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空き家の火災は誰の責任?放火や漏電が原因の場合は?事例や対策について解説

近年、空き家の放置が問題となっています。

空き家を放置しておくと地震・台風などによる空き家の倒壊、近隣住民とのトラブル、不法侵入など治安悪化の懸念がある他にも、火災が起こりやすくなるリスクがあります。
そこで、ここでは空き家の火災発生について、発生原因の例から責任の所在などまで解説したいと思います。

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空き家の放置は放火などの火災リスクが高い

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空き家の放置は意外に危険です。

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令和3年中の放火による出火件数は2,333件(全火災の6.6%、対前年比6.6%減)でした。これに放火の疑いを加えると3,888件(全火災の11.0%、対前年比4.0%減)となっています。
引用:令和4年版 消防白書|総務省消防庁

減少傾向とはいえ、決して馬鹿に出来る数値ではありません。
また、空き家は人の目がなく、管理されていないと燃えやすい枯草、ゴミなどが散乱していることが多いため、不審者による放火の可能性が高くなります。

つまり、空き家であったとしても、火災は他人事では無く、自分の負うリスクと考えなければならないのです。

実例から見る「不良少年の火の不始末」

不良少年のイメージ
ちなみに放火で無かったとしても、出火の原因はあり得ます。実例を紹介しましょう。

これは、弁護士に寄せられた相談。空き家の火災の損害賠償の問題の件です。

 

【相談の概要】

ある人が実家を離れて生活しているおり、実家は木造で空き家の状態でした。
ある日、その人に実家のある地域の消防団から連絡がありました。
連絡の内容は、実家が火事となり、近隣に延焼したと言うもの。調査したところ、現場からタバコの燃えカスとライターが見つかり、火の不始末と考えられる…とのことでした。
実際に出火したこの家は空き家になってから、雨戸の一部が外され、地元の不良少年が出入りしていたとの証言もありました。

その結果、この人は「空き家の管理が不十分」と近隣から責められることとなった…という相談です。

弁護士の回答としては、「建物の管理において過失が一切無いとは言い切れ無いが、不良少年の侵入やタバコの火の不始末までの予見は不可能」として、重過失と判断される可能性は低く、責任を負う可能性も低いとのことでした。

どの様な立場に追い込まれるでしょうか。決して良い立場では無いはず。空き家の近隣住民に対して会わせる顔が無くなるはずです。

【参考URL】

空き家をめぐる法律問題 【事例2】「空き家で火災が起きた場合の法的責任」

延焼もあり得る

空き家の延焼のイメージ 空き家の延焼のイメージ

さて、空き家の火災はその家屋だけで終わるとは限りません。近隣の家に燃え移ることもあり得るのです。

しかも空き家は誰も通報する人がいないだけ、火の手が大きくなるリスクも高いのです。

確かに今の壁材などは燃えない素材で構成されてはいますが、それも条件によっては火炎に耐えられないことも考えられ、やはり危険と言わざるを得ません。

そして、その火が誰かを巻き込んでしまったら…などと考えると、実に忌まわしいストーリーしか考えられなくなってしまいます。それだけ放置した空き家は危険なのです。

 

福岡県北九州市小倉北区で空き家に放火?

2022年3月、北九州市小倉北区で空き家2軒が全焼する事件が発生しました。
対象の空き家は約210㎡が全焼しました。
近隣の住人からは「普段空き家になっているのになんで火が出たのか」という声も上がっているようです。
この事件で、警察は放火の可能性も視野に調べています。

ニュースによると約3時間後鎮火しているようですが、空き家2軒は全焼し、周辺住宅3軒に延焼しているようです。

出典:福岡・佐賀 KBC NEWS

火災保険の類焼損害補償特約はどこまで使えるか

それでは、空き家の火災に対して、火災保険はどれくらいの効力を発揮出来るのでしょうか。

火災には類焼損害補償特約という契約があります。この観点から考えてみましょう。

類焼損害補償特約について

類焼損害補償特約について

火災保険は基本的には自宅までが適用範囲。隣に燃え移ったとしても、近隣の家の被害は補償の対象にはなりません。

しかも、その火災が過失による物であれば法的に守られ、損害賠償の責任からも守られるのです。

とは言え、いくら責任が無いからと言って、被害を与えてしまったのは事実。モラルの観点からすれば責任を問われ得る物です。

そんな場合に役立つのが類焼損害補償特約です。

この特約は延焼をしてしまった場合に近隣の住宅まで補償対象とする契約、損害賠償請求の義務は負わなくとも、火災保険で損害に対応が出来るのです。

空き家は保険適用が出来るのか

空き家は保険適用できるのか

それでは、空き家にはこの特約は適用されるのでしょうか。

残念ながら、この特約はほとんどの保険会社では空き家には適用にはなりません。類焼損害補償特約はあくまでも居住している建物に限定されます。

ですから、前述の様な不良少年たちが火を出してしまい、隣に延焼したとしても補償対象にはならないのです。

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失火法と空き家管理

ここで火災に関する法律の「失火法」に触れ、空き家管理について考えてみます。

失火法の概要

放火と失火の違い

火災は大きく分けて「故意に起こす物」と「過失で起こす物」の2つに分けることが出来ます。前者が放火などで、後者が失火です。

失火法は失火を取り扱う法律。火災が失火であれば、近隣への損害賠償を免除させるという法律です。

ですから、仮に自宅が火を過失で出してしまった場合などは、この失火法によって守られ、近隣への賠償から救済されるのです。

ただし、失火法はどんな過失でも認める訳ではありません。故意とも思える様な重大な過失の場合には適用から外れ、守られなくなるのです。

放火などの場合

では、どの様な火災が失火法に適用されるのでしょうか。

まずは放火について考えてみましょう。

空き家の放火は第三者が出す火のため、空き家の持ち主は基本的には責任を負いません。しかし、空き家の状況によっては責任を問われる場合もあり得ます。

例えば、空き家の管理が悪く、容易に中に入れる場合。「簡単に第三者が火を出せる状況を作った」との判断となり、重大な過失とされ得ます。その場合には失火法の適用からはずれ、損害賠償責任を負うことになるのです。

当然ながら、損害賠償額は多くの場合が非常に高額。空き家の管理を怠った代償は高く付くのです。

 

 

漏電火災などの場合

漏電火災が発生するイメージ
では、漏電火災の場合はどうなるのでしょうか。

漏電火災は電線のショートなどによって起こる火災です。ですから、家電製品を使っていない空き家の場合は起こりにくいと考えられます。ただし、それはブレーカーが上がっていればの話であり、家電製品がコンセントに刺さっていなかったとしても、電線が生きていることもあり得るのです。

ところで、家屋の中を走っている電線は樹脂で覆われた物です。電線は絶縁されているので、安心して使うことが可能です。

しかし、電線の被覆はいつまでも使える訳では無く、年月が経つと、やはり劣化してしまいます。そして、場合によってはショートしてしまうこともあり、火を出してしまうことも考えられるのです。

では、空き家の漏電火災はどうなるのでしょうか。

空き家の漏電火災の場合、空き家の電線は所有者が管理する責任を負います。ですから、仮に空き家で漏電火災を起こした場合には管理の点で重大な過失とされ、失火法が適用されない場合もあり得るのです。

しかも、空き家は類焼損害補償特約の対象外となる会社がほとんどです。非常にマズい局面に追い込まれてしまうのです。

【参考URL】

空き家の火災により自宅が延焼…損害賠償請求は可能か?

 

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空き家の火災を防ぐための対策は?

空き家は火災のリスクが高く、一方で火災保険の補償を受けにくいことをご説明しました。では、そもそも火災を起こさないためにはどうしたらよいのでしょうか。

空き家を適切に管理する

放火の標的になりやすい空き家は、放置され管理が行き届いていない場合が多いです。例えば施錠されていない、扉や窓ガラスが割れていて容易に侵入できる、などが挙げられます。枯れ葉や燃えやすいゴミが散乱していることも放火のリスクとなります。
また、電線の劣化が無いか確認したり害獣の対策も行う必要があります。

そのため、定期的に空き家を訪れて掃除や補修をしたり、空き家管理サービスを利用して維持管理していくことが必要となるでしょう。

関連記事:空き家管理サービス8社を比較!料金やサービス内容や、代行サービスのメリットデメリットを解説

空き家を解体し土地だけにする

建物を解体して更地にしてしまえば、そもそも火災の心配はなくなります。
ただし、解体には数百万の費用がかかることもあるため、計画的に行う必要があります。

関連記事:30坪の家の解体費用相場は?更地にするデメリットや費用を抑える方法を解説

空き家を売却する

利用・活用する予定のない空き家であれば、売却して手放してしまうのも一つの選択肢です。
売却することで火災のリスクだけでなく、維持管理にかかる手間やコストも削減することが可能です。
老朽化している、田舎にある、再建築不可物件である、などの訳あり物件であっても、空き家の買取業者であればスムーズに売却できる可能性が高いです。
空き家パスは、全国で空き家の買取を行っている不動産買取会社です。管理に困っている物件がある方は、無料相談や無料査定だけでも対応していますので、お気軽にご連絡ください。

営業時間 10:00 ~ 19:00(土日祝を除く)

まとめ

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空き家の火災について取り上げました。過失であれば確かに救いの道はありますが、それから外れると、非常に大きな損失を招くことが分かったと思います。

しかも、保険も空き家には冷たいことも分かったことと思います。

放置空き家は非常に危険です。大きなトラブルを招く前に、何らかの対処をしたいものです。

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