再建築不可の抜け道とは?建て替えるための裏技6選!どうしようもない時の対処法も解説
「老朽化した再建築不可物件を建て替えたいけど、良い方法はないの?」
「相続した実家が再建築不可物件で、建て替えられないし、使い道もなくて困っている」
これらの課題は多くの再建築不可物件所有者を悩ませています。
実は再建築不可物件であっても”抜け道”を利用すれば、このような課題を解決できる可能性があります。
代表的な例は、隣地を購入する/借りることで接道要件を満たす、自治体ごとに定められた再建築不可物件の救済措置を抜け道として利用する、などです。
本記事では、再建築不可物件を建て替えるための抜け道を中心にお伝えしつつ、再建築できないケースの対処法についても解説していきます。
- 再建築不可物件とは何か
- 再建築不可物件を建て替えるための抜け道とは
- 再建築不可物件を建て替えられないケースの対処法とは
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目次
再建築不可物件とは?
建物を建築する場合、都市計画法や建築基準法に基づいて建物を建てなければなりません。
都市計画法や土地の立地条件によって、現に建っている建物を一度取り壊して更地の状態にすると、再度、建物を建てることができなくなる土地のことを再建築不可物件といいます。
以下では、接道要件による再建築不可物件と、都市計画法で定められる区域区分による再建築不可物件について解説します。
接道要件の問題
「接道要件」とは「建築基準法上の幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という、建築基準法の第43条で定められた規則です。
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
引用: e-Gov|建築基準法
例えば、敷地が接している道路が建築基準法上の道路だけど、幅員が4m未満の場合や、見た目が道路状になっている幅員4m以上の道に敷地が2m以上接していても、その道が法定外道路(認定外道路)の場合は、接道義務を果たしてるとはいえません。
「建築基準法上の幅員4m以上の道路」に「2m以上接道している」という2つの要件を満たさなければ再建築をすることはできません。
市街化調整区域
都市計画法によって、無秩序な市街化の拡大を防ぐために、一定のルールに基づいて建物の建築などの制限を設けており、具体的には、都市計画区域を2つに区分しています。
すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を「市街化区域」、市街化を抑制すべき区域を「市街化調整区域」としています。
市街化区域と市街化調整区域に分けることを「区域区分(線引き)」といいます。市街化調整区域は、建物を「建てたくないエリア」として都市計画法で定められているため、原則として、建物の建築行為はできません。
再建築不可を可能にする抜け道
再建築不可物件を建築可能にする抜け道は、次のとおり大きく6つあります。
- 隣地を一部買い取らせてもらう
- 水路面に面している場合は占用許可を取る
- 隣地の一部を借りて接道させる
- 隣地の一部を位置指定道路にする
- 法43条但し書きの申請をする
- 線引き前から宅地かどうかを確認する
ひとつずつ解説していきます。
隣地を一部買い取らせてもらう
(図1)
隣地の土地を購入させてもらい接道要件を満たすことができれば、再建築可能になります(図1)。
接道の間口が2m以上になる範囲内で購入できれば問題ないため、隣地すべてを購入する必要はありません。
ただし、注意点があります。それが、隣地所有者にとってメリットがない点です。隣地の一部を購入させてもらうということは、隣地所有者にとっては自身の敷地面積が小さくなることを意味しデメリットという側面が強いため、慎重に交渉する必要があります。
水路面に面している場合は占用許可を取る
(図2)
敷地と道路の間に水路がある場合は、水路部分を所有・管理する自治体から「水路占用許可」を取得する必要があります。占用許可は、行政によって呼び方がさまざまですが「法定外公共物敷地占用許可」とも呼ばれます。
敷地と道路の間に水路が存在し、水路部分が建築基準法上の道路区域に含まれない場合は、その敷地は「接道していない(未接道)」=「再建築不可物件」になるのです。そのため、「水路占用許可」を得ることで、敷地と道路の間に橋を架けて、接道要件を満たさなければなりません。
また、水路の占用許可には、原則、占用使用料が必要になります。占用目的や占用面積により占用使用料が異なります。場合によっては、占用使用料の軽減や免除をされる場合もあります。基本的に、一戸建ての建物の接道要件を満たすための水路占用許可であれば、接道要件を満たす2mの幅が確保できれば問題ないでしょう(図2)。
そのほか、「水路占用許可」は、水路に橋を架けて敷地の出入りする「通行」のための使用だけでなく、排水管・給水管・ガス管などのライフラインを敷地に整備する「掘削」でも必要になります。
隣地の一部を借りて接道させる
(図3)
隣地の一部を借りて接道させるという方法もあります。
例えば、再建築の工事期間中に一時的に借りるだけであれば土地を購入するわけではないため、土地の所有者の理解も得やすくなります。
ただ、双方に誤解や不利益が生じないように手続きを進めるためにも、土地の貸借期間や金額などを明確に取り決めて賃貸借契約を結ぶ、不動産会社や専門家などに仲介してもらうなどの対策を講じましょう。
隣地の一部を位置指定道路にする
敷地の接する部分が建築基準法上の道路でない通路の場合、42条1項5号の位置指定道路として指定を受け、建築基準法上の道路にすることで接道要件を満たすことが可能です。
位置指定道路は、原則として4m以上の幅があり、両端が他の道路に接していて通り抜けができる道路であることが必要です。ただし、先が行き止まりの袋小路の場合、長さ35m以下であれば位置指定道路の指定を受けることは可能です。また、長さが35mを超える場合も、自動車の転回スペースを設けるなどの要件を満たせば位置指定道路の指定を受けることが可能になります。
通路部分を所有していなくても、通路部分の土地所有者の協力を得られれば建築基準法上の道路である「位置指定道路」にすることは可能です。
位置指定道路の申請を行う場合は、まず役所の建築指導課などの担当窓口に事前相談をしましょう。事前相談後は、関係権利者との間で意見の調整を行い、土地の測量や図面の作製、道路の位置指定の申請図面に関係権利者全員の承諾印をもらうなど、書類を揃える必要があります。書類の審査が通れば、道路工事に着工し、工事が完了したら自治体の担当職員の立会いのもと、現場検査を受けます。現場検査に合格すると、道路の位置指定及び公告が行われ、建築基準法の位置指定道路として認められます。
位置指定道路にするには、位置指定道路に影響する土地の所有者の承諾や、自治体の許可がなければ行うことができません。時間と費用もかかることを念頭に置きましょう。
法43条但し書きの申請をする
(図4)
引用: 国土交通省|建築基準法制度概要集-p.49
建築基準法43条「但し書き」は、接道義務を果たしていない土地に対して特例を定めたものです。敷地は道路に接していないが周囲に広い広場などがある場合や、敷地が接している現況の道が道路状になっていても建築基準法上の道路でない場合などが当てはまります(図4)。
接道要件を満たしておらず本来は再建築できない物件であっても、「法43条但し書き道路」として申請を行い、特定行政庁の許可されれば、再建築ができるようになります。
その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
引用: e-Gov|建築基準法第43条2項2号
線引き前から宅地かどうかを確認する
市街化調整区域の場合、都市計画法に基づき各自治体が市街化区域と市街化調整区域とに線引きをする前に、既に宅地だったことが証明されれば、再建築が可能になるケースが多いです。
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
- 再建築後も同じ用途であること
- 再建築後も同じ敷地にあり、同等規模の建物であること
また、既存宅地の場合も、市街化調整区域に指定されてから再建築を行う場合は、各自治体から建築の許可を得なければならないため注意しましょう。
再建築不可を可能にする抜け道”法43条但し書き道路”の申請方法とは
ここからは、”法43条但し書き道路”の申請をして、再建築を行う場合の方法について解説します。手順は大きく3つに分けられます。
- 自治体に問い合わせる
- 書類の提出
- 審査通過して許可をもらう
ひとつずつ見ていきましょう。
自治体に問い合わせる
特定行政庁が建築の許可をするかどうかは、窓口での相談や許可・認定の申請をしてみないと分かりません。各自治体の定める許可基準(包括(一括)同意基準)や認定基準を確認しておくことも可能ですが、自治体によって法43条但し書きの許可・認定基準が異なる場合があります。まずは、自治体に法43条但し書き道路の事前相談を行いましょう。
なお、事前相談の際には次の情報を準備しておくと円滑に相談を進められます。
①申請地から法42条に基づく道路に至るまでの最小幅員(m)
②43条許可対象通路の種別(公道・里道・私道など)
③計画建物の用途(戸建て住宅など)
④43条許可対象通路の建ち並び
・申請地の登記事項証明書(土地)の写し
・申請地周辺の公図・写真等
引用: 大阪狭山市|建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号許可のご相談の方へ
書類の提出
提出する書類は以下のとおりです。
-
【提出する書類】
- 43条許可申請書
- 現況図
- 近況見取図
- 土地利用計画書
- 登記事項証明書
- 敷地求積図または地籍測量図
- 平面図、立面図、断面図
- 建築計画書(プランニングシート)
など
なお、隣地所有者との通路確保の同意書など、近隣住民の方々からの理解を得る必要があります。
審査通過して許可をもらう
提出した書類に基づき、自治体に設置された建築審査会によって、申請した物件が再建築の許可基準を満たすか否かが審査されます。主に、物件周辺の基盤状況や通路確保、都市計画上に妥当性があるかなどの項目で審査されます。
建築審査会において再建築の同意を得られたら「但し書き許可」が与えられ、取り壊し後の再建築が可能になります。ただし、取り壊した後に建物を再建築する場合には、建築確認申請という申請が別途必要になる点に注意しましょう。
再建築不可の物件の抜け道を利用できない場合は?
接道要件や但し書き道路のような再建築不可物件の抜け道を利用できない場合、有効な対処法は、次の2つです。
- リフォームをして活用する
- 空き家の専門業者に売却を相談
ひとつずつ解説していきます。
リフォームをして活用する
まず、リフォームをして活用するという方法があります。
近年は古民家に対するニーズが高まっているため、リフォームやリノベーションで外装や内装をきれいにして賃貸物件として貸し出せば、入居者は比較的見つけやすいでしょう。また、シェアハウスや民泊としても十分なニーズが見込めます。
再建築不可物件は建て替えこそできませんが、次の一定条件を満たせばリフォームやリノベーションは可能です。
-
【一定条件】
- 2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
- 平屋建て、延べ面積200㎡以下の「非木造建築物」
- 壁や梁など主要構造部の過半(2分の1)の範囲を超えない程度の修繕・模様替え
ただし、フルリフォームが必要な場合は新築の戸建物件と同じくらいの費用負担が発生するため、築年数の古い物件やライフライン設備の引き込みが困難な物件では、特に注意が必要です。
また、2025年に建築基準法が改正され、再建築不可物件のリフォームやリノベーションができなくなる可能性があります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
2025年建築基準法改正で再建築不可物件のリフォームや売却はどうなる?4号特例縮小の背景や対策を解説
再建築不可の空き家は空き家パスへ相談
再建築不可物件をリフォームして活用することが難しい場合は、空き家の専門業者に売却相談することをおすすめします。
空き家パスは、他の不動産会社で断られた再建築不可物件の買取実績も多数あり、専門業者ならではの視点でアドバイスが可能です。再建築不可物件に関するお困りごとや空き家に関する活用方法などで気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
ここまで説明してきたように再建築不可物件であっても、いくつかの抜け道を利用することで、再建築が可能になることがあります。
自治体により異なりますが、本来は再建築不可物件であっても、一定の条件さえ満たせば再建築の許可を得られるケースもあります。まずは自治体の窓口へ相談しましょう。
また、費用や時間こそかかってしまいますがリフォームやリノベーションを行えば、再建築せずに古民家やシェアハウスなど賃貸物件として活用することもできます。
再建築不可物件の建て替えについてお困りごとや課題をお持ちの方は、再建築不可物件を専門に取り扱う空き家パスにご相談ください。所有物件にとって最適な方法がきっと見つかりますよ。