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相続土地国庫帰属制度とは?概要・メリット・手続きの流れなどを解説

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2023年(令和5年)4月27日から、相続により取得した不要な土地を国に引き継げる制度(以下、相続土地国庫帰属制度)が始まります。

「遠方にある土地を相続したけど、管理が難しく手放したい」
「相続した土地が山林で使い道も引き取り手もいなくて、困っている」
など相続により得た不要な不動産の処分にお困りの方は少なくありません。

しかし、相続土地国庫帰属制度の利用にあたっては、対象となる土地の要件が厳しく定められ、さらに、申請が完了するまでにお金や時間がかかるといわれています。

そこでこの記事では、相続土地国庫帰属制度の概要をお伝えしつつ、メリットやデメリット、申請手続きの流れなどもあわせて解説していきます。

この記事でわかること

    • 相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈などで取得した土地を国に引き継げる制度
    • 相続土地国庫帰属制度の施行日は2023年(令和5年)4月27日
    • 相続土地国庫帰属制度のメリットは、①いらない土地だけを手放せる、②引き継ぎ先が国であり業者などを探す必要がない、③引き継ぎ先が国であるため管理が安心できる

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相続土地国庫帰属制度とは?

相続土地国庫帰属制度とはどのような制度なのでしょうか。具体的な手続きやメリット・デメリットをお伝えする前に、制度の概要や成立した背景などを見ていきましょう。

相続土地国庫帰属制度は、2021年4月に成立した相続土地国庫帰属法(正式名称:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)に基づき施行される制度です。

第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。
(引用:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第1条|e-Gov法令検索

相続や遺贈などで土地の所有権を取得した人が、土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。

つまり、「相続や遺贈で取得した不要な土地の所有権を国に返す制度」と言い換えられます。

ただし、どんな土地でも国庫帰属の対象となるわけではありません。「法務大臣の承認を受ける」「一定の費用を負担する」など、モラルハザードを防ぐために一定の要件・ハードルが設けられています。

相続土地国庫帰属制度の背景

相続土地国庫帰属制度が成立した背景には「所有者不明土地問題」の解決と発生予防という目的があります。

所有者不明土地問題とは

所有者不明土地とは、「所有者台帳(不動産登記簿等)により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地」のことです。以下は所有者不明土地の一例です(図1)。

【図1】
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全国で所有者不明土地が増えた結果、公共事業や復興事業が進められず、また、民間における土地取引が阻害され、土地の利活用ができなかったり、管理の行き届かない土地が増えて近隣住民に悪影響を及ぼしたりする問題が深刻化しました。この問題が「所有者不明土地問題」です。

所有者不明土地はどれほど深刻なのか

【図2】
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(参考:所有者不明土地問題研究会最終報告概要|所有者不明土地問題研究会

一般社団法人国土計画協会の所有者不明土地問題研究会は「2040年には所有者不明の土地が北海道本島の土地面積(約780万ヘクタール)に匹敵する720万ヘクタールになる」という試算結果を公表しています(図2)。

所有者不明土地の増加防止に係る新たな取組が進まない場合、所有者不明土地は着実に増加。現在の所有者不明土地の探索が行われないとすると、2040年には約720万haに相当。(参考:北海道本島の土地面積:約780万ha)
(引用:所有者不明土地問題研究会最終報告概要|所有者不明土地問題研究会

現状を解決しないまま放置すれば、有効に活用されず所有者がわからない土地が北海道本島に匹敵する面積になる可能性があるのです。

所有者不明土地が深刻化した理由

「所有者不明土地問題」がここまで深刻化した理由は大きく2つです。

1つ目は、これまで相続登記の申請が義務化されておらず、仮に相続登記をしなかった相続人にも不利益がなかったことです。罰則や過料などはなく、相続した土地や相続登記手続きを放置しても相続人には大きな影響はありませんでした。

2つ目は、人口が都市部に集中し、地方都市の人口減少や高齢化が進み、相続人や共有者の不動産所有者意識が薄まったことです。所有者意識がないため、「土地を有効活用しよう」というニーズも低下し、売却や賃貸など有効活用されることがなく放置されてきました。

政府としては、このような「所有者不明土地問題」を解決し、今後の発生を予防するために相続土地国庫帰属制度を創設しました。また、「所有者不明土地問題」を解決し予防するためのもう一つの施策として、相続や遺贈により土地の所有権を取得した場合の登記申請を3年以内に行うよう、相続登記が義務化されました。相続登記の義務化は、2024年(令和6年)4月1日からスタートします。

相続登記の義務化に関してはこちらの記事で詳細を解説しています。

>>相続登記の義務化はいつから?過去の相続も対象?罰則や過料などを解説

開始時期

ここまで、「所有者不明土地問題」の解決と発生予防を背景に相続土地国庫帰属制度が創設されたことをお伝えしてきました。「制度の背景は理解できたけど、いつから開始されるのか」という点が気になるところでしょう。

相続土地国庫帰属制度が開始されるのは、2023年(令和5年)4月27日からです。

2021年(令和3年)に成立した相続土地国庫帰属制度では、「交付(2021年4月28日)から2年以内の政令で定める日から施行」と記載があり、2021年(令和3年)12月14日の閣議で正式に施行日が決定されました。

なお、相続土地国庫帰属制度の開始以前に相続や遺贈によって取得した土地であっても、申請可能対象です。 例えば、数十年前に相続した土地でも、所定の手続きを行えば申請できます。

申請できる人

相続土地国庫帰属制度を申請できる人は、以下のとおり定められています。

第二条 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。
(引用:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条1項|e-Gov法令検索

つまり、申請できる人は「相続や遺贈などによって土地の所有権の全部または一部を取得した土地所有者」ということです。そして、土地所有者が「単独所有」と「共有」の場合では次のような違いがあります。

(1)単独所有の場合
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土地の所有権を国庫に帰属させることを申請できるのは、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した者に限られます。したがって、単独所有のときは、その土地を売買や贈与などの原因によって取得した場合、相続土地国庫帰属制度を利用できません。

(2)共有の場合
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土地の所有権を複数が共有している場合、共有者全員が共同して申請すれば、相続土地国庫帰属制度を利用できます。なお、相続や遺贈以外の方法、例えば、売買や贈与などの方法で土地の共有持分を取得した者も、相続によって共有持分を取得した他の共有者が申請すれば、共同で申請できます。

現状として、相続や遺贈によって取得した土地は、相続人がやむを得ず所有し続け、有効活用されないまま放置されていることも珍しくありません。望まない土地を相続した所有者は、土地管理の負担が大きいと感じ管理を怠る傾向にあるため、下記のケースのように「できれば手放したい」というニーズが高まっています。

ケース1:遠方に住んでいて、相続した土地を利用する予定がなく持て余している
ケース2:近隣への悪影響を防ぐため土地を管理しなければならないが、費用や労力が負担になる

申請先

相続土地国庫帰属制度を利用する場合の申請先・申請窓口は、法務局です。

厳密には法務大臣に対して申請することとされていますが、権限を法務局や地方法務局へ委任することが法律で定められています。

第十五条 この法律に規定する法務大臣の権限は、法務省令で定めるところにより、その一部を法務局又は地方法務局の長に委任することができる。
(引用:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第15条|e-Gov法令検索

ご自身の所有する土地を管轄する法務局や地方法務局がわからない方は、法務局のホームページより検索できます。

費用

相続土地国庫帰属制度を申請し、法務大臣による承認を受けた場合、元々の土地の所有者は土地の管理負担を免れることになります。そこで、相続土地国庫帰属制度では、管理負担を免れる程度(土地の面積や種目など)に応じて、管理費用の一部を負担金として納付しなければならないこととなりました。

国庫帰属を承認された土地がどのような種目か、どのような区域に属するかによって負担金額は決定されます(図3)。

【図3】
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※1:市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域又はおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいいます(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第2項)。
※2:用途地域とは、都市計画法における地域地区の一つであり、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用が定められている地域をいいます(都市計画法第8条第1項第1号)。
※3:農用地区域とは、自然的経済的社会的諸条件を考慮して総合的に農業の振興を図ることが必要であると認められる地域として指定された区域をいいます(農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号)。
(参考:相続土地国庫帰属制度の負担金|法務省

そして、国庫帰属の承認を受けた土地が「宅地」「田・畑」「森林」の場合は、特定の算定式を用いて負担金を算出するケースがあります。負担金額を算出する際、以下の図を参考にしてみてください。

【図4:算定式(1)ー宅地】
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(参考:相続土地国庫帰属制度の負担金|法務省

【図5:算定式(2)ー田・畑】
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(参考:相続土地国庫帰属制度の負担金|法務省

【図6:算定式(3)ー森林】
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(参考:相続土地国庫帰属制度の負担金|法務省

相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリットとは?

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「相続した土地を管理するのは大変だし、お金を払ってでも早く手放したい」という人は、相続土地国庫帰属制度を活用するのがおすすめです。

ただ、この制度にはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。

制度を有効かつ適切に活用するためにも、メリットとデメリットの両方を押さえておきましょう。

メリット

相続土地国庫帰属制度には、主に次の5つのメリットがあります。

  • いらない土地だけを手放せる
  • 農地や山林も対象となる
  • 引き継ぎ先が国であり、業者などを探す必要がない
  • 引き継ぎ先が国であるため管理が安心できる
  • 損害賠償責任が限定的である

一つずつ見ていきましょう。

いらない土地だけを手放せる

相続した土地を手放したいとき、これまでは相続放棄を選択することが一般的でした。ただ、相続放棄を選択した場合、そのほかのプラスの遺産も放棄する必要があります。プラスの遺産(優良遺産)を相続する代償としていらない土地も引き継ぐ、というケースも少なくありませんでした。

しかし、いらない土地を相続したところで、維持管理は不十分になりやすく、ゴミの不法投棄や雑草が生い茂ることもあり、最悪の場合、近隣住民からのクレームや反感を招き、トラブルに発展することもあります。さらに、何もない土地であっても、所有しているだけで固定資産税の納税義務は発生するため、相続人には経済的な負担も重くのしかかっていました。

一方、相続土地国庫帰属制度では、いらない土地だけを手放して、そのほかのプラスの遺産は引き継ぐ、ということができます。近隣住民とのトラブル回避、経済的負担からの解放など、「いらない土地だけを手放せる」ことは本制度の最も大きなメリットといえます。

農地や山林も対象となる

土地にもさまざまな種類がありますが、農地や山林は、土地のなかでも手放すのが難しいとされています。

まず、農地は農地法で取引が厳しく制限されていることもあり、引き取り手(引き継ぎ先)を探すこと自体が困難です。さらに、手放すためには農業委員会からの許可を得る必要があります。許可を得るための手続きも大変であるため、あまり簡単に手放すことができません。

続いて、山林は「境界が不明確である」「場所がわからない」「災害リスクが高い」などの理由から、農地ほどではないものの引き継ぎ先を探すことに苦労します。そもそも林業の担い手・後継者が少ないという問題もあります。

相続土地国庫帰属制度なら、農地や山林であっても宅地や田畑などと同様、公平に審査され、承認されれば国に返還させることが可能です。

「相続した土地が農地で管理できない」「遺産分割で所有することになった山林を早く手放したい」という方のニーズに応える制度といえます。

引き継ぎ先が国であり、業者などを探す必要がない

土地や空き家など不動産を手放す際に、多くの人の頭を悩ませるのが買い手(引き継ぎ先)を探すことです。

特に、相続した土地や空き家は、長い間利用されていなかったり、維持管理が適切にされていなかったりすることも多く、買い手が見つかりにくいという実情があります。

さらに、対象となる不動産が、需要のないエリアにある、接道要件を満たさず再建築できないなどの場合、取り扱い可能な業者探しから始めなければならず、とても手間がかかります。

相続土地国庫帰属制度では、要件を満たし手続きを済ませれば国に返還することができるため、買い手や業者などを探す必要がありません。申請窓口も法務局や地方法務局に集約されているため、とてもわかりやすい制度といえます。

引き継ぎ先が国であるため管理が安心できる

先祖代々受け継いできた土地を見知らぬ人に売却したり、使用されたりすることに抵抗を覚える人は少なくありません。

また、引き継ぎ先がしっかりと維持管理をしないと、近隣住民からクレームが来たり、悪影響を及ぼしたりして、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

一方、相続土地国庫帰属制度は引き継ぎ先が国です。国有地として国が管理してくれるため、近隣住民からのクレームや犯罪リスクなどの心配がなく、安心して引き継ぐことができます。

損害賠償責任が限定的である

個人間あるいは不動産業者との売買において売買契約を締結しますが、土地に瑕疵がある場合、売主側は法的責任を追求されることがあります。いわゆる契約不適合責任です。

契約不適合責任は民法改正(2020年4月施行)により新たに定められました。債務不履行責任の一つであり、かつての瑕疵担保責任です。契約不適合責任は「目的物が契約内容と異なる」場合に売主が負う責任を意味します。

相続土地国庫帰属制度では、個人間あるいは不動産業者との売買に比べ、損害賠償責任を負う範囲が限定的です。国が定めた要件を満たさないことを意図的に隠して国庫に帰属させた場合などを除けば、損害賠償責任を負わないとされています。

デメリット

一方、相続土地国庫帰属制度には、以下の3つのデメリットがあります。

  • 手続きには費用を負担する必要がある
  • 国に引き継がれるまで時間がかかる
  • 申請や国の審査に手間や労力がかかる

詳しく見ていきましょう。

手続きには費用を負担する必要がある

相続土地国庫帰属制度は「いらない土地だけを手放せる」わけですが、その手続きにはさまざまな費用がかかります。制度を利用する場合は、それらの費用を負担する必要があります。

例えば、国に審査してもらうにあたっての審査手数料や審査承認後に納付しなければならない負担金です。

個人間の売買や不動産業者による買取であれば、多少の売却代金を得ることができるかもしれません。相続土地国庫帰属制度では、土地を手放すために持ち主がお金を負担しなければならない点が最も大きなデメリットといえます。

国に引き継がれるまで時間がかかる

相続土地国庫帰属制度は法務局・地方法務局に申請された後、審査されますが、その審査項目は多岐にわたります。また、土地の種目や地域など個別具体的に精査することになるため、書面審査のみではなく、現地調査が必要なケースもあるでしょう。

「どうしてもすぐに手放したい」という方には個人へ売却したり、不動産業者による買取したりする方が適しているといえます。

申請や国の審査に手間や労力がかかる

相続土地国庫帰属制度の申請や審査をしてもらうためには、前もって準備しなければなりません。

境界の調査や確定、建物の解体、残置物の撤去などは早めに済ませておく必要があります。また、国から現地調査の立会を要請されることも考えられます。さらに、申請書類や添付書類の作成には不動産や相続などに関する専門知識が必要です。

申請書類の作成などは、弁護士や司法書士に依頼すれば自身の負担を軽減することはできますが、手数料がかかりますし、土地を共同で所有する場合には、共有者とのコミュニケーションも疎かにできません。

相続した空き家を国に帰属させる流れ

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相続土地国庫帰属制度を利用して、相続した土地や空き家を国に帰属させる流れは以下のとおりです。

  • 承認申請
  • 要件審査および承認
  • 負担金納付
  • 国庫帰属

一つずつ見ていきましょう。

①承認申請

承認申請書に下記項目を記入し、必要な添付書類を付け加え、所定の審査手数料を用意して、管轄の法務局または地方法務局に提出します。

  • 承認申請者の氏名又は名称及び住所
  • 承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積
  • 承認申請の審査に必要とする実費その他一切の事情を考慮し政令で定める額の手数料

②要件審査・承認

承認申請が国(法務大臣)に受け付けられたら、権限を委任された法務局または地方法務局の職員が、申請された土地や近隣地域の現地調査を行います。

職員は、申請者および申請された土地の関係者などに事実関係のヒアリングを行い、承認要件を満たすか否かを審査します。

審査を通じて要件を満たすと判断されれば、法務大臣により承認通知が発行されますが、以下の要件に該当する場合は承認が却下されるため注意が必要です。

  • 承認申請の権限がない人からの申請であった
  • 要件に該当しない土地、承認申請書類や負担金が規定に違反していた
  • 申請者が事実関係のヒアリングに協力せず、調査できなかった

そのほか、却下事由や不承認事由といった国庫帰属の対象とならない相続土地も存在しますので、詳細は後述します。

③負担金納付

承認申請が受け付けられ、要件審査が承認されると、法務大臣から承認通知および負担金の通知が届きます。

負担金は、負担金の通知を受けてから30日以内に納付しなければなりません。期日を過ぎると、承認の効力が失われてしまうため注意しましょう。

④国庫帰属

申請者の負担金納付が完了した時点で、土地の所有権は国庫に帰属します。

土地が国庫帰属されたら、土地の管理者は申請者から国へ移るため、申請者(元の所有者)は土地に対する責任から解放されます。

相続土地国庫帰属制度の対象となる相続土地の範囲

以下の却下事由または不承認事由に該当してしまうと、相続土地国庫帰属制度を利用しても、国庫への帰属が認められないため注意しましょう。

【却下事由(申請自体が認められない)】

  • 建物が存在している土地
  • 担保権または用益権が設定された土地
  • 通路用地、墓地、境内地、水道用地、用悪水路、ため池などがある土地
  • 特定有害物質などにより土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地など、所有権の存否や帰属、範囲に関する争いがある土地

(参考:相続土地国庫帰属制度③(土地の要件)|法務省
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【不承認事由(申請が承認されない)】
1 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
2 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
3 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
4 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地、所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地)
5 通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地
〇土砂崩落、地割れなどに起因する災害による被害の発生防止のため、土地の現状に変更を加える措置を講ずる必要がある土地(軽微なものを除く)
〇鳥獣や病害虫などにより、当該土地又は周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがある土地(軽微なものを除く)
〇適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が追加的に必要な森林
〇国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地
〇国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地
(参考:相続土地国庫帰属制度③(土地の要件)|法務省
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相続土地国庫帰属制度で空き家を処分するためには?

「空き家を相続した場合には相続土地国庫帰属制度で国に引き継いでもらえないの?」

残念ながら、相続土地国庫帰属制度の申請対象となるのは「土地」であるため、相続した空き家がある状態で申請しても国は引き継いでくれません。

したがって、相続した空き家を相続土地国庫帰属制度を利用して処分したいのであれば、まず土地を更地に整備する必要があります。以下に空き家を相続した場合に考えられるケースと対処法を挙げます(図7)。

【図7】
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相続土地国庫帰属制度を利用せずに相続した空き家を処分したい場合は、不動産業者による買取や第三者への売却などの後述方法で処分することをおすすめします。

相続土地国庫帰属制度の依頼先

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相続土地国庫帰属制度は2023年4月から始まる新しい制度です。

「手放したい土地があるけど、依頼はどこにすればいいの?」とお悩みの方も多いことでしょう。

実際、相続土地国庫帰属制度の申請を行うにあたっては、弁護士、司法書士、行政書士や土地家屋調査士などさまざまな知識が求められます。手続きは複雑であり、必要なのは不動産の知識だけではないため、やはり専門家に相談することをおすすめします。

法務省は、相続土地国庫帰属制度における専門家の活用について以下のとおり公表しています。

2 申請書等の作成に関する専門家の活用について

  • もっとも、申請手続に関する一切のことを申請者本人が行わなければならないわけではありません。
  • 申請者ご自身で申請書や添付書類(以下「申請書等」という。)を作成することが難しい場合には、申請書等の作成を代行してもらうことができます。
  • その場合、業務として申請書等の作成の代行をすることができるのは、専門の資格者である弁護士、司法書士及び行政書士に限られますので御注意ください。

 ※なお、申請を検討している土地の所在や境界に不明瞭な点がある場合など、申請に先立って、土地の筆界に関する専門的知見を有する土地家屋調査士に相談することができます。
(引用:相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等について|法務省

弁護士

弁護士なら、相続相談や相続手続き全般を依頼できます。

遺産分割調停、遺産分割協議の調整などに対応しているため、「相続土地国庫帰属制度を申請する前に相続トラブルが起こりそう」という場合にも、依頼先として適しています。

司法書士

司法書士は日頃から相続登記を行う専門家です。

弁護士に比べて、日常的に相続登記や相続手続きに触れていることが多く、依頼先として適しています。

行政書士

行政書士は、弁護士や司法書士とは違い、登記相談を受けられないため注意しましょう。

行政書士には、あくまで相続土地国庫帰属制度の申請に必要な申請書等の作成代行が認められているに過ぎません。

「行政書士の資格を持つ司法書士」であれば、相続登記や相続手続きを依頼しても問題ありません。

依頼先の探し方

「弁護士事務所や司法書士事務所をいきなり訪ねて、相談料がかかったり、手続き費用がいくらかわからないのは不安」という方も多いと思います。

相続登記や相続手続きに強い弁護士と司法書士の比較・検索しやすいサイトを2つご紹介します。

遺産相続弁護士ガイド

遺産相続弁護士ガイドは、入力フォームに必要事項を入力するだけで、複数の弁護士から見積もりが届く一括見積もりサイトです。また、遺産相続の分野に詳しい弁護士事務所を中心に、対応方針と費用を比較しながらご自身に合った弁護士に依頼できます。

相続会議の司法書士検索

相続会議の司法書士検索は、全国の遺産相続に強い司法書士事務所を一覧で見ることができる検索サイトです。司法書士の対応可能エリア、相談内容など細かい検索条件を設定して検索できます。

相続土地国庫帰属制度以外で空き家を処分する方法

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相続した土地や空き家を手放す方法は、相続土地国庫帰属制度のほかにもさまざま存在します。

それぞれの方法の特徴を紹介していきますので、ご自身に適した処分方法を選ぶ際の参考としてみてください。

不動産業者に買い取ってもらう

個人間の不動産売買取引は、時間と労力がかかることに加え「契約自体が直前に流れてしまった」ということも珍しくありません。

一方で、不動産業者に買い取ってもらえば、契約が流れにくい、売買トラブルが少ない、現況引き渡しが可能などのメリットがあります。また、個人に比べ、購入を希望する不動産業者に売ればいいため、比較的早く処分することができます。

特に、相続により取得した不動産は、築年数を経過していることが多く、建物自体が使えなかったり、そもそも建物を取り壊しできなかったりするものです。また、相続では権利や人間関係などが複雑に絡み合い、手続きが難航することもあります。その間に、不動産の価値は減っていってしまいます。

購入を希望する個人を時間をかけて探したり、相続で揉めたりするよりも、購入後のトラブルが少ない不動産業者にすぐに買い取ってもらった方がプラス面が大きいのです。

当社運営の空き家パスは、数多くの空き家買取実績があります。接道条件が悪い空き家、築年数の古い空き家など、他の不動産業者に断られた空き家でもお気軽にご相談ください。

仲介で第三者に売却する

相続土地国庫帰属制度を利用すると、負担金を納付しなければならず支出が発生します。一方、第三者に売却できれば、売却代金として収入を得られます。

また、空き家や土地を維持管理するための修繕費や管理費、固定資産税などもかからなくなるため、経済的な負担は大幅に減ります。ただし、個人間の売買ではトラブルが起こるリスクが高く、買い手が見つかりにくいため注意が必要です。

当社運営の空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐポータルサイトとして、全国各地の空き家売買の仲介を行っています。

他の不動産業者から「雨漏りやシロアリ被害があるから取り扱いできない」と断られてしまった空き家や需要のないエリアにある空き家でもご安心ください。「リノベーションしてカフェを開業したい」「DIYを楽しむために移住したい」と考えている人はいるものです。

そのような売り手と買い手の架け橋となるべく、老朽化が進んだ空き家や残置物のある物件も取り扱っています。掲載料無料で、最短21日で売れた実績もあるため、「どうせ売れない」と諦めている方もまずは相談してみてください。

空き家バンクを利用する

空き家バンクを利用するという方法もあります。

空き家バンクとは、空き家を所有し賃貸や売買を希望している人と、それらを利用したい人をつなぐサービスです。各地域の自治体が運営しています。

空き家バンクは、登録料と仲介手数料が不要で誰でも気軽に登録可能です。移住を促したり、地域活性化の働きもあるため、全国各地で取り組まれている制度でもあります。

ただし、空き家バンクに登録したからといって必ず売れるわけではありません。多くの人の目に触れる機会が少なく、一般的には不動産会社がポータルサイトなどに掲載している空き家の方が認知される傾向にあるからです。

さらに、仲介手数料は無料ですが、交渉や売買契約は自分自身でやらなければならない点は念頭に置いておきましょう。

相続放棄をする

負担金を納付せず相続した土地や空き家を処分する方法として、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄をすれば、被相続人からの債務も相続せずにすみます。

ただ、相続放棄をする場合は、土地や空き家といった不動産だけではなく、そのほかの遺産も相続できなくなる点を念頭に置いておきましょう。また、相続放棄は原則として、相続の発生を知ったときから3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。

つまり、相続土地国庫帰属制度を利用すれば、複数ある遺産の中から不要な土地や空き家だけを放棄(国庫帰属)できるのに対して、相続放棄は3ヶ月以内に手続きし、複数ある遺産全てを放棄しなければならない、ということです。

他の親族に相続してもらう

相続することになった土地や空き家を「相続したい」と希望する親族がいるなら、遺産分割協議などを通じて、希望する親族に相続してもらうという選択肢もあります。

相続土地国庫帰属制度とは違い、負担金も発生しませんし、相続したい親族と相続したくない相続人、双方の意思を尊重できます。

ただし、需要のないエリアにある土地や利活用の方法がない空き家は、相続希望者が現れないことも考えられるため、これまで紹介してきた土地や空き家の方法で処分を検討しましょう。

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営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

まとめ

この記事では、相続土地国庫帰属制度の概要やメリット・デメリット、手続きの流れを中心に解説してきました。

不要な土地を取得しても、維持管理が不十分になりやすく、近隣住民とのトラブルや犯罪リスクなどがあることを考えると、相続土地国庫帰属制度は非常に良い制度のように思えます。

しかし、申請承認できる土地はとても限定的です。また、負担金の納付が義務付けられていたり、承認されるまでに時間や労力がかかったりするため、「すぐに手放したい」という人には適した制度ではないでしょう。さらに、相続する不動産は、空き家やいわゆるボロ戸建てのような建物付きの土地であることが多いものです。建物が残っていると本制度を利用することはできません。

そこでおすすめしたいのが買取専門の不動産業者です。買取専門の不動産業者は、土地だけの場合はもちろん、空き家などの建物付きの土地であっても売却することが可能です。所有者は負担や手間なく土地を手放すことができ、まとまった売却代金を手に入れることもできます。

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当記事の参照元:【Q&A】相続土地国庫帰属制度のメリットとデメリットとは?

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