少なくありません。
その場合は売却価格を相場よりも下げて販売することになりますが、それでも買い手が見つからないこともあります。
つまり、契約不適合責任を免責しても売主とってはメリットだけでなくデメリットもあるといえるでしょう。
この記事では契約不適合の特徴と、契約不適合を免責にした上で不動産を処分する効果的な方法について解説します。

この記事で分かること

  • 契約不適合責任の基礎知識
  • 仲介と買取の違い
  • 契約不適合責任免責で売買後に請求があった事例

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契約不適合責任とは?

契約不適合責任
契約不適合責任は不動産の契約において特約として記載される重要なポイントではありますが日常生活で聞くことはほとんどなく、どのような責任なのかよく分からないという人もいます。
契約当日に不動産会社から契約書の説明を受けるまで知らなかったという人も多く、十分に理解していないまま署名押印してしまい、後からトラブルが発生するケースも少なくありません。
しかし契約不適合は売却後に発見された家の欠陥に対する責任負担を決める上で大切なポイントとなっており、特に売主は知らずにリスクを抱えることにもなりかねないため注意点といえるでしょう。
この章では契約不適合責任の基礎知識を紹介しますので、不動産の売買を予定している人はチェックしてください。

関連記事:【目的別】空き家買取業者20選!訳あり・不用品回収対応など。選ぶポイントも解説!

契約不適合責任

民法第562条、563条、564条では次のような記載があり、このルールを契約不適合責任と呼びます。

【民法第562条】

1.引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

【民法第563条】
1.前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2.前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3.第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

それぞれの条文は次のような意味があるため、売却する前に知っておきましょう。

条文 内容
民法第562条
(追完請求権)
買主は売主から「種類」、「品質」、「数量」に関して契約の内容に適合しない目的物の給付を受けた場合、当該不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除いて契約に適合した物の引き渡しを求めることができる。
たとえば10個入りのリンゴを購入したけれど内2個がミカンだったり、8個のリンゴしか入っていない場合は残り2個のリンゴを追完請求することが可能。
なお、追完の方法として民法では「目的物の修補」、「代替物の引き渡し」、「不足分の引渡し」の3種類を定めており、追完の方法については、原則として買主に選択をする権利がある。
ただし、買主に不相当な負担を課するものではない場合、売主は買主の請求した方法と別の方法で履行の追完ができる。
民法第563条
(代金減額請求権)
相当な期間を定めて民法第562条の追完請求を行ったにもかかわらずその期間内に履行の追完がない場合、買主は不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
不動産取引においてはシロアリ被害や雨漏りが発生したため売主に修繕を依頼したものの、いつまで経っても対応してくれない事例などが該当する。
民法第564条
(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
民法第562条の追完請求、民法第563条の代金減額請求権を行使しても解決に至らなかった場合、買主は契約を解除した上で損害賠償を売主に請求することができる。
この場合は契約を白紙に戻すだけでなくかかった工数や仲介手数料、印紙代、登記費用などに加え精神的苦痛も含めて請求が可能。

日常生活でもインターネットで購入した物と違う物が届いた場合、交換や返品が可能です。
不動産売却においても買主が目的を達成できない場合には売主に対して修繕や代金の減額、契約解除、損害賠償の請求をすることができます。
たとえば物件を購入した後にシロアリ被害や雨漏り、重要な躯体の腐食が発見された場合には契約不適合責任が適用され、売主が費用を負担して対応しなければなりません
しかし売主がいつまで経っても対応しない場合は支払った金額と物件が釣り合わないことを理由に代金減額請求をすることができ、それでも相応の対応が期待できない場合は契約を解除した上で損害賠償の請求が可能です。
買主は不動産を購入する際に多額の資金を用意することになるため、安全に暮らすことができない家を購入してしまうとその後の人生に大きな影響を与えてしまいます。
場合によっては住宅ローンを残したまますぐに売却し引っ越ししなければならないこともあり、契約不適合責任という保険がなければ不動産を購入すること自体がハイリスクになってしまいます。
このことからも一種の買主保護という意味で契約不適合責任は設定されることが多く、免責にしてしまうと売りにくくなってしまう大きな理由といえるでしょう。
なお契約不適合責任を追及する場合は不動産会社に依頼するのがセオリーですが売主と連絡がつかない状態になっていると宅建業者の業務範囲を超え弁護士に相談する案件になります。

そのため民法第564条で定める損害賠償請求と契約解除の権利を履行するには弁護士を通じて内容証明を送るなどの手間と費用がかかってしまうという注意点があり、早期解決は難しくなるといえるでしょう。
【参考サイト:民法 | e-Gov 法令検索

契約不適合と目的物の品質

契約不適合は締結された契約によって渡された目的物が本来の目的を達成できない場合に適用されますが、適用されるケースは次のようになります。

  • 目的物の種類:契約上の目的物と実際に引き渡された目的物の品目が異なる場合
  • 目的物の数量:契約上定められた目的物の数量に対して、実際に引き渡された数量が過剰または不足している場合
  • 目的物の品質:契約上定められた目的物の品質に対して、実際に引き渡された目的物の品質が劣っている場合

たとえば家を建てるために土地を購入したものの建築許可されなかった場合は「目的物の種類」が契約不適合とされ、契約書に記載されている面積よりも極端に大きかったり小さかったりすると「目的物の数量」が契約不適合です。
また、引き渡された土地から産業廃棄物やコンクリートの塊などが多く出土し建築するのに多くの費用を費やすことになった場合は「目的物の品質」が契約不適合となります。

契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

契約不適合責任は2020年4月1日に施行された改正民法によって規定され、改正前民法では「瑕疵担保責任」が契約不適合責任の位置付けとして扱われていました。
契約不適合責任と瑕疵担保責任には次のような違いがあります。

契約不適合責任 瑕疵担保責任
適用部分 契約の内容に適合しないものであるかぎり対象となる目的物の制限はない 特定物(当事者がその物の個性に着目して指定した物)で「隠れた」瑕疵があるもの
買主の権利 履行の追完請求
代金減額請求
損害賠償請求
契約解除
損害賠償請求
契約解除
損害賠償の範囲 買主が当然得られたであろう利益 目的を達成できなかったことで得られなかった利益と達成できないことで発生した負担
請求期限(原則) 買主が不適合を知った時から
1年以内に不適合である旨を通知
買主が瑕疵を知った時から
1年以内に行使

契約不適合責任は瑕疵担保責任よりも適用部分と損害賠償の範囲がより幅広くなり、買主の権利も増えました
瑕疵担保責任が適用された時期であれば売主は「隠れた瑕疵」が売買後に発覚した場合のみが対象となっていたため、履行されるケースはそれほど多くありませんでした。
しかし契約不適合責任になり目的を達成するための阻害要因全てが対象となったため売主の負担範囲が大幅に増え、買主の利益だけでなく工数や心理的ストレスにまで損害賠償の対象となっています。
たとえば買主が購入した家には重大な欠陥があったものの売主は把握しておらず契約時に告知できなかった場合でも契約不適合責任は追及される可能性があります。
また周辺に化学工場があり土日の内覧では気づかなかったが工場が稼働している平日は日常生活に支障をきたすほどの臭いや塵埃が発生するといったケースでも適用された事例もあります。
このように瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更となったことで売却時に確認しておくポイントは大幅に増えたため、売主は売却する不動産に対して詳しく状態を把握しておくことが重要といえるでしょう。
ただし請求期限については原則よりも「引渡しから3ヶ月以内」という特約が適用されることが一般的で、買主は契約不適合をどのタイミングで発見しても請求できるわけではないことが多いです。
なぜなら法律の原則では引渡しから何十年も経過してから買主は契約不適合責任を追及できることになり、原則のまま適用してしまうと不動産売買自体が売主だけでなく売主の相続人にとっても大きなリスクとなってしまうからです。
その結果不動産取引が減少してしまい、管理されていない空き家や空き地が増加してしまうと結果的にリスクを抱えた不動産が多く公開されてしまいます。
このような状況になってしまうと国や自治体の負担が増えてしまうことから、宅建業法と民法では例外として契約不適合責任は期限付きの権利にすることを認めています。
この例外は宅建業者が売主の場合であっても適用され、引渡しから2年までを最長として設定できることから、不動産を購入した際には契約不適合責任の期限をチェックしておくことが大切といえるでしょう。

不動産買取は契約不適合責任がない

契約不適合責任の設定を躊躇する売主は多い一方で免責にすると買主のリスクが高まってしまいますが、不動産買取であれば契約不適合責任を設定することなく早期に売却することが可能です。
特に火災が発生した物件や築年数が古い空き家などは契約不適合責任による売主の負担も大きくなる上に買い手がつきにくいことから、不動産買取は売主が安心して売却できる方法といえるでしょう。
実際に仲介で不動産を販売したものの買い手が見つからず、不動産買取を利用した売主も多いです。
そのためなるべくリスクを抱えることなく売却したい人はまず不動産会社に買取を相談し、査定を依頼することがおすすめです。

仲介と買取の違い

仲介と買取の大きな違いをまとめると次のようになります。

売却方法 買い手
販売期間 買い手が見つかるまで継続
価格設定 自由
仲介 必要
手数料 あり
契約不適合責任 買取
仲介 不動産会社
手数料 ほとんど無し
買取価格 不要
契約不適合責任 なし

この章で詳しく解説します。

購入する相手が違う

仲介は不動産会社に販売を依頼して物件をインターネットや紙媒体で公開し、買い手を募集する売却方法です。
一方不動産買取は買い手が不動産会社になるため販売期間がほとんどない上に仲介ではないため仲介手数料も発生することがなく、契約から決済まで最短で進められるという点が異なります。
さらに建物の解体や確定測量、残置物の撤去や仕分けなどを売主がする必要もなく、現況のまま引渡しが可能です。
そのため手間をかけることなくスピーディーに不動産を処分したい人に、不動産買取は向いているといえるでしょう。

期間が違う

不動産一括査定サイトのすまいステップが公開している調査結果によると、仲介の場合売却開始から売却完了までに必要な期間は約3~6ヶ月が最も多く、全体の約56%になったそうです。
つまり売却をスタートして買主から支払いを受けるには約半年かかることをイメージしておく必要があるといえますが、不動産の状態や立地、競合物件の有無、市場の変化による影響を受けることでさらに長びく可能性もあります。
特に空き家や築年数の古い中古戸建て、山間部の土地などはそもそも買い手が見つかりにくく、売却完了まで数年かかったという事例も少なくありません。
その間固定資産税などのランニングコストは支払い続けることになり、掃除や草むしりなどの手間も発生してしまいます。
このように仲介は販売を不動産会社に一任するものの管理する工数や費用は売主が負担することになりますので、仲介の注意点として覚えておきましょう。
その点、不動産買取は不動産会社に販売を委託するのではなく直接買主となって買取するため、販売期間はほとんどありません。
不動産会社の提示した買取価格と条件に合意した時点で契約に進むことができ、不動産会社によっては契約から数日で代金の支払いを受けることも可能です。
買取価格の提示も当日回答をもらえるケースも多いことから、売れるかどうか分からない不動産を処分する人に不動産買取はおすすめです。

売却価格が違う

仲介と買取の場合、売却価格は仲介の方が高くなります。
なぜなら仲介は売主が自由に売却価格を設定できる一方、買取は不動産会社が提示した額が売買価格となるからです。
買取価格は不動産会社が買取した後に再販売する価格が大きく影響しており、再販売価格は仲介で販売していた場合の相場に近い価格帯となります。
そして不動産会社は買取価格に対して修繕費用や諸費用、利益を加算した金額を再販売価格に設定することから、仲介の査定額よりも買取の査定額の方が安くなるケースが多いです。
一般的には仲介の5~8割が買取価格とされていますが、実際には物件の状態や立地などの影響を受けるため一定の割引率が適用されるわけではありません。
そのため買取によって不動産を処分する場合はまず不動産会社に買取の査定を依頼し、査定額をベースに検討することをおすすめします。
なお、買取の査定は複数の会社に依頼し買取価格や説明内容、担当者の対応、会社の口コミなどを総合的に判断することで信頼できる不動産会社を見つけることができます。
HPや口コミサイト、Googleの口コミでも会社の評判はチェックできるため、買取業者の選定をする上での判断材料にしてください。

契約不適合責任が免責かどうかが違う

一般的に仲介で不動産を売却する場合、契約不適合責任は設定されることになります。
そのため売主は買い手が見つかり契約が締結され引渡しが完了しても、一定期間は責任を負うリスクを抱えたままということになります。
その期間中に契約不適合責任が適用される欠陥が発見された場合、売主は修繕の負担や代金減額(返還)といった対応をしなければなりません。
つまり売主は売却によって得た利益を契約不適合責任の期間中は自由に使うことができず、ある程度担保しておく必要があるといえます。

また築年数が古い住宅や空き家などを売却すると売主によっては「買主から契約不適合責任の追及があるかも」と考えながら生活することになり、ストレスを感じる日々となってしまうでしょう。

一方で不動産買取の場合ほとんどが契約不適合責任が免責となり、こうしたリスクを避けることが可能です。
不動産会社は物件を購入した後に再販売することを目的としていますが、快適な暮らしができる状態にまで修繕します。
これにより欠陥や瑕疵があっても不動産会社の費用で修繕されることになるため、契約不適合責任を免責にすることができます。
これ以外にも訳あり物件や再建築不可物件など仲介では買い手が見つかりにくい物件でも買取できますので、なるべく責任を負わずに不動産を処分するのに有効な方法といえるでしょう。

契約不適合責任で売買後に請求があった事例

この章では契約不適合責任を設定し不動産仲介で売却したものの、引渡し後に買主から請求があった事例を紹介します。

事例

  • 売買物件の所在地:茨城県
  • 物件情報:築35年、4LDKの中古建て
  • 買主の情報:投資家
  • 売却と反響の経緯:地元の不動産会社に売却を依頼し、掲載していたポータルサイトからの問い合わせ

公開後すぐ問い合わせがあり、内覧日の約3日後に購入の申し込みがあった物件です。
買主は空き家を賃貸物件として家賃収入を得ることを目的とした投資家です。
650万円の売り出し価格に対し、設備の劣化や今後のリフォームが必要になる懸念を理由に50万円の価格交渉が入って600万円の購入希望でした。
売主としては築年数が古く設備の経年劣化も進んでいることから50万円の価格交渉は認めるつもりでしたが、売買後に何か物件の問題が発覚しても一切文句は言わないという契約不適合責任免責を交換条件として提示しました。
しかし買主は瑕疵に対するリスクを理由に1ヶ月だけ売主側で契約不適合責任を持つことを要求し、結局630万円の売買価格で売買契約を締結することになったそうです。
その後買主が和室を洋室に変更しようと畳を撤去したところ床下の躯体部分が一部シロアリの被害に合っていることが分かり、シロアリの駆除と躯体部分の工事費用を買主から請求されることになりました。
シロアリの駆除で約20万円、損傷していた床下の躯体部分の大工工事費用で25万円がかかり、全額を売主が負担することになりました。

この事例は特別なケースではなく、築年数の古い戸建てを売却する場合は頻繁に起きる事例です。
そのため目先の売却価格や価格交渉だけでなく、将来のリスクを見越した上で契約不適合責任の設定は検討するべきでしょう。

空家の売却は空家パスにお任せください

不動産の中でも空家を仲介で売却することは難しく、買取をメインで検討する売主も多いです。
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仲介では売却が難しい事故物件や再建築不可物件も積極的に買取しており、不用品の撤去も不要です。
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