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家を共有名義で相続したときのよくあるトラブル|解決策とともにご紹介

家を共有名義で相続したときのよくあるトラブル|解決策とともにご紹介

不動産売買において、売却時に困ることが多いのが共有名義の不動産です。
共有名義になっている不動産は、複数いる所有者全員の合意がないと売却することができません。利用や変更に共有者同士で合意形成を行う面倒があり、相続が相次ぐと共有者が増えすぎてしまうケースもあります。
不動産相続は多くの方が経験することになる一般的な事柄であるため、共有名義で相続することの対処方法を事前に知っておくことは大切です。
そこで本記事では、共有名義の不動産の売買について説明します。

この記事でわかること

    ・相続を理由として、他の人と不動産の共有関係になる場合がある。
    ・共有名義の不動産はその持分割合の過半数の同意がないと、賃貸をすることができない。また、全員の同意がないと、売却や変更をすることができない。
    ・相続時の共有名義の解消方法としては、代償分割・換価分割・現物分割が挙げられる。
    ・相続後の共有名義の解消方法としては、共有者同士の持ち分の売買や、不動産全体の売却・最終手段としての共有物分割請求訴訟が挙げられる。

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不動産の共有名義とは

不動産の共有名義とは

不動産の共有とは、1つの不動産を複数人で共同で所有していることを指します。まずはその具体的な定義について解説していきましょう。

不動産の共有名義の定義

建物や土地は、法務局に保管されている不動産登記簿謄本にその所有者が記されています。
単独所有の場合所有者は1人しか記載されませんが、何らかの都合で共有名義となっている場合は、複数の所有者がその所有権の割合(共有持ち分・%)とともに記載されます。例えば、実家の不動産を法定相続人である母親と兄弟の3人で法定相続分通りに相続した場合、母親50%、長男25%、次男25%の所有権割合で相続登記がなされることとなります。

土地や家屋が共有名義になるケース

土地や家屋が共有名義になるケースとしては、以下のような例が挙げられます。

  • ・従来の不動産所有者が死亡し、複数の相続人が共有で相続する場合
  • ・夫婦が共同で住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合(出した金額に応じてお互いの共有持ち分が決定)
  • 共有名義での相続でよくあるトラブル

    共有名義での相続でよくあるトラブル
    不動産を共有名義で相続してしまうと、様々な事柄について共有者全員と意思決定をしなければならず、トラブルが発生します。代表的なものをチェックしていきましょう。

    遺産分割協議が難しい

    不動産の相続で、最も難しいのが遺産をどう分割するかです。被相続人が亡くなり、その故人が遺言書を作成していない場合や、遺言書の内容通りに遺産を分割しない場合は、法定相続人同士の話し合いで決定します。この話し合いを、遺産分割協議と言います。
    不動産は金額が大きい現物資産であり、現金等と異なり分けることが難しいため、誰が相続するかで揉めがちです。例えば法定相続人が兄弟姉妹の場合、長女が実家の空き家を単独相続し、現金や株式などを残りの兄弟で分け合うとなると兄弟間で不公平感が生まれます。しかし、「とりあえず、兄弟姉妹で共有相続しておくか」という安易な結論に至ってしまうと、後述するデメリットが発生することとなります。次の世代の遺産分割においても、細分化された権利を誰が相続するかという協議を行わなければならなくなります。細分化された共有持ち分は相続してもメリットが少ないため、遺産分割協議が難しくなります。

    売却や利用に共有者の同意が必要

    共有不動産は所有者が複数人いるため、売却や利用に共有者の同意を取らなければなりません。では、共有不動産の所有者が他の共有者の同意なくできることはあるのでしょうか。
    不動産に対して単独でできることと、共有者の同意がないとできないことをそれぞれ見ていきましょう。

    <単独でできること>
    共有者が単独で行える行為は、不動産の現状維持が図れる範囲での「保存行為」「使用行為」と定められています。具体的には、共有不動産の使用や、自らの持ち分のみを売却する行為、現状維持を目的とした修理、不動産が不法に占有されている場合の不法占有者への明け渡し請求などが挙げられます。

    <過半数の同意があればできること>
    共有持ち分の過半数の同意があれば、「管理行為」を行うことが出来ます。具体的には、第三者へ賃貸して賃料収益を上げる行為(土地の場合は5年以内・建物の場合は3年以内)や、物件自体の価値を高めるリノベーションが挙げられます。

    <全員の同意がなければできないこと>
    共有持ち分の全ての同意があれば、「変更行為」を行うことが出来ます。具体的には、共有不動産全体の売却や、建物の解体(大規模な変更含む)、長期間第三者へ賃貸して収益を上げる行為が挙げられます。これらの行為はいずれも不動産の性質を変更させる要素があることから、共有者全員の同意が必要とされています。

    このように、不動産の賃貸や売却は同意がないと行うことができません。しかし、全国の不動産には共有者同士の意思統一を図ることが難しく、活用されなくなってしまうものもあるようです。

    維持管理費や固定資産税の負担で揉める

    共有状態にある不動産は、誰がその維持管理コストを負担するかで揉めるケースがあります。固定資産税や都市計画税などの税金や、清掃費、雑草処理費など、不動産を所有することには様々な経費が発生します。不動産を実際に利用する人が特にいない場合、そういった費用を誰がどの程度支払いをするのかを決めなければなりません。建物にどの程度管理費をかけるのかという考え方が相続人間で異なる場合も多く、とりまとめ・各共有者への精算を行う代表者一人に精神的・金銭的な負担がかかる傾向があります。

    権利関係が複雑化するリスクがある

    共有名義の不動産は、権利関係が複雑化しがちです。上述した通り、共有名義の不動産は、売却や改良に他の共有者の同意が必要です。共有名義のまま相続を繰り返し、共有者がねずみ算式に増えていくと、どんどん他の共有者間の同意形成が難しくなってしまいます。このことから、共有状態の解消はなるべく早めに行うのが望ましいと言えます。

    共有名義での相続を避ける方法

    共有名義での相続を避ける方法
    ここまで、共有名義で、不動産を相続することにより起こる問題を説明してきました。では、どうすれば共有名義の相続を避けることができるのでしょうか。ここからは、共有名義の相続を避ける具体的な方法について説明していきます。

    不動産の売却(換価分割)

    まず、第一の方法として挙げられるのが、不動産を現金化し、その現金を相続人で分ける方法(換価分割)です。換価分割は現金を分けることができる点がメリットです。不動産はその評価方法により価格に差異が出やすく、他の現金や預貯金、株式などの資産と比較するのが難しい遺産です。現金化することで他の遺産と同じ基準で評価を行うことができ、納得感のある遺産分割がしやすくなります。しかし、換価分割のデメリットは、不動産は必ずしもすぐに売却できるというわけではないことです。早く不動産を売却したいという意見の相続人がいる場合、安価に売り急いでしまう可能性もあります。
    換価分割を行うためには、相続人全員が換価分割を行うことに同意し、その内容を遺産分割協議書に記載する必要があります。売却できた時点で協議書の割合通りに現金を分割すれば、対応は完了です。

    リースバック

    売却の一手法として、リースバックも挙げられます。リースバックは不動産を不動産会社などに売却した後、その買主に対して賃料を支払うことで住み続ける手法です。リースバックのメリットは、売却で現金を得ることができる点と、引き続き売却した不動産に住み続けることができる点です。しかし、不動産自体は買主のものになってしまい、利用するためには賃料がかかる点がデメリットです。
    リースバックを行うためには、リースバックに対応している不動産買取業者へ売却を行うのが一般的です。

    代償分割

    代償分割とは、不動産を相続人のうちの1人が相続し、その相続人が他の相続人に対して代償金を支払うことで調整する方法です。例えば、兄弟2人で1億円の価値が見込まれる不動産を相続する場合、兄が不動産を単独相続し、弟に5千万円の現金を支払うというようなやり方です。
    代償分割は、不動産を売却せず単独所有を続けることができる点がメリットです。一方、不動産を相続する側に金銭的な負担が大きく、代償分割を行うための現金を用意できないと言うケースがあります。また、代償分割で支払う現金の額で揉める場合もあります。
    代償分割を行う手順としては、相続人全員で代償分割を行う旨に同意し、その内容で遺産分割協議書を作成します。不動産を相続した人が他の相続人に対して遺産分割協議書に定めた金額を支払えば、代償分割は完了します。

    土地を分筆する(現物分割)

    広大な土地であれば、土地を分筆するという方法も選択肢になります。土地は、不動産登記簿において一筆毎に管理されています。登記簿上の一つの土地を複数に分けることを分筆と言います。具体的には、100坪の土地を兄弟で相続する際、手続きを行い50坪ずつに分筆し、それぞれ兄と弟で単独相続します。
    分筆することのメリットは、相続した不動産を売却する必要がなく、かつ代償分割のように片方の相続人に金銭的な負担もかからない点です。一方、分筆する場合は、どう土地を分割するかで揉める場合があります。どちらかの土地が不整形になってしまったり、前面道路への接道が狭かったりと、平等に土地を分けるのは難しいケースがあります。
    土地の分筆を行う場合は、土地家屋調査士に手続きを依頼する必要があります。現地での境界確定に立会い、境界線を確定させます。その境界線に境界標が打ち込まれ、測量が行われます。分筆された面積であらためて不動産登記簿の変更登記申請を行えば、分筆は完了です。

    相続放棄の検討

    不動産含め、全ての遺産を相続したくないという場合は、相続放棄も選択肢となります。相続放棄とは、相続人がその相続権を放棄することを指します。相続放棄が行われる目的としては、借金などのマイナスの遺産を相続しないためや、遺産分割に伴う親族間の相続トラブルを回避するためが挙げられます。しかし、相続放棄を行うと現金や預貯金などを含めた全ての遺産を相続することができないというデメリットがあります。気軽に選ぶことのないよう注意しましょう。
    なお、相続放棄を行うためには、申告期限まで(自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内)に裁判所に必要書類を提出する必要があります。

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    共有名義の解消方法

    共有名義になっている場合の対処方法
    ここまでは、相続時に共有名義になることを避ける方法について説明しました。続いては、既に共有名義になってしまった不動産の解消方法について説明します。

    共有持分の買い取りや売却

    まず、共有者各々の持ち分を売買により移動させ、誰か一人の単独所有にするという方法が挙げられます。具体的には、所有者同士で売買契約書を締結し、買主が売主に双方で合意した金額を支払います。この売買契約書を証拠書類として不動産登記を行うことで、共有持ち分は解消します。
    この際に注意しておきたいことは、売却金額の設定です。あまりにも売却金額を低く設定すると、低額譲渡とみなされ、譲渡を受けた買主に対して贈与税が発生する可能性があります。なるべく、市場価格に近い金額を設定するようにしましょう。また、売却金額をどう設定するかで共有者同士で揉める可能性があります。そのような場合は、不動産の価値を評価できる第三者を挟んで交渉するのも良いでしょう。

    全体の不動産売却

    共有者全員の同意の上、不動産をまるごと売却するのも良いでしょう。この場合、売却の仲介をする不動産会社との連絡は代表者が行うものの、共有者全員が売却に同意していることを示す必要があります。また、売買契約書には、共有者全員が実印で記名押印する必要があります。契約締結などの場面でも共有者全員の立ち会いが必要となりますが、遠方に居住し物理的に立ち会えないなどの場合であれば、委任状を作成することで他の共有者に手続きを任せることも可能です。売却が成功した場合、代金の取り分は持ち分に応じて分配することとなります。不動産仲介を依頼する不動産会社にアドバイスを求めながら、進めていきましょう。

    共有物分割請求訴訟

    当事者同士の話し合いでスムーズに決着できない場合は、最終手段として裁判所を通じて共有状態を解消する方法もあります。これを、共有物分割請求訴訟と言います。
    共有物分割請求訴訟は、共有者同士の話し合いでは決着が尽きそうにない場合などに、訴訟を起こし裁判所に調停してもらうものです。裁判所は、その内容に応じて解消方法の判決を出します。その解消方法はこれまで紹介したものと同じく、不動産を分筆して分割する「現物分割」、共有者のいずれかが単独で取得して他の共有者に現金を渡す「代償分割」、不動産を売却し得た現金を共有者で分割する「換価分割」のいずれかとなることが多い傾向にあります。
    訴訟は裁判所が判決を出してくれる点で公平感がありますが、「手間やコストがかかる」「共有者同士の人間関係が悪化する可能性がある」等の問題点もあります。共有者動詞の関係性が悪く調整が困難な事例における、最終手段として捉えておきましょう。

    相続前後の対策

    これまで説明した通り、共有不動産が発生しやすいのが相続で両親から子どもへ遺産分割が行われるタイミングです。相続時に慌てることのないよう、将来に備えて相続手続きの前にできる解決策を確認していきましょう。

    遺言書の作成

    被相続人が生前に実施できる対策として、不動産の共有が起こらない内容で遺言書を用意しておくことが挙げられます。
    相続人同士の調整は揉め事に発展する場合もありますが、被相続人の主張を示すことができる遺言書であれば、反対なく受け入れられる傾向にあります。誰にどの財産を残すか、相続専門の弁護士や税理士等の専門家に助言を仰ぎながら、慎重に遺言書作成を行いましょう。
    遺言書は、被相続人が自ら作成する自筆証書遺言、公証役場で公証人に作成を依頼する公正証書遺言、公証役場で公証人に作成を依頼し、かつ遺言の内容を秘密にすることができる秘密証書遺言の3種類に分けられます。公正証書遺言や秘密証書遺言はお金がかかりますが、専門家によるチェックがあることで被相続人が意思能力を有していること(認知症を患っておらず、意思決定能力があること)を証明でき、遺言書の内容が無効になる恐れが少ないのがメリットです。また、2020年からは自筆証書遺言を法務局に保管してもらうことができる制度も始まったため、活用すると良いでしょう。

    単独名義に名義変更

    すでに被相続人が所有している不動産が共有状態にある場合は、前述した分割方法を用い、共有状態を解消しておくというのも良いでしょう。相続が重なると共有者は増え続け、単独名義にするための相続対策は取りづらくなります。自宅の名義をどうするのか、配偶者などの法定相続人と話し合い、事前に対策しておきましょう。

    まとめ

    本記事では、家を共有名義で相続した時の注意点や解消方法について説明しました。安易に共有で相続してしまうと、利用や変更にあたって共有者同士で交渉や同意が必要となります。共有不動不動産を放置してさらに権利が細分化してしまう前に、共有状態を解消するのが望ましいでしょう。
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