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静岡の空き家補助金を解説-解体・リフォームなどで活用!申請の流れや注意点も

空き家 補助金 静岡

静岡県では空き家の増加が問題視されており、令和5年の時点で空き家の数は過去最高の30万戸となりました。
活用されていない空き家は様々な問題の原因になることから、静岡県では空き家の所有者や購入予定者が利活用できるよう、多くの補助金制度を公開しています。
この記事では静岡県の自治体が令和7年度時点で公開している補助金制度を紹介します。
補助金以外の空き家対策やよくある質問とトラブル例についても解説しますので、参考にしてください。

この記事で分かること

  • 静岡県の空き家問題
  • 静岡県で使える空き家関連補助金制度
  • 補助金を受けるための流れと注意点
  • 補助金以外の空き家対策
  • よくある質問とトラブル例

補助金の活用とあわせて、空き家の売却も重要な選択肢のひとつです。
空き家パスは、相続不動産や訳あり物件の買取に強みを持つ不動産会社です。

都心から離れたエリアの物件や、再建築不可・老朽化物件など、他社では断られるケースでも積極的に対応しています。ご相談や査定は完全無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

静岡県の空き家問題、現状は?

総務省から公開されている「令和5年住宅・土地統計調査の結果(住宅及び世帯に関する基本集計)」によると、静岡県の総住宅数は令和5年度時点で1,774,100戸となり、全国10位となったそうです。
ただし空き家の数は30万戸、空き家率は16.7%といずれも過去最高となっており、空き家の増加が深刻化していることが分かります。
空き家は適切に管理されていなければ害虫や害獣の温床となり、犯罪の拠点に使われることもあります
また経年劣化が進んだ家屋の一部が台風などによって飛散し、近隣住民に被害が及ぶ可能性も少なくありません。
このように空き家を放置していると街の治安維持や再開発に大きな影響を及ぼしてしまうことから、静岡県では空き家増加に歯止めをかけるべく、様々な対策を検討しています。
【引用サイト:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 静岡県の結果の概要

空き家問題解決策のひとつ「補助金制度」

空き家は所有者が自己管理し、適切な状態を維持するのがベストですが、空き家の所有者が遠方に住んでいる等、管理が難しいケースも多いです。
そこで管理が難しい空き家を解体したり家財処理することに対して静岡県では補助金制度が公開されており、空き家が危険な状態になるのを食い止める対策として有効活用されています。
これ以外にも空き家を有効活用するための改修工事や取得費用について補助金制度を用意している自治体もあります。
空き家の所有者と購入予定者のどちらにもメリットがあるケースも多いことから、公開されている制度は必ずチェックすることをおすすめします。

静岡県で使える空き家関連補助金

この章では令和7年度時点で募集されている補助金制度について、「リフォーム・改修」「解体」「取得」「家財処理」「その他」という項目に分けて紹介します。
これから空き家の利活用もしくは解体を検討している人は、チェックしてください。

空き家のリフォーム・改修に関する補助金

空き家のリフォーム・改修に関する補助金は次の通りです。

自治体名 制度名 補助金の上限額
静岡市 静岡市空き家改修事業補助金交付制度

中山間地域移住者用住宅改修事業補助金

補助対象経費の3分の2かつ100万円。
※以下のいずれかに該当する場合は200万円:
・市外からの移住者
・中学生以下の子どもがいる子育て世帯
・夫婦等のいずれかが40歳未満の世帯
・ゆとりある住宅地区内の空き家

(中山間地域移住者用住宅改修事業補助金)
補助対象経費の3分の2(井川、梅ケ島、大河内、玉川、大川、清沢及び両河内地区は10分の9)かつ100万円。
※以下のいずれかに該当する場合は200万円:
・15歳未満の子どもがいる世帯
・若年世帯
・静岡市外から移住した世帯

富士市 富士市空き家利活用支援補助金

富士市空き家リフォーム支援補助金

地域活性化施設:3分の2かつ100万円。
地域活性化提案施設:2分の1かつ100万円。

リフォーム支援補助金:工事費の2分の1かつ80万円。
※市外からの転入者は20万円、または媒介手数料5万円を加算。

沼津市 空き家活用定住支援補助金

沼津市建築物等耐震化促進事業

空き家活用定住支援補助金:対象経費の3分の2かつ20万円(60万円以上のリフォーム工事が対象)。
※子一人につき10万円加算、市内業者施工の場合さらに10万円加算。

耐震化促進事業:一般世帯100万円、高齢者世帯等120万円。

磐田市 既存住宅取得等事業費補助金 若者・子育て世帯(市内転居):リフォーム費2分の1かつ100万円。
若者・子育て世帯(市外転居):リフォーム費2分の1かつ150万円。
その他世帯:リフォーム費2分の1かつ50万円。
藤枝市 空き家活用・流通促進事業 子育て世帯:取得費の2分の1かつ50万円。
上記以外:30万円。
富士宮市 富士宮市空家改修費補助金交付制度 補助対象経費の3分の2かつ100万円。
袋井市 移住支援空き家活用事業補助金 対象リフォーム工事費の3分の2かつ300万円。
御殿場市 空き家活用等支援事業費補助金

空き家等リノベーション事業費補助金

空き家活用等支援:工事費の3分の1かつ50万円(中学生未満の子がいる移住世帯は80万円)。

リノベーション事業:工事費の3分の2かつ100万円(部分購入・賃借の場合は50万円)。

牧之原市 牧之原市空き家活用リフォーム等補助金

木造住宅耐震補強事業

空き家リフォーム:対象経費の2分の1かつ30万円。

木造住宅耐震補強:
一般世帯:対象経費5分の4かつ100万円。
高齢者のみ世帯:対象経費5分の4かつ120万円。
子育て世帯:対象経費5分の4かつ120万円。

御前崎市 御前崎市空家リフォーム支援事業補助金 補助対象工事費の50%かつ40万円。
伊豆市 伊豆市いずぐらし促進補助金 リフォーム費用の10%かつ100万円(市外業者施工の場合50万円)。
※補助対象住宅に同居する小学6年生以下の児童1人につき10万円加算。

空き家の解体に関する補助金

空き家の解体に関する補助金は次の通りです。

自治体名 制度名 補助金の上限額
沼津市 沼津市空家等除却事業
木造住宅の除却助成事業
補助対象経費と標準除却費を比較し、少ない額に対して80%かつ80万円。

事業費の23%かつ20万円。

磐田市 磐田市危険空き家等除却事業費補助金 対象工事費の2分の1かつ50万円。
藤枝市 空き家解体・除却事業費補助金 工事費用の23%かつ30万円。ただし相続により空き家を取得した人が相続後3年以内に解体を完了させた場合、上限額は50万円。
焼津市 焼津市空き家除却事業補助金 補助対象経費の3分の1かつ30万円。
富士宮市 富士宮市空家等除却費補助金交付制度 除却工事費用の5分の4かつ50万円。
掛川市 掛川市空き家除却事業費補助金 50万円。
御殿場市 空き家活用等支援事業費補助金 工事費の3分の1かつ50万円。ただし中学生未満の子がいる世帯かつ移住者の場合は80万円。
伊東市 廃屋解体・撤去補助金 補助対象費用の2分の1かつ30万円。
菊川市 空家等の除却(解体)補助制度 解体工事費の23%かつ30万円。
熱海市 老朽危険空家除却事業 対象経費の5分の4かつ80万円。
御前崎市 御前崎市危険空家除却事業費補助金 対象経費の5分の4かつ60万円。
伊豆市 伊豆市老朽空家等除却支援事業補助金 対象経費の50%かつ50万円。ただし対象空き家の敷地が公用又は公共の用に利用することができると市長が認め、解体後伊豆市に寄付する場合は300万円。

空き家の取得に関する補助金

空き家の取得に関する補助金は次の通りです。

自治体名 制度名 補助金の上限額
沼津市 空き家活用定住支援補助金 県外:対象経費の3分の2かつ80万円。ただし子育て世帯は100万円。
県内:対象経費の3分の2かつ20万円。ただし子育て世帯は30万円。
磐田市 既存住宅取得等事業費補助金 若者世帯、子育て世帯かつ市内からの転居者:購入費の10分の1かつ100万円。
若者世帯、子育て世帯かつ市外からの転居者:購入費の10分の1かつ150万円。
藤枝市 空き家活用・流通促進事業 市外から転入する子育て世帯:取得費の2分の1かつ100万円。
市内で転居する子育て世帯:取得費の2分の1かつ70万円。
市外から転入する若者世帯:取得費の2分の1かつ80万円。
市内で転居する若者世帯:取得費の2分の1かつ60万円。
上記以外の世帯:30万円。
焼津市 焼津市中古住宅流通促進事業補助金 30万円。ただし市内の施工業者がリフォーム工事を行い、改修工事の合計額が200万円以内の場合は20万円が加算される。
伊豆市 伊豆市いずぐらし促進補助金 取得費用の10%かつ100万円。なお、補助対象住宅に同居する小学6年生以下の児童1人につき10万円が加算される。

空き家の家財処理に関する補助金

空き家の家財処理に関する補助金は次の通りです。

自治体名 制度名 補助金の上限額
静岡市 静岡市中山間地域空き家片付け事業補助金 片付け費用の2分の1かつ10万円。
牧之原市 牧之原市空き家活用リフォーム等補助金 5万円。

その他の補助金

静岡県では前述した補助金制度以外にも、次のような制度が公開されています。

自治体名 制度名 補助制度の内容
沼津市 沼津市建築物等耐震化促進事業費補助金 危険なブロック塀の建替えもしくは除却に対しての補助金制度。補助金額の上限は次の通り。
・耐震診断:事業費もしくは基準額を比較して少ない額の3分の2。
・除却(避難路・避難地・通学路・緊急輸送路に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額の3分の2かつ限度額26万6,000円。
・除却(道路境界に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額の3分の2かつ限度額10万円。
・除却(津波避難路に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額の3分の2。限度額なし。
・建替え(避難路・避難地・通学路・緊急輸送路に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額の3分の2かつ限度額59万9,000円。
・建替え(道路境界に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額の2分の1かつ限度額35万円。
・建替え(津波避難路に面するもの):事業費もしくは基準額を比較して少ない額。限度額なし。
伊東市 ブロック塀等の地震対策 ブロック塀等の撤去及び改修工事に対する補助金制度。補助金の上限額は撤去工事で10万円、改修工事で16万円。
裾野市 ブロック塀等の撤去に対する補助制度 危険なブロック塀などの撤去に対する補助金制度。補助金額の上限は業者の支払い額とブロック塀などの延長1mあたり9,200円を乗じた額を比較し、少ない額の2分の1かつ10万円。

補助金を受けるための流れと注意点

補助金は申請者が自治体に申請し、協議を経て交付決定の通知を受けることで補助金が交付されます。
そのため申請者は正しい手続きの流れと必要書類を把握する必要があり、申請が遅れればその分補助金の交付時期も遅れてしまいますので注意が必要です。
また、制度によって申請ステップや準備物が異なることから、利用する制度の概要は詳しく調べておくことをおすすめします。
この章では補助金を受けるための流れと注意点について、解説します。

申請に必要な主な書類

補助金を申請するためには各自治体が指定する必要書類を全て用意する必要があります。
主に指定される書類は次のようになりますので、事前に準備しておくことをおすすめします。

  • 指定様式の補助金交付申請書
  • 建物の全部事項証明書
  • 運転免許証
  • 住民票
  • 印鑑証明書

なお、上記以外にも不動産取得の補助金であれば売買契約書、リフォームの場合は建物の平面図や立面図が必要になるケースがあります。
必要書類によってはすぐに準備できないこともありますので、不明点があれば自治体に相談することがポイントです。
特に印鑑証明書は印鑑登録が必要となり必ず一度は市役所へ出向くことになりますので、注意が必要です。
なお、制度によっては工事完了後に実績報告書の提出を求められることもあります。

申請する上での注意点や落とし穴

補助金を受けるためには正しい手順で申請手続きを行い、承認を得る必要がありますが制度によっては工事後の受付が不可など申請タイミングが限定されている場合もあるため、注意が必要です。
たとえば補助金交付決定後のリフォーム工事開始が義務付けられている制度や工事前の画像提出が求められる制度があり、手続き内容を勘違いして補助金を受けられない失敗事例は多いです。
これ以外にも、制度によっては賃貸目的や売却目的での申請は不可というケースもあります。
そのため補助金制度を利用する際には施工業者だけでなく必ず自治体に相談し、勘違いや書類の漏れがないかしっかりチェックしたうえで手続きと工事を進めることをおすすめします。

補助金以外で空き家問題を解決する方法

補助金制度は空き家の所有者と購入予定者に対してメリットの大きい制度ですが、空き家に関連する全ての問題を解消できるわけではありません。
場合によっては制度を利用することで損失を被ることもあり、注意が必要です。
空き家問題に対して最適な対応をするためにも、補助金制度以外の解決策も知っておく必要があります。
この章では補助金制度以外の解決策について、代表的な方法を紹介します。

補助金だけでは難しいケースがある

補助金制度のほとんどはあくまでも費用の一部を補助する制度のため、自己負担がゼロになるわけではありません。
そのため空き家を活用する予定がない人にとって補助金制度はあまりメリットがないといえ、申請を見送る人も多いです。
また、制度を利用しようとしても用意する書類の取得が難しかったり手続きが複雑で諦めてしまうといったケースもあります。
申請方法や必要書類の準備については自治体で相談することができますので、制度を利用すべきかも含めてなるべく早く相談することが大切です。

空き家を売却する

空き家が遠方にあって管理が難しく、将来にわたって活用する予定がないのであれば制度を利用することなく売却してしまうという方法もあります。
空き家を売却することで維持管理の手間や費用負担から解放され、所有者としての責任を負うこともなくなります。
また一部の補助金制度は不動産売却と併用して利用できますので、空き家の処分をメインで検討する所有者も多いです。
なお、空き家の売却は不動産会社に買い手を募集してもらう「仲介」よりも不動産会社が直接買主となる「買取」の方が向いており、買取業者に相談することをおすすめします。
不動産買取は仲介と違って建物の解体費用や不用品の撤去費用、測量費、仲介手数料がかからず、業者によっては契約から1週間で現金化することもできます。
また、仲介の場合は引渡し後に一定期間、売主は雨漏りやシロアリ被害に対して責任を負うことになりますが、買取の場合は免責で進めることができます。
買取業者によって買取価格と買取プランは異なりますので、複数の業者に相談して選定することがポイントです。

空き家バンクを活用する

空き家バンクは各自治体が情報を把握し、提供している空き家等のポータルサイトです。
インターネットで物件情報を検索することができ、空き家を売りたい人や貸したい人は空き家バンクに登録して買い手や借り手を募集することになります。
一般的に不動産ポータルサイトと違って空き家に特化しており、費用もかかりません。
また、静岡県の場合、制度によって空き家バンクに登録されている空き家を活用することで補助金額が増えることもありますので、補助金と併用したい場合でも空き家バンクは利用すべきといえます。
なお、空き家バンクは市民税を滞納していないなど利用するための要件があります。
さらに撮影した画像や物件コメントに虚偽があると物件情報自体が削除されてしまうこともありますので、正しい情報を入力することが重要です。

空き家を活用する

空き家をリフォームして民泊として活用したり賃貸に出す方法は、空き家の代表的な活用方法です。
また立地が良く敷地が広ければ建物を解体して駐車場用地やコインランドリー、コンビニ用地として運用するという方法もおすすめです。
どちらの方法も安定した収入を得られる可能性がありますので、最適な活用方法について不動産会社に相談する所有者も多いです。
ただし賃貸や事業用地として活用すると一部の節税制度が受けられなくなるなどデメリットもありますので、将来売却する予定や相続する予定がある人は注意が必要です。

よくある質問とトラブル例

この章では空き家関連の補助金制度についてよくある質問とトラブル例を紹介します。

Q:補助金と売却、どちらが良いですか?

空き家を所有したまま管理した方が得と判断した場合は補助金がおすすめとなり、売却して所有権と管理責任を放棄した方が得になる場合は売却がおすすめです。
ただし、補助金制度によっては売却目的であっても利用できるケースがありますので、どちらの場合でも自治体に相談することが重要です。

Q:古い空き家や傷みがある空き家でも補助金は使えますか?

建物が劣化していても補助金制度は利用できますが、基礎部分しか残っていないなど建物として形を成していない場合は申請を却下されることがあります。
これ以外にも前面道路が狭く工事車両が通れなかったり崖に面していて作業員の安全を確保できない場合も申請を受けられないことがあります。

Q:補助金申請が難しそう…誰かに頼めますか?

一般的に補助金の申請は解体業者やリフォーム業者が代行できるケースも多く、所有者は必要書類のみ用意して申請を代行してもらうこともできます。
ただし制度によっては本人申請が必要な場合もあり、法定相続人であっても受け付けてくれないこともありますので注意が必要です。
なお、完了報告書や実績報告書は施工業者から提出することになりますので、全ての書類を申請者が提出しなければならないわけではありません。

Q:空き家を自治体に寄付できますか?

空き家の資産価値や状態によっては自治体に寄付することができるケースもあります。
たとえば静岡市では不動産の生前寄付と寄贈寄付について相談窓口を開設しており、静岡市財政課へ電話もしくはメールで問い合わせることができます。
その後市の職員が不動産の調査を行い、静岡市寄附不動産評価会で判断する流れです。
詳しくは最寄りの自治体に問い合わせてください。
【引用サイト:不動産の生前寄附・遺贈寄附のご案内

まとめ

静岡県は空き家の増加率が全国平均よりも高く、大きな問題となっています。
そこで静岡県の自治体は空き家関連の補助金制度を公開し、空き家の利活用と除却を促進しています。
空き家の所有者と購入予定者のどちらにもメリットがあるため積極的に活用することがおすすめとなりますが、制度によって申請内容と必要書類が異なるため、注意が必要です。
失敗しないためにもなるべく早い段階で自治体に相談し、確実に補助金を受けられるよう準備することがポイントです。

営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

       

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