再建築不可物件の買取相場はどれくらい?高く売却する方法も解説
不動産価格は、建物の状態や物件の立地条件など複数の要因によって決まることが一般的です。
ところが、流通数の少ない再建築不可物件は相場自体が形成されにくく、「調べてもわからない」という方も少なくないでしょう。売却や購入を検討している方にとって、不動産価格の相場は非常に重要です。
そこで本記事では、再建築不可物件の相場について案内しつつ、査定のポイントや有効な売却方法について解説していきます。
- 再建築不可物件の売却の相場とは
- 再建築不可物件の査定のポイントとは
- 再建築不可物件を売却する際の有効な方法とは
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再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは、既存の建物を解体してしまうと、新たに建物を建てられない土地のことです。
再建築不可物件は、昔に建てられた築年数の古い物件に多く存在し、接道要件を満たさず建て替えができない敷地に建てられていることから、不動産価値も低く評価されやすい傾向にあります。
再建築不可物件に多い特徴
(図1)
再建築不可物件に多い特徴として以下の3点が挙げられます。
- 敷地が建築基準法上の道路と接していない(袋地)
- 敷地が建築基準法上の道路と接しているものの、接道の幅が2m未満である(旗竿地)
- 敷地が法定外道路に接している(建築基準法で認められた道路ではない)
これらは再建築に必要な接道要件を満たせていないため、再建築不可物件に該当します(図1)。
市街化調整区域
袋地や旗竿地のほかにも、市街化調整区域では再建築不可物件が多く存在します。
市街化調整区域は、都市計画法で定められた市街化を抑制すべき区域のことです。都市計画法では、無秩序な市街化の拡大を防ぐために、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を「市街化区域」、市街化を抑制すべき区域を「市街化調整区域」として定めています。
市街化調整区域は、「自然を残して建物を建てたくないエリア」として定められているため、原則として建築行為ができません。
接道義務とは?
(図2)
建物の再建築で重要なポイントが「接道義務を満たしているかどうか」です。
「接道義務」とは「建築基準法上の幅員4m以上の道路に、2m以上接していなければならない」という決まりです。
例えば、さきほどご紹介した旗竿地において、接道間口の幅が2m未満であれば、再建築はできません(図2)。なぜなら、「建築基準法上の幅員4m以上の道路」に「2m以上接道している」という2つの要件を同時に満たしていないからです。
なお、自宅に接する道路が建築基準法上の道路であるかどうかは、市区町村役所の担当窓口などを通じて確認できます。自治体のホームページで検索できることもあるため、気になる方は調べてみるとよいでしょう。
再建築不可物件の売却の相場は?
再建築不可物件を売却するときの相場はどの程度かについて解説していきます。
通常の土地より2~3割低くなる
再建築不可物件は、査定する不動産業者や建物の状態、土地の形状などによって大きく評価が変わるため、相場価格を出すことが困難です。
強いて言うならば、通常の土地より2〜3割程度低くなる傾向にあります。低くなる理由は、一般的な土地に比べて活用方法が少なく土地の価格自体が低いからです。例えば、近隣にある同程度の中古住宅の相場が2,000万円なら、再建築不可物件は1,400万~1,600万円程度の評価になります。
ただし、評価は物件ごとに大きく変わるため、相場の3割程度まで落ち込むことやまったく値段がつかない、というケースも当然存在します。
都心部は高く取引されるが地方はかなり低い傾向
再建築不可物件の中でも都心部では高く取引され、地方や郊外ではかなり低い価格で取引される傾向があります。
例えば、東京23区と過疎化が進む地方の村では、住宅需要に大きな差があります。さらに、東京23区のようにそもそもの坪単価が高ければ、取引価格が高くても不思議ではありません。
流通数が少ないので相場が形成されない
再建築不可物件は一般的な物件に比べて流通数が少ないので、相場が形成されにくいです。
また、一般の人の買い手が少ないことから、地域によっては、買主の言い値で売却することもあります。買主が業者の場合、再建築不可物件の価値を適正に評価してくれれば問題ありませんが、再建築不可であることを理由に不当に安く買い叩いてくる業者もいるため注意が必要です。
ただし、流通数が少なく相場が形成されにくいだけで、売れないわけではありません。売れるまでに時間がかかる点は覚悟しておきましょう。
建て替えができないので建物の状態が重要
再建築不可物件は、一度更地にすると建て替えができないため、リフォームやリノベーションを行い、建物を取り壊さなくても平気なように状態を保っておかなければなりません。
築年数が経過していて老朽化が進んでいる場合、物件の評価は低下します。そのため、既存の建物の状態が非常に重要です。
再建築不可物件は、建築確認申請を必要とする新築・増改築行為ができませんが、木造の場合、「建物の構造」を変えなければ改築をみなされず、建築確認申請も必要がありません。
「建物の構造」とは建物の柱と梁のことです。床、天井、壁をすべて取り壊すスケルトンリノベーションを行うことは可能なため、柱と梁の状態が重要になるということです。
建築確認申請をせずにリフォームやリノベーションが必要な場合は、次の要件を満たす必要があるため建物の状態と十分に照らし合わせましょう。
- 2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
- 平屋建て、延べ面積200㎡以下の「非木造建築物」
- 壁や梁など主要構造部の過半(2分の1)の範囲を超えない程度の修繕・模様替え
なお、再建築不可物件のリフォームについては以下の記事で詳しく解説しています。
再建築不可物件のリフォームや増築はできるのか?範囲や注意点を詳しく解説。
再建築不可物件の相場が安くなる理由とは?
再建築不可物件の相場が安くなる理由は主に3つあります。
- ローンが使えないため買い手が少ない
- 建て替えや増築ができずいつか解体が必要だから
- 築年数が古い物件が多い
ひとつずつ見ていきましょう。
ローンが使えないため買い手が少ない
物件や土地など不動産を購入するときは、住宅ローンを組むことが一般的ですが、再建築不可物件では住宅ローンが使えません。
住宅ローンは、融資元である金融機関が、担保となる不動産の価値に基づいて融資の可否を決定します。つまり、需要が高く誰もが購入したくなる不動産なら融資を受けられますが、その逆では融資を受けられません。
そして、再建築不可物件は一般的な不動産に比べて資産価値が低いため、担保としては不適格だと判断されてしまうのです。
そのため、再建築不可物件を購入するには現金一括払いが必要であり、買い手が少ない=需要が低いため相場が安くなります。
建て替えや増築ができずいつか解体が必要だから
再建築不可物件は、家族構成の増減に応じて二世帯住宅や三世帯住宅などに建て替えたり、増改築したりできないため、既存の物件の状態を保ちながら暮らすしかありません。
また、再建築不可物件は、築年数が経過している物件が多く、地震や台風などの自然災害で倒壊するリスクが非常に高いです。一方で、自然災害や有事の際に備えようと考えても、建て替えや増改築はできません。
さらに、住み続けたとしても建て替えや増改築できずにいずれは解体しなければならず、物件そのものの活用方法が限られるため、相場が安くなる傾向にあります。
築年数が古い物件が多い
再建築不可物件には築年数が古い物件(築40年以上経過)が多く存在します。
再建築不可物件が生まれる主な理由は、物件が建てられた時には基準を満たしていたが、建築基準法の制定や改正などを受けて基準を満たせなくなった、というものです。
建築基準法の改正後は、基準を満たしていない物件は新たに建築することもできません。したがって、既存の再建築不可物件は、ほとんどが新しい物件ではなく築年数の古い物件が大半を占めています。
そして、築年数が古いものの、建て替えや改築ができないため再建築不可物件の相場は安くなってしまうのです。
再建築不可物件の相場と査定ポイント
再建築不可物件の評価は、査定する不動産業者や建物の状態、土地の形状などによって大きく変わるとお伝えしてきましたが、査定のポイントを押さえておけば高く売却できる可能性も高まります。
ここからは、査定で重要な以下のポイント5つを詳しく解説していきます。
- 物件の立地条件
- 再建築不可を可能にできるか
- リフォームにいくら費用がかかるか
- 傾きや雨漏り、シロアリの害はないか
- 賃貸需要はありそうか
ひとつずつ見ていきましょう。
物件の立地条件
再建築不可物件か否かに関わらず、不動産は物件の立地条件で価格が左右されます。
物件周辺の環境の良し悪し、隣人や近隣住民とのトラブルの有無、最寄駅までの距離なども価格を左右する要因です。
また、利便性が高く人気の高いエリアにある物件であれば、投資用物件としての需要も見込めるため、査定額も大きくなっていきます。
再建築不可を再建築可能にできるか
(図3)
現状は再建築不可物件であっても、隣地を購入したり、セットバックや但し書き道路の申請が認められたりして、再建築が可能になる可能性があるなら、物件の価格が上がります(図3)。
リフォームにいくら費用がかかるか
購入希望者に魅力的な物件だと認識してもらうためには、リフォームが必要です。そして、リフォームにいくら費用がかかるかという見込みが価格に反映されることがあります。
リフォーム費用算出にあたっては、建物の傷み具合はもちろんのこと、間口の広さや土地の形状、足場の組みやすさなどが関係しています。
賃貸物件として貸し出す、古民家として自身で住む、投資用物件として運用するなどさまざまなパターンがありますが、いずれにせよ再建築不可物件の場合、築年数が古く建物の老朽化が進んでいるものばかりです。購入希望者はリフォーム費用を含めて価格を考えると想定されるため、リフォーム費用は査定額を左右する要因といえます。
傾きや雨漏り、シロアリの害はないか
先述のとおり、再建築不可物件は、築年数が古く老朽化している物件が多いため、建物の状態が非常に重要です。
建物の構造(躯体)が傾いていないか、雨漏りはないか、シロアリの被害はないかといった点は査定額を大きく左右するポイントです。
躯体や屋根などのリフォームは多額になるため、状態を十分に確認しておきましょう。
賃貸需要はありそうか
再建築不可物件の査定額を左右するポイントとして、賃貸需要の有無も忘れてはいけません。
賃貸需要があれば、事業利用の選択肢が多くなります。例えば、戸建て住宅はシェアハウスとして貸し出すこともできますし、そもそもの固定資産税が安い傾向にあるため賃料を低く設定しても収益を見込むことができます。
もちろん、建物の状態や老朽化の度合いによってはリフォームやリノベーションをする必要があります。ただ、魅力的な物件として集客力を高めるためにも検討してみてはいかがでしょうか。
再建築不可物件を売却するには?
再建築不可物件を売却するために重要なポイントは3つです。
- 再建築不可などの場合は業者買取が多い
- 更地にしないほうが売りやすい
- 業者買取の見積りが安かったらどうする?
ひとつずつ解説していきます。
再建築不可などの場合は業者買取が多い
再建築不可物件は、住宅ローンを組みにくく現金一括購入となることが多いです。また、通常物件に比べて活用方法が限られるため、一般の人は買わない傾向にあります。
一方、再建築不可物件や空き家などの特殊物件に特化して買取を行う不動産業者は多く存在します。
再建築不可物件だからといって売却を諦めず、特殊物件の活用方法や売却ノウハウを豊富に持つ複数の不動産業者に買取査定を依頼しましょう。業者によって買取価格は変わる可能性があるため、複数の買取専門業者に査定・見積もりを依頼することをおすすめします。
更地にしないほうが売りやすい
再建築不可物件は、売却が難しくなるため更地にしないことをおすすめします。
取り壊しをせず建物が残っていれば、リフォームやリノベーションをして古民家の賃貸物件として活用することができ、収入源になります。
一方、更地にすると建物を再建築できず、隣地の人に安く売る以外に活用方法がなくなるため注意しましょう。
業者買取の見積りが安かったらどうする?
「再建築不可物件を更地にせず、複数の不動産業者に見積もりを依頼したが、予想以上に安い」というケースもあるでしょう。
再建築不可物件は市場に出回ることが少ないため、適正な価格をつけられない買取業者も存在します。
そこで、再建築不可物件の取扱の実績とノウハウが豊富な当社が運営する「空家ベース」に掲載してみてはいかがでしょうか。
「空家ベース」は、再建築不可物件や空き家などの他社では断られてきた特殊物件などを売りたい人と買いたい人を繋げるポータルサイトです。
誰でも無料で、すぐに掲載可能です。過去には、1週間で買い手がついたこともあります。さらに、全国各地の再建築不可物件や空き家を取り扱っておりますので、地域によって売買できないという心配はいりません。
なお、都道府県ごとの空き家の相場や買取業者については、こちらの記事でも解説しています。
山梨で空き家の買取をしてもらうには?コツや相場、買取・不用品回収おすすめ業者を紹介
長野で空き家の買取をしてもらうには?コツや相場、買取・不用品回収おすすめ業者を紹介
愛媛で空き家の買取をしてもらうには?コツや相場、買取・不用品回収おすすめ業者を紹介
福岡で空き家の買取をしてもらうには?コツや相場、買取・不用品回収おすすめ業者を紹介
再建築不可の空き家の買取なら空き家パスへ
建物の状態や立地条件などによって価格が大きく変動する不動産価格ですが、その中でも再建築不可物件は流通性が低く、相場が形成されにくいという特徴を持っています。
また、再建築不可物件は、ローンが使えず買い手が少ない=需要が低いなどの理由から、通常物件に比べて2〜3割程度低く評価される傾向にあります。
ただ、買取実績やノウハウが豊富な不動産業者を通じて売却すれば、適正な売却価格を算出してくれ、「絶対に売れない」という事態は避けられます。
「複数の不動産会社に見積もりを依頼したが、想像以上に安い」と感じた方は、再建築不可物件や空き家を全国で200件以上取引している空き家パスまでお声がけください。
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この記事の監修者 高祖広季
株式会社ウィントランス 代表取締役 高祖広季
空き家パスを運営している株式会社ウィントランスの代表です。日本の空き家問題を解決するため空き家専門の不動産事業を展開中。「空き家パス」と「空家ベース」というサービスを運営しています。これまで500件以上の不動産の売買取引に携わってきました。空き家でお困りの方の力になりたいと思っています。