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旧法・新法借地権の違いと借地権付き建物のメリット・デメリットとは

他人から借りた土地の上に建てられた建物である「借地権付き建物」を所有している方や、その購入を検討されている方もいらっしゃると思います。その中には、そもそも借地権とは何かということをいまいちよく分かっていないという方も多いことでしょう。

そこでこの記事では、借地権とは何かということや旧法と新法の借地権の違い、借地権付き建物のメリット・デメリットなどについて解説していきます。ぜひ参考にして理解を深めていきましょう。

この記事で分かること

  • 借地権とは何か?
  • 旧法・新法の借地権の違い
  • 借地権付き建物のメリット・デメリット

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そもそも借地権とは?

そもそも借地権とは?

それでは、そもそも「借地権」とは一体何なのでしょうか?

借地借家法第2条では、以下のように定義されています。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
引用: 借地借家法 | e-Gov法令検索

つまり、借地権とは建物を所有する目的で他人から土地を借りる権利のことを指します。

また、借りた土地のことは「借地」と言い、地主は「借地権設定者」や「底地人」、借主は「借地権者」や「借地人」などと呼ばれます。さらに、借地上に建てられた建物は「借地権付き建物」などと呼ばれることが多いです。

それでは、これらの言葉の定義を踏まえて、借地権についてより詳しく解説していきましょう。

借地権の種類には旧法借地権と新法借地権がある

前項では、借地権の定義について「借地借家法」から引用しましたが、実はこれは1992年に施行された「新法」にあたります。それ以前に設定された借地権は「旧法」である「借地法」に基づいたものであり、現在はその両者が混在している状況です。そして、この旧法借地権と新法借地権には大きな違いがありますので、借地権を持っている方や持つ予定のある方は、自身の借地権がどちらなのかをしっかりと把握する必要があります。それでは、次項にて旧法と新法の借地権の違いについて詳細に解説していきましょう。

旧法と新法の借地権では、契約期間と更新後の存続期間に違いがある

旧法と新法の借地権では、契約期間と更新後の存続期間に違いがある

前述の通り、借地権には大きく分けて旧法借地権と新法借地権の2種類があり、それぞれに違いがあります。具体的には、契約期間と更新後の存続期間に違いがあります。ここではその違いについて、借地権の種類をさらに細かく分けてより詳細に解説していきましょう。

旧法借地権の契約期間と更新後の存続期間

旧法における借地権は、「堅固建物」か「非堅固建物」かによって契約期間に違いがあります。「堅固建物」とは石やレンガ、土、コンクリート造りの建物などのことで、「非堅固建物」とは主に木造の建物のことです。それぞれの契約期間は、以下の表の通りになります。

契約期間 更新後の存続期間
堅固建物 期間の定め有:30年~
期間の定め無:60年
期間の定め有:30年~
期間の定め無:30年
非堅固建物 期間の定め有:20年~
期間の定め無:30年
期間の定め有:20年~
期間の定め無:20年

当初の契約期間は、堅固建物の場合は30年~、非堅固建物の場合は20年~になります。また、これより短い契約期間を定めた場合や、期間の定めがない場合は、堅固建物の場合は60年、非堅固建物の場合は30年になります。

そして更新後の存続期間は、堅固建物の場合は30年、非堅固建物の場合は20年となっています。しかし、地主と借地権者の間に合意があれば、これより長い期間を設定することも可能です。

新法における普通借地権の契約期間と更新後の存続期間

それでは、新法における借地権の契約期間について解説していきましょう。新法借地権には「普通借地権」と「定期借地権」があり、このうち「普通借地権」は旧法借地権の性質を引き継いだものとなっています。ただし、旧法借地権と違って堅固建物・非堅固建物による区別がなくなったのと、契約期間や更新後の存続期間についても変更点があります。新法における普通借地権の契約期間は、以下の表の通りです。

契約期間 更新後の存続期間(1回目) 更新後の存続期間(2回目~)
期間の定め有:30年~
期間の定め無:30年
期間の定め有:20年~
期間の定め無:20年
期間の定め有:10年~
期間の定め無:10年

当初の契約期間は、堅固建物・非堅固建物の区別なく、一律30年です。ただし、地主と借地権者の間に合意があれば、これより長い期間を設定することもできます。

そして、更新後の存続期間は1回目の更新とそれ以降の更新で異なり、1回目では20年、それ以降の更新では10年となっています。こちらに関しても、地主と借地権者の間に合意があれば、これより長い期間を設定することも可能です。

新法における定期借地権の契約期間

続いて、新法における定期借地権の契約期間について見ていきます。定期借地権は前述した2つの借地権と異なり、更新ができません。そのため、借主にとって不利な借地権と言うことができるでしょう。

また、定期借地権には3つの種類があり、それぞれに契約期間が異なります。

定期借地権の種類 契約期間
一般定期借地権 50年~
建物譲渡特約付借地権 30年~
事業用定期借地権 10年~50年

「一般定期借地権」は、50年以上にわたって土地を利用することができる借地権です。前述の通り、契約の更新はできませんが、契約終了後に新たに契約を結びなおすことはできます。

「建物譲渡特約付借地権」は、契約終了時に借地上の建物を地主に買い取ってもらえる借地権です。契約期間は30年以上になります。

そして、「事業用定期借地権」は事業用建物の所有を目的とする借地権で、契約期間は10年以上50年未満です。この借地権は公正証書によって契約しなければいけないので注意が必要です。また、契約期間が10年~30年の場合は、契約の更新・延長や建物買い取り請求権がないということを特約によって定めなければいけませんが、契約期間が30年~50年の場合は任意となっています。

借地権付き建物のメリット

借地権付き建物のメリット

さて、ここまで借地権の種類や特長について解説してきました。それでは、借地権付き建物のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?まずはメリットについて詳しく見ていきましょう。

安い価格で購入できる

通常、建物を購入する際はそれが建てられる土地も一緒に購入しなければいけません。しかし、借地権付き建物の場合は、土地は借りるだけで購入する必要がないため、購入時の初期コストを抑えられるというメリットがあります。

土地にかかる固定資産税・都市計画税の支払いが不要

また、土地は借りるだけで所有せずに済むので、土地にかかる固定資産税や都市計画税も支払う必要はありません。これらは、土地の所有者である地主の負担となります。

更新することで長期的に土地を利用できる

さらに、借地権契約の更新をおこなうことで長期的に土地を利用することも可能です。ただし、前述の通り定期借地権の場合は契約の更新ができないので注意しましょう。

借地権付き建物のデメリット

借地権付き建物のデメリット

続いて、借地権付き建物のデメリットについて解説していきます。

借地料(地代)を支払い続ける必要がある

借地権付き建物を所有する場合は、継続的に借地料(借地の地代)を支払い続ける必要があります。そのため、長期的な利用の場合は結果的に高くつく可能性もあるので注意が必要です。

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担保価値が低いので購入時に住宅ローンが使用できない

また、借地権付き建物を購入する際には、住宅ローンが使用できないというデメリットもあります。これは、借地権付き建物の担保価値が低いことに起因しています。

売却したい場合は地主の許可が必要になる

さらに、借地権付き建物を売却したい場合には、地主の許可が必要になるという点もデメリットとして挙げられるでしょう。借地権付き建物の購入を検討する際には、自由に売買できないというわずらわしさも考慮していく必要があります。

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まとめ

まとめ

ここまで、借地権や借地権付き建物について解説してきました。借地権付き建物を所有し続ける際には、借地の契約期間があったり、借地にかかる地代を支払わなければいけなかったりと、煩雑な点が多いです。また、長期での所有となると結果としてトータルのコストは高くついてしまいます。

そこで、契約の更新時期などをきっかけに借地権付き建物の売却を検討するのも一つの手です。空き家パスでは借地権付き建物の買取にも力を入れております。売却を検討される際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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