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空き家が倒壊する前兆とは?
What are the signs that a house will collapse

この記事の執筆者 かのまお

ライター

建築・不動産業界に25年携わる。上場住宅デベロッパーで新築企画や用地バイヤーを14年間担当。大手社寺建築会社で伝統建築物の修理改修を11年間担当。

全国的に空き家が増加していることが社会問題になっています。その問題のひとつに、倒壊があります。

誰も住んでいない家は適度な換気が行われず、湿気がたまり傷みがすすみます。しかし、しっかりした家が突然倒れることはありません。家が倒壊するにはそれなりの理由があります。

空き家や老朽化して弱くなった家は、自然倒壊や災害による住人の危険だけでなく、近隣の住人にも影響を与えます。所有者は早めの対策が必要なのです。

この記事で分かること

    • 空き家が倒壊の前兆として家の傾きをチェックすべき。
    • 傾きの原因は地盤の問題やシロアリ被害や家の重量など。
    • 傾きは柱の傾きや沈下によって判断する。

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空き家が倒壊する前兆は、『家の傾き』

家屋が倒壊している例

家が傾いていることが主な原因ですが、家が傾く原因・前兆は次の通りです。

①地盤・基礎の問題

住宅の地盤・基礎

地盤の問題は空き家に限ったことではありませんが、盛り土や軟弱地盤によってそもそも家の土台が傾いていれば、当然その上に建っている家も傾くことになります。また、建ったときは強い地盤だったとしても、周辺で行われた工事などによる地下水脈の変化など外部環境の変化によって影響を受ける可能性もあります。

基礎は、特に布基礎といわれる、コンクリートの立ち上がりだけの仕様の場合は不同沈下を起こしやすいので注意が必要です。

②シロアリ被害

シロアリの被害

木材を食べるシロアリによって、土台や柱を食われると、強度は落ちてしまいます。それが原因で床が傾き、家が傾きます。通常は防蟻処理を施しますが、耐用年数があります。また、何十年もシロアリの被害に遭っていなかったとしても、近隣の家で防蟻工事を施工したことにより行き先を失ったシロアリが押し寄せるといった事例があります。土台や柱の木材に「蟻道」といわれる状態が認められればシロアリに食われています。

③家の重量

家の自重で傾くこともあります。普通の住宅なら必要以上に大きい柱や梁などの部材を使うことはありませんが、意外に盲点なのが屋根です。屋根は家の重量の中でも割合が大きく、重い瓦屋根の場合に注意が必要です。阪神淡路大震災のときには、重い瓦屋根の家屋の倒壊が多かったことが知られています。本葺き瓦ではない平瓦であっても、たとえば寄棟タイプで棟瓦が多く使われている、家に対して屋根面積が広い、漆喰を使っているなど、屋根の重量によって傾くケースがあります。加えて、豪雪地域などは積雪による加重もあります。太陽光発電のためのソーラーパネルは、老朽化した家には設置しないほうがいいでしょうし、もし住んでいない家の屋根にソーラーパネルを載せているなら、撤去したほうがいいでしょう。ただし、撤去することによって雨漏りが発生しないかの確認は必要です。

④地震

地震の影響でヒビが入った家屋

過去の地震によって、傾きまでは感覚できなくても、微妙なねじれが生じています。これは程度の差はあれどの家でも同じことですが、問題は次に大きめの地震が来たときに対策ができているかによります。わかりやすい例で言うと、家の四隅です。四隅の柱に壁が配置されているかどうかによって、耐震性の見当がつきます。家全体の壁量とバランスによって、耐震性が決まります。家の1階部分に駐車場が組み込まれている、ビルトインガレージの建物は特に注意が必要です。

⑤築年数

ひとつの目安としてですが、1981年に建築基準が改正されていますので、およそ40年以上が経過している建物は注意が必要です。現在の耐震基準を満たしていない可能性が高く、耐震工事も施工していないようであれば、現在の基準と危機感からみた場合、建てられた当初から危険な状態が続いていると言えます。

家の傾きをどう判断するか

床が歪んでいると、歩いたときにふわふわしたり、柱が傾いていると、サッシや建具が動かなくなったり。不具合が起こることがあります。しかし、ある程度正確に計測することで危険度を判定することができます。

①柱の傾き

下げ振りのイメージ

柱の傾きを計測するには、「下げ振り」という道具を使います。錘(重り)をつけた糸を垂らし、重力を利用して計測するという割と原始的な道具ですが、ホームセンターで安く販売しています。1メートルの高さで計測すれば、1メートルあたり何センチの傾きがあるかが測定できます。

  • 許容範囲とされる目安は、1,000分の3ミリ以下、角度:0.06~0.17
  • 修理を要すると判断できる傾きの目安は、1,000分の6ミリ以下 角度:0.23~0.34
  • 瑕疵(目に見えない不具合)の可能性が高く、健康被害が出る目安は、1,000分の6ミリ以上 角度:0.34~
  • 地震時などに倒壊の危険がある目安は、1,000分の10ミリ以上 角度:0.57~
  • すぐにでも倒壊の危険がある目安は、1,000分の50ミリ以上 角度:2.86~

※国の被災者支援策の基準及び「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による基準より

下げ振りは、糸と五円玉で代用することも可能です。

ただし下げ振りは1人での作業が困難なときもあります。精度は下がりますが、角度や勾配が表示されるデジタルレベルなどの器具でも測定ができます。スマホのアプリでもありますが、精度は期待できません。

もちろん、すべての柱が同じ数値を表すことはありません。数値の大小は出ますが、結果を平面に表示してみると、全体の傾向を把握することができます。数値の大きな柱が、同じ方角へ傾いているほど、そして本数が多いほど、危険度は高くなります。

しかし、これらは真壁構造と言って、柱が露出している場合に測定が可能です。木造でも柱が壁に隠れている構造の大壁タイプやツーバイフォー住宅などでは正確には測定できません。壁の上から同様に測定しても、一定の参考にはなりますが、全体の傾向を掴む程度に留まります。

②柱の沈下

住宅の柱

柱の傾きに付随して、沈下も参考になります。床の水平度を計ることができます。柱の沈下を計測するには、水平レーザー墨だし器を使います。この機器はホームセンターでも販売していますが、値段の幅があり、安いものでも万単位の金額になりますので、必ずしも必要な作業ではありません。

計測は、部屋の中心に水平レーザー器を設置して、周囲にレーザーを飛ばし、柱に写ったレーザーラインから床までの高さを測定します。数値が大きいほど沈下が激しいことになります。この測定結果と柱の傾きの結果とを突き合わせれば、家の全体からみてどの方向の、どの部分がどの程度傷んでいるのかを掴むことができます。

家が傾いている原因が、地盤や基礎なのか、シロアリ被害なのか、それとも、それ以外に複数の原因が重なっているのか。

床下を調査する際などは、ある程度ターゲットの箇所を絞ることができます。

コンクリートの家

鉄筋コンクリート造りの家の場合、木造と比べるとシロアリ被害がなく換気しないことによる影響も少ないです。木造に比べて新しい工法であり、戸建て住宅としては棟数が少ないためあまり言及されることがありません。工法的に考えると自然倒壊するというより崩れていくといったイメージになります。

外壁や陸屋根のメンテナンスが行われなければ、コンクリートの中に水分が浸入し、鉄筋を錆びさせます。進行するとコンクリートが剥がれて鉄筋が露出してくるため、見た目に危なさがわかります。

コンクリートの家で注意したいのは、海沿いに建っているケースです。数年前、アメリカのフロリダでマンションが突然倒壊するという事故がありました。40年間普通に建っていて、倒壊したときも住人が暮らしていました。この原因はいまだにはっきりしていませんが、いくつかの施工不良が指摘されながら、いずれも決定的な要因とはいえなかったのです。しかし海のすぐそばであるという立地条件は見逃せません。潮風などによる塩害は思った以上に深刻な影響を与えます。木造や瓦など自然素材への影響は少ないのですが、たとえば金属系の屋根の場合、10年も経たずにボロボロになってしまいます。急速にダメージを与える海沿いに建つコンクリート造りの家は、目に見えないうちに傷みが進行する可能性は充分考えられます。

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倒壊する前兆についてのまとめ

空き家が倒壊する前兆として、基本的には家の傾きが主な原因となることを述べてきました。

2016年に岐阜県で突然倒壊した家の近隣住民は「2日ほど前からミシミシときしむ音がしていた」と証言しています。

家が傾く原因として、主なものは先に挙げたとおりです。

自分の家の傾きが許容範囲なのか、倒壊の危険があるのか、現状を理解することからスタートして、適切な対応をしたいものです。

住んでいるなら命を守るためにも耐震工事などの補強を行うか、場合によっては建て替えも考えないとなりません。住んでいない、空き家なら、解体するか売却するなどの対応が必要になります。たとえ税金面などで悩みはあっても、近隣の方々の不安や安全には代えられません。

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