COLUMN
コラム

空き家改修補助金・リフォーム補助金とは?使える条件と売却前に確認すべきこと

実家が空き家になり、
リフォームすれば住めるかもしれない」
「家を修繕するのに補助金があるなら使いたい」
「でも工事費が高額になったとき、本当に元が取れるのか?」
そのまま売却した方が、手元にお金が残るのではないか?」
とあれこれ迷われる方は多いと思います。

空き家リフォーム補助金は、すべての物件に向いている制度ではありません。雨漏り・シロアリ被害・基礎の腐食・旧耐震・立地難が重なる物件では、補助金を使っても自己負担が膨らみ、現況のまま売却した方がよいケースもあります。

一方、新耐震基準を満たし部分改修で住める物件や、子育て世帯・移住者向けに補助金が多く支給される自治体では、補助金の活用が収益化や資産価値の維持につながります。

この記事では「補助金を使って改修した方がいい物件か否か」の判断基準から、補助金の申請手順・制度を利用する際の注意点・売却した方がいい場合について順に整理しています。ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • リフォームすべき物件か、売却すべき物件かの判断基準
  • 空き家改修補助金の種類と、対象となる工事
  • 申請で失敗しないための手順とタイミング
  • 補助金を使っても自己負担が重くなるケースの見極め方
  • 自治体の補助金の探し方と2026年度以降のトレンド
【全国対応】空き家買い取りさせてください!

「空き家パス」にお任せください!

ご相談は無料です!お気軽にお問い合わせください。

Step1

Step2

Step3

Step4

空き家補助金には、改修(リフォーム)のほか、解体や取得を対象とした制度もあります。まずは利用できる補助金の種類を整理したい方は、空き家補助金の全体像を解説した記事もご覧ください。

参考:空き家補助金とは?解体・改修・空き家対策で使える制度と申請前の注意点

目次

空き家補助金を探す前にすること

まず「リフォームしてよい家」か「売るべき家」かを判断する

補助金を調べ始める前にまず、この物件は改修してでも持ち続けるべき家かどうかを確認します。

多くの方が、お持ちの空き家に対して「補助金が使えるかどうか」を最初に調べようとします。ただ、実際には順番が逆で、補助金の有無より先に「改修費用をかける意味がある物件かどうか」を見極める必要があります。

補助金が出ても、リフォーム費用の自己負担分を将来的に賃料や売却価格で回収できない場合、手元のお金が減ってしまうだけだからです。

まず下のチェック項目で、自分の物件がどちらに近いかを確認してみてください。

改修・活用を検討しやすい物件

  • ✓ 昭和56年6月1日以降に建築された(新耐震基準を満たしている)
  • ✓ 雨漏り・シロアリ・基礎腐食など、構造上の重大な欠陥がない
  • ✓ 水回り・内装・断熱・バリアフリーなど、部分的な改修で住める状態にできる
  • ✓ 駅・学校・病院・商業施設など、日常生活に必要な施設へのアクセスがある
  • ✓ 補助金を使わなくても、賃貸に出した場合に最低限の利回りが見込める
  • ✓ 子育て世帯・新婚世帯・移住者・U・Iターン世帯など、自治体の加算対象に該当する入居者に貸し出せる
  • ✓ 空き家バンクへの登録や定住促進制度と組み合わせやすい立地・状態にある
現況のまま売却を検討すべき物件

  • ✓ 雨漏り・シロアリ被害・傾き・基礎腐食のいずれかがある
  • ✓ 旧耐震(昭和56年5月31日以前に工事に着工した建物)で、耐震補強に大きな費用がかかる見込みがある
  • ✓ フルリノベーションが必要で、高額な改修費用がかかる見込みがある
  • ✓ 周辺エリアに賃貸需要が薄い
  • ✓ 車が入らない・接道に問題がある・再建築不可など、流通上のハードルがある
  • ✓ 相続空き家の3,000万円特別控除(※)の適用期限内に売却できる可能性がある
  • ✓ 管理不全空家・特定空家に指定され、市区町村長からの勧告を受けたことで固定資産税の優遇(住宅用地特例)から除外されるリスク、または近隣トラブルのリスクがある

「現況のまま売却すべき物件」に当てはまる項目が多い状態で補助金を使ってリフォームしようとすると、自己負担額が補助金の上限を大きく超えるケースがあります。

空き家改修補助金の上限は、一般的に50万〜150万円程度です。一方、築古で雨漏りや基礎腐食を抱えた物件のフルリノベーションは1,000万円を超えることも珍しくありません。仮に補助金が150万円支給されたとしても、残りの金額を自己負担で工面し、その後の賃料や売却価格で回収しきれなければ、結果として資産は減ってしまいます。

「補助金がもらえる=リフォームすべき」ではありません。補助金を使って改修しても、元を取れない物件は存在します。

特に注意が必要なのが、旧耐震物件です。昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した旧耐震基準の建物は、耐震補強工事が最初のハードルになります。耐震診断の結果によっては、水回りや内装に手をつけるより前に、数百万円程度かかる構造補強工事が必要になることがあります。

一方、新耐震基準を満たしていて、部分改修で住める状態にできる物件は話が変わります。水回りや断熱を整えるだけで入居可能になるなら、工事費は数十万〜数百万円の範囲に収まることが多く、補助金の効果が直接コスト削減につながります。

さらに、子育て世帯や移住者向けの加算制度が使えるエリアでは、通常の補助額に数十万円が上乗せされるケースもあり、実質的な自己負担をさらに抑えられます。

参考:空家を活用した子育て世代転入・定住促進補助金 – 神奈川県横浜市

参考:堺市子育て世帯等空き家活用定住支援事業補助金 – 大阪府堺市

ここで挙げた項目だけで、改修するか、売るかを決める必要はありません。まずは、自分の空き家がどちらの状態に近いのかをつかむための目安としてください。

改修・活用向き」に近いなら、使えそうな補助金や申請手順を調べていきましょう。

現況のまま売却向き」に当てはまる項目が多いなら、先に売却価格の目安や手元に残る金額を確認しておくと、補助金を使うべきかどうかも判断しやすくなります。

空き家改修補助金とは?国の制度と自治体制度の違い

空き家改修補助金は「全国共通」ではなく自治体ごとに違う

「空き家改修補助金」と検索しても、自分の物件に使える制度がすぐに見つからないのは、この補助金に全国一律の制度が存在しないからです。

国が用意しているのは制度の枠組みだけで、実際に補助金を交付するのは各自治体です。同じ県内でも、市と町で補助額や対象工事、申請条件がまったく異なるのはこのためです。

国が用意している主な制度

国が用意した制度は、「補助金」というより、省エネや耐震・バリアフリーといった特定の工事に対する支援として設計されています。代表的なものは以下の通りです。

  • 省エネ・断熱改修
    :窓・断熱材・高効率設備の交換などが対象。住宅省エネ2026キャンペーン事業などが該当します
  • バリアフリー改修
    :手すり・段差解消・浴室トイレの改修など。
  • 住宅金融支援機構の融資制度
    :補助金ではなく低金利融資ですが、自己資金が不足する場合に補助金と組み合わせて使える選択肢です

これらは国の制度ですが、申請窓口や手続きは自治体や登録事業者を経由することが多く、「国に直接申し込む」という性質のものではありません。

参考:住宅省エネ2026キャンペーン【公式】 – 国土交通省、経済産業省及び環境省

自治体が独自に用意している制度

国の枠組みとは別に、各自治体が独自予算で運営している補助金もあります。金額・条件・対象者は自治体によって大きく異なりますが、主な種類は以下の通りです。

  • 空き家バンク登録物件の改修補助
    :空き家バンクに登録した物件の改修費を補助するもの。登録と改修をセットで進める必要あり
  • 移住・定住促進のための改修補助
    :U・Iターン者や市外からの転入者が対象になるケースが多く、加算制度が設けられている自治体も
  • 子育て世帯・新婚世帯向け加算
    :通常の補助額に数十万円が上乗せされる制度。入居者の属性ではなく、賃貸に出している所有者自身が該当するケースもあり
  • 耐震診断・耐震改修補助
    :旧耐震物件の診断費用や補強工事費の一部を補助するもの。耐震改修は費用が大きいため、補助を受けても自己負担が重くなるケースあり
  • 家財整理・処分補助
    :改修前・売却前の残置物撤去費用を補助するもの。東京都などで実施例あり
  • 登記費用などの周辺費用補助
    :所有権移転登記のための司法書士報酬や、登記費用を負担してくれる自治体あり

目的から逆引きして補助金制度を見つけよう

先に制度を検索してしまうと、あまりの種類の多さに面食らう可能性があります。補助金を調べ始める前に先に目的を決めておけば、探すべき制度が絞られます。

目的 探すべき制度の方向
住むために直したい 移住・定住促進補助、耐震・断熱改修補助
貸すために直したい 空き家バンク改修補助、セーフティネット住宅補助
売るために最低限整えたい 家財整理補助、仲介手数料補助
家財を片付けたい 家財整理・残置物処分補助
空き家バンクに登録したい 空き家バンク登録補助、移住促進補助

目的が貸すことなら、空き家バンク系の改修補助との相性や、家賃負担ありの移住促進補助の有無を確認してみてください。

目的が売ることなら、改修補助よりも家財整理補助や仲介手数料補助の方が直接コスト削減につながるケースがあります。「改修補助金」「リフォーム補助金」という言葉だけで探していると、こうした周辺制度を見落とすことがあります。

内容は年度ごとに変わるため、まとめサイトの情報が古いままになっていることもあります。最終的には、自分が所有する物件の自治体公式ページで確認することをお勧めします。

空き家リフォーム補助金の対象工事と補助金額の考え方

補助金の対象になりやすいのは耐震・断熱・バリアフリー・水回り・内装工事

補助金の対象工事を調べるときには、この工事にかけた費用を賃料や売却価格で回収できるかどうか、あらかじめ計算して動きましょう。

補助金はあくまで工事費の一部を軽減するものです。補助率が高くても、工事総額が大きければ結局自己負担は重くなります。工事の種類ごとに、費用回収のしやすさと補助の受けやすさを合わせて確認しておきましょう。

① 耐震改修…旧耐震物件では最初のハードルに

昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した旧耐震物件では、他のどの工事より先に耐震診断が必要になるケースがほとんどです。

耐震診断の結果、大規模な構造補強が必要と判定された場合、補強工事だけで数百万円に達することがあります。自治体の耐震改修補助を使っても、補助額の上限は一般に数十万〜150万円程度のため、自己負担額が大きくなります。

賃貸や売却で改修費を回収するには相応の時間と手間がかかるため、旧耐震で構造上の問題が深刻な物件は、改修よりも現況のまま売却した方が手元に残るお金が多くなるケースがあります。

耐震基準を満たしている物件なら、この工程を省けるぶん、次に挙げる断熱や水回りの改修に予算を投下できます。

② 断熱・省エネ改修…賃貸にも自己居住にも使いやすい補助金

窓の交換・断熱材の追加・玄関ドアの断熱化・高効率給湯器への切り替えなどが対象になりやすい工事です。

断熱改修は居住者の快適性に直結するため、賃貸物件として募集するときの訴求ポイントになります。築年数が長くても、断熱効果のおかげで快適に暮らせることや光熱費を抑えられることは入居希望者にとって魅力となり得ます。空室対策としても期待ができます。

国の補助制度(子育てエコホーム支援事業など)との組み合わせが可能な場合もあり、その場合は自治体補助と合算して工事費の一部をまかなえる可能性があります。自己居住・賃貸どちらの目的でも使いやすく、費用対効果が見えやすい工事のひとつです。

③ バリアフリー改修…目的が明確な場合に有効

手すりの設置・段差の解消・浴室やトイレの改修などが対象になります。

親の住まいとして残したい、高齢者向けの賃貸として活用したいという明確な目的がある場合は、費用対効果が出やすい工事です。介護保険の住宅改修給付(上限20万円)と自治体の補助制度を組み合わせると、自己負担をさらに抑えられるケースがあります。

一方で、将来的に一般向けの賃貸や売却を考えている場合は、バリアフリー改修の内容によっては買主や借主のニーズと合わず、改修費用を十分に回収できないこともあります。将来どのように活用したいのかを踏まえて、必要な改修かどうかを検討しましょう。

④ 水回り改修…全交換より「どこまで直すか」の判断が先

キッチン・浴室・トイレ・洗面といった水回りの状態は、賃貸物件の印象を左右する重要な要素です。設備の老朽化が進んでいる場合は入居者募集に影響することもあるため、賃貸活用を考える際には優先的に検討したい改修といえるでしょう。

ただし、全ての設備を新品に交換すると工事費が一気に膨らんでしまいます。浴室だけで50万〜150万円、キッチンも同様の規模になることがあります。賃貸運用を検討している場合、その費用を家賃で回収するには数年単位の時間がかかります。

まずはルームクリーニングや部分的な補修で貸し出せる状態になるかを確認し、その上で設備の交換が必要かどうかを検討すると、余計な費用をかけずに済む場合があります。

⑤ 内装・外装改修…見た目を整える前に構造を確認しておく

クロスの張り替え・床材の交換・外壁塗装・屋根の補修などが該当します。比較的少ない費用で見た目を大きく変えられるため、売却時の印象を良くしたい場合にも効果が期待できます。

ただし、内装を仕上げる前に、雨漏りや外壁の劣化がないかを確認する必要があります。雨漏りがある状態で内装だけを新しくすると、入居後にクレームが発生するリスクがあります。屋根・外壁の状態が悪い場合は、内装より先にそちらを優先するのが順当です。

同様に、構造上の欠陥を内装で隠す形の改修は、売却時の告知義務や瑕疵担保の問題につながるため避けましょう。

⑥ 家財整理・残置物処分…リフォームしない場合でも使える補助がある

相続した空き家には、家財や残置物がそのまま残っているケースが多くあります。改修前の片付けはもちろん、売却前の整理でも数十万円規模の費用になることがあります。

家財整理に対する補助制度を設けている自治体もあり、例えば東京都では「空き家家財整理事業」として費用の一部を補助する仕組みがあります。リフォームをしない場合でも使える制度のため、「改修補助金」という言葉だけで検索していると見落としてしまいます。

売却や改修工事に向けて動き始める際には、家財の整理や処分が課題になることもあります。自治体に家財整理関連の補助がないかを、改修補助と合わせて確認しておく価値があります。

工事別・回収のしやすさ早見表

ここまでの情報を早見表にまとめました。ご参照ください。

工事の種類 補助対象になりやすさ 費用の目安 回収のしやすさ
耐震改修 高い 数十万〜数百万円 物件・立地次第で大きく変わる
断熱・省エネ 高い 数十万〜150万円程度 賃貸・自己居住どちらにも効きやすい
バリアフリー 中程度 数万〜100万円程度 目的が明確な場合に有効
水回り 中程度 50万〜300万円程度 全交換は回収に時間がかかる
内装・外装 自治体による 数十万〜200万円程度 印象改善には効くが構造確認が先
家財整理 自治体による 数万〜数十万円 改修しない場合でも使える可能性あり

空き家改修補助金で失敗しない!申請手順とタイミング

原則は「着工前申請」|契約・工事開始後の申請では対象外になることも

補助金の申請で最も多い失敗は、申請の前に工事を先に進めてしまうことです。

空き家改修補助金は原則として、着工より前に申請し、自治体から「交付決定通知」を受け取る必要があります。この順番を守らないと、工事が完了していても補助金を受け取れません。

申請の流れは「決定通知の前と後」で分けて考える

申請手続きは自治体ごとに細かな違いがありますが、まずは「交付決定前」と「交付決定後」を分けて考えることが大切です。

▶決定通知を受け取るまでの流れ

 自治体で制度・要件を確認 → 登録業者から見積取得 → 交付申請 → 交付決定通知を受け取る

▶決定通知を受け取ってからやること

 工事契約・着工 → 完了報告 → 現地確認 → 補助金請求・入金

工事を急ぎたい場合でも、交付決定前に契約や着工を行うと補助対象外となる場合があるため、事前に自治体へ確認しておきましょう。

申請資格がなくなってしまう、よくあるミス

補助金制度には、工事内容以外にもさまざまな利用条件があります。条件を満たしていないとそもそも申請ができなかったり、補助対象外になったりすることがあるため、事前に確認しておきたいポイントを紹介します。

申請できなくなる主なケース

  • ✓ 業者の指定:その自治体に事務所がある業者に限定されているケースがある
  • ✓ 税金の滞納:固定資産税や住民税に滞納があると申請を受け付けない自治体がある
  • ✓ 空き家バンク未登録:移住促進系の補助では、登録が申請の前提になることがある
  • ✓ 相続登記が未了:所有者証明の提出を求められるため申請が難しくなるケースがある。ただし、自治体によっては法定相続人による申請や委任を認めている場合もある
  • ✓ 事後の転売禁止:補助を受けた後、一定期間は売却・転用ができなくなる条件が付くことがある
  • ✓ 予算の上限切れ:年度途中で受付終了になる制度がある
  • ✓ 併用不可:国と自治体の制度を組み合わせると、片方の要件に抵触するケースがある

最初にすべきなのは自治体への確認

業者は補助金の申請要件を把握していないことがあります。「どの工事が対象か」「登録業者かどうか」「着工前申請の期限はいつか」は、自治体の窓口に直接確認するのが確実です。

申請書類には見積書や登記簿謄本、納税証明書など、複数の書類が必要になります。必要書類の詳細を、必ず各自治体の手引き等でご確認ください。

補助金を使ってリフォーム・活用すべき空き家の条件

新耐震・部分改修・賃貸需要がそろう物件は改修向き

改修に向いている物件かどうかは、補助金の有無より先に判断する必要があります。

工事が進むにつれて想定外の修繕箇所が見つかり、当初より費用が膨らむケースはままあります。補助金は活用計画を後押しするものですので、まず補助金がなくても成り立つ計画があって、そこに補助金を上乗せする、という順番の方が後悔が少ない進め方が可能になります。

では、改修に向いている物件の条件を具体的に見ていきます。

条件① 新耐震基準を満たしている

昭和56年6月1日以降に新築の工事に着工した物件は、現行の耐震基準(新耐震基準)に基づいて建てられています。この条件を満たしていると、耐震補強工事をおこなわなくてよいケースが多く、水回り・断熱・内装など入居に直結する工事に予算を集中できます。

条件② 構造上の致命的な劣化がない

雨漏り・シロアリ・基礎や躯体の腐食・建物の傾きがない物件は、内装の改修や設備交換だけで住める状態にできる可能性が高くなります。

構造上の問題がある場合、内装や水回りを整えても根本解決にはなりません。工事中に追加の補修が必要になり、当初の見積もりから費用が膨らむことも珍しくありません。改修を検討する前に、専門家による建物調査(インスペクション)を受けておくと、工事範囲と費用の見通しが立てやすくなります。

条件③ 賃貸需要が見込めるエリアにある

駅から遠くても、学校・病院・工場・大学・役場といった生活に関わる施設が周辺にある物件は、一定の賃貸需要が見込めます。また、戸建て賃貸の競合が少ないエリアでは、築年数が古くても入居者が見つかるケースがあります。

条件④ 改修後にどのように利用するかが決まっている

改修後にどう使うかが決まっている物件は、工事範囲と費用の判断がしやすくなります。

出口戦略別・工事の優先ポイント

  • ✓ 自分で住む → 断熱・バリアフリー・水回りの優先度が高い
  • ✓ 子ども世帯が使う → 生活動線や間取りの使いやすさを重視
  • ✓ 賃貸に出す → 入居者ターゲットに合わせた最低限のリフォーム
  • ✓ 将来売却する → 過剰な改修を避け、売却価格で回収できる範囲に工事費を抑える
  • ✓ 民泊・二拠点居住・地域拠点として使う → 用途に応じた法的確認が先に必要

活用方法が決まっていないまま改修を始めると、「誰にでも使えるように」と工事範囲が広がりやすく、費用が膨らみやすい傾向があります。活用の目的を先に固めてから、必要な分だけの工事を施すのが費用を抑えるポイントと言えるでしょう。

条件⑤ 自治体の政策目的と合う

移住促進・子育て世帯支援・新婚世帯支援・空き家バンク活用・定住促進といった自治体の施策と方向性が合う物件は、通常の補助額に加算分が上乗せされるケースがあります。

たとえば、子育て世帯や移住者が入居する予定の物件に対して、数十万円単位の加算補助を設けている自治体があります。所有者自身がU・Iターン者として移住する場合に加算対象になるケースもあります。

補助金を最大限に活用するには、自分の活用計画が自治体のどの施策に該当するかを確認した上で、申請できる制度を組み合わせることが有効です。

条件がそろうほど、改修にメリットあり

新耐震基準を満たし、大きな欠陥がなく、活用方法や賃貸需要の見通しが立っている物件ほど、補助金を活用した改修を検討しやすいといえます。さらに自治体の政策目的とも合致していれば、加算補助によって自己負担をさらに抑えられる可能性もあります。

逆に、これらの条件のうち複数が欠けている物件では、補助金を使っても工事にかかった費用の回収が難しくなるケースがあります。

ただ、「欠陥があるかどうか」「賃貸需要があるかどうか」は、自己判断できない場合もあります。建物の構造上の問題は、建物調査(インスペクション)を受けることで初めて把握できることがあります。費用は数万円程度が目安で、この調査費用への補助を設けている自治体もあります。賃料相場は、athomeのような不動産ポータルサイトや、地元の不動産会社でも調べることができます。

改修に踏み切る前に工事費と想定賃料をきちんと見積もり、どのくらいの期間で費用が回収できそうか確認しておきましょう。

補助金を使わず、現状売却を検討すべき空き家の条件

① 雨漏りやシロアリ、基礎の腐食がある

表面の内装や水回りを整えても構造上の問題は解決しません。工事中に下地の腐食やシロアリ被害が見つかり、当初の見積もりから費用が大幅に増えるケースがあります。

賃貸に出した後も、雨漏りの再発や設備不良によるクレームリスクが残ります。入居者対応や修繕費が重なると、賃料収入が実質的にほぼ残らない状態になることもあります。

② 旧耐震で耐震補強が高額になる

昭和56年5月31日以前に新築の工事に着工した物件は、耐震診断の結果によって大規模な構造補強が必要になります。補強工事だけで数百万円に達することがあり、その後に水回りや内装の工事費が加わると、総額が一気に膨らみます。

耐震改修補助を使っても、補助額の上限は一般に数十万〜150万円程度です。補強費の大半は自己負担になるため、その後の賃料や売却価格で回収できるかを先に試算する必要があります。

③ フルリノベーションが必要な状態にある

水回り、屋根や外壁、基礎構造部分のすべてに手を入れる必要がある物件は、工事費の総額が補助金の上限を確実に超えます。補助金は「工事費の一部を軽減する制度」であり、フルリノベーションの全額を賄えるものではないため、自己資金の持ち出しが多くなるフルリノベーションは避けた方が無難です。

④ 相続空き家の3,000万円特別控除の期限が近い

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

適用期限は、相続開始の日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である2027年12月31日までの譲渡が対象となります。適用期間の終わりが近くなってきたため、制度の利用を検討している場合には注意が必要です。

さらに、令和5年度税制改正(令和6年1月1日以降の譲渡が対象)により、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、当該建物の耐震改修工事または取壊し(解体)を完了した場合であっても特例の適用対象に加わりました。

ただし、相続の時から譲渡の時まで一貫して、事業の用、貸付けの用、又は居住の用に供されていないことが必要となるため、一時的にでも賃貸(=貸付けの用)に出してしまうと本特例が適用できなくなる点にも注意が必要です。

相続空き家の3,000万円特別控除は、適用要件や必要書類が細かく、期限を逃すと取り返しがつきません。手続きの流れや注意点は、こちらの記事で詳しく解説しています。

参考:空き家特例は適応される?相続空き家3,000万円特別控除を分かりやすく解説!

参考:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)- 国土交通省

⑤ 管理不全空家・特定空家に近い状態にある

「更地にすると固定資産税が上がるため、建物は残しておきたい」と考える方もいますが、管理状態によってはその前提が当てはまらなくなる場合があります。

自治体から「管理不全空家」や「特定空家等」と判断され、改善のための勧告を受けると、住宅用地の固定資産税特例(課税標準額を最大6分の1に軽減する制度)が適用されなくなる恐れがあります。

この場合、建物が残っていても、更地と同じ水準の固定資産税が課されてしまいます。

また、家屋や屋根の崩壊、外壁の飛散、害虫の発生や近隣へのクレームが重なると、損害賠償リスクにも発展することがあります。管理に限界を感じている場合は、保有し続けることのリスクを具体的に試算した上で判断することが必要です。

固定資産税の特例が外れると税額がどの程度変わるのか、具体的な金額で把握しておくと判断の材料になります。計算の仕組みや対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。

参考:空き家放置で増税される?固定資産税が6倍になる理由と対策を解説

改修して賃貸するか、現況のまま売却するか?早見表

比較項目 改修して賃貸 現況で売却
初期費用 高い 低い
補助金活用 可能性あり 家財整理・仲介手数料補助など
費用の回収期間 長い 短い
管理負担 残る なくなる
主なリスク 空室・修繕・入居者対応 売却価格が低くなる可能性
向いている人 長期で運用できる人 早く負担をなくしたい人

改修して活用する方法にも、現況のまま売却する方法にも、それぞれメリットと注意点があります。物件の状態とご自身の負担感を整理し、ご自身に合った選択肢を検討してみましょう。

自治体の空き家リフォーム補助金を探す方法

「自治体名+目的」で検索すると見つけやすい

自治体の補助金は、「空き家補助金」という一つの窓口にまとまっているわけではありません。移住促進・子育て支援・耐震改修・空き家バンクなど、担当部署が異なる複数の制度に分散しているケースがほとんどです。

「補助金 空き家」のような大まかな検索では見つかりにくいため、自分の目的に合わせたキーワードで探す方が効率的です。

制度を見つけたら、申請前に確認すべきポイント

金額と補助率だけ確認して動き出すと、要件を満たしていないことが後から判明するケースがあります。最低限、以下の4点は必ず確認してください。

申請前に必ず確認すべき4点

  • ✓ 申請のタイミング:着工前申請が必要か、交付決定前の契約が対象外になるか
  • ✓ 業者・登録の条件:施工業者の指定があるか、空き家バンク登録が前提になっているか
  • ✓ 事後の制約:補助を受けた後、居住・賃貸・転売に制限期間が設けられているか
  • ✓ 受付期間:予算上限に達した時点で終了する制度か、年度末まで受け付けるか

加算条件(子育て世帯・移住者支援など)や他制度との併用可否も、活用の幅に関わるため合わせて確認しておきましょう。

最終確認は自治体の公式ページで

補助金情報をまとめたサイトは便利ですが、制度は年度ごとに内容が変わるため、情報が古いままになっていることがあります。金額・要件・申請期間は、必ず物件所在地の自治体公式ページで確認してください。

不明な点は、自治体の担当窓口に電話で聞くこともできます。自分の空き家で使える制度があるか、自力で調べる手間を大きく省けることがあります。

2026年度以降の空き家補助金トレンド|子育て世帯・既存住宅活用・空き家抑制に注目

今後の補助金制度で注目したいポイント

国の補助金政策は毎年変わりますが、ここ数年の方向性は一貫しています。「空き家を壊すより、使える状態にして流通させる」という流れです。

2026年度以降も、以下の分野への支援が続く見込みです。

2026年度以降も支援が続く見込みの分野

  • ・空き家を子育て世帯向け住宅として活用する取り組み
  • ・既存住宅の省エネ・断熱改修
  • ・高齢者・低所得者・子育て世帯など、住まいの確保が難しい人たちへの支援
  • ・管理不全空家・特定空家化を防ぐための早期介入
  • ・空き家バンクや地域移住施策との連動による流通促進

特に「高齢者が所有する空き家を子育て世帯向けに改修・活用する」という方向性は、国交省が力を入れている分野のひとつです。

毎年11月前後に翌年度の詳細が発表されるため、秋以降は国交省の公式サイトを定期的に確認しておくと、新制度の情報を早めにキャッチできます。

制度の発表を待ちながら、準備は先に進める

新しい補助金が発表されても、申請できる状態が整っていなければ当然ですが使えません。補助金には年度ごとの予算があり、上限額に達すると年度内でも受付終了となる場合があるのは先に述べた通りです。

スムーズに申請ができるよう、準備段階で把握しておきたいことは以下の通りです。

今から準備しておきたいこと

  • ✓ 相続登記を済ませる:未登記のままでは申請書類が揃いません。
  • ✓ 建築年・耐震基準を確認する:昭和56年6月1日以降かどうかが、改修コスト全体を左右します。登記簿や課税明細書を確認しましょう。
  • ✓ 雨漏り・シロアリ・基礎の状態を確認する:構造上の問題があると、補助金では賄いきれない費用が発生しやすいです。
  • ✓ 固定資産税の納税通知書や課税明細書を確認する:課税標準額や特例の適用状況を把握しておきましょう。
  • ✓ 家財の量を把握する:家の中に家財が残っている場合は、整理費用の概算を出しておくと、売却・改修どちらのルートでも動きやすくなります。
  • ✓ 売却した場合の概算価格を調べる:改修費と比較するための基準になります。
  • ✓ 改修後の賃料相場を調べる:工事費を何年で回収できるかの目安になります。

制度の中身は毎年変わっても、物件の状態や権利関係・収支の見通しを把握しておいた方がいいことには変わりません。

補助金を使う使わないにかかわらず、空き家の状態をしっかり知っておくことは、今後の管理や売却で必ず役立ちます。

まとめ

補助金を使う前に考えておきたいのは、その物件が改修に向いているかどうかです。

部分改修で住める状態にできる物件には、空き家改修補助金は有効に機能します。新耐震基準を満たし、構造上の問題がなく、水回りや断熱を整えれば入居できる物件なら、補助金によって自己負担を抑えながら収益化や定住につなげられます。

一方、大規模な修繕が必要な箇所があり、フルリノベーションが必要な物件では、補助金を使っても自己負担が重くなるケースがあります。補助上限の数倍の工事費が発生する場合、賃料や売却価格での回収が難しくなります。

改修が合理的でない場合も、現状のまま売却したり、家財整理補助を利用した後に買取相談をするなど、改修以外のルートで空き家を手放すこともできます。

「補助金が使えないから終わり」ではなく、様々な手段を比較・検討すれば、手元に残るお金を増やすことにもつながります。

迷ったときは、もらえる補助金の総額ではなく、「工事にかかった費用を回収できる物件か」という観点で判断しましょう。

もし「改修して活用するべきか、それとも売却するべきか」で迷われている場合は、一度物件の状況を確認してみませんか。空き家パスでは空き家の売却相談を承っています。現況のままの売却も含め、お客様の状況に合わせた選択肢をご提案いたします。査定、ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

【全国対応】空き家買い取りさせてください!

「空き家パス」にお任せください!

ご相談は無料です!お気軽にお問い合わせください。

Step1

Step2

Step3

Step4

author avatar
高祖 広季 代表取締役
「社会の見方を変える会社でありたい。」 私たちは、「社会の見方を変える会社」でありたいと考えています。 空き家を“問題”ではなく“資源”として、人材を“商品”ではなく“可能性”として。 一人ひとりが新しい視点を持てば、社会の停滞は動き出し、課題はチャンスに変わります。 ウィントランスの事業は、そうした“見方の転換”を形にすることです。 不動産、人材、地域、DX――分野は違っても、目的はひとつ。 「社会の仕組みを、より良い方向に作り変える」こと。 変化を恐れず、スピードをもって挑戦し続ける。 私たちは、そんな小さな変化の積み重ねから、社会の大きなうねりを生み出していきます。 そして、その挑戦の連鎖を次の世代へとつなげていくことこそ、私たちの使命です。 事業を通じて、人が成長し、地域が活性化し、社会が少しずつ前に進む。 そんな“循環する社会”をつくるために、ウィントランスはこれからも新しい価値の創造に挑み続けます。

この記事の監修者 高祖広季

株式会社ウィントランス 代表取締役 高祖広季

空き家パスを運営している株式会社ウィントランスの代表です。日本の空き家問題を解決するため空き家専門の不動産事業を展開中。「空き家パス」と「空家ベース」というサービスを運営しています。これまで500件以上の不動産の売買取引に携わってきました。空き家でお困りの方の力になりたいと思っています。

       

【即現金化!】完全無料の査定を相談する

お電話でのお問い合わせ フォームでのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

【即現金化!】完全無料の査定を相談する