売れない土地を手放したい!4つの方法と手順、メリットデメリットを解説!

不動産である土地は資産となりますが、「地方の土地を相続してなかなか買手が見つからない」「所有していても上手く有効活用ができずに困っている」という悩みをお持ちの方は少なくありません。
そのまま所有していても問題ありませんが、所有者には固定資産税や維持管理費などが重くのしかかり、負担ばかりが大きくなっていきます。
本記事では、手放したい土地の特徴や手放す方法、土地を手放す場合の注意点やメリット・デメリットを解説していきます。
- 売れない土地を手放したい方は「売却する」「寄付する」「放棄する」いずれかの方法でを検討するのがおすすめである
- 売れない土地を手放したい方が土地を利活用する方法として「駐車場」「レンタルスペース」などが挙げられる
- 売れない土地を手放したいときは「売却前の確定測量」や「売却後の税金対策」なども念頭に置いておくと安心である
目次
手放したいと思う理由を理解する
多くの方が資産である土地を手放したいと思う主な理由は以下の3つです。
- 固定資産税の負担
- 不要な土地の管理とそのコスト
- 土地の利活用が難しい
それぞれ見ていきましょう。
固定資産税の負担
不動産は所有しているだけでも固定資産税を支払う必要があります。地域によっては、都市計画税も負担します。
例えば、空き家や古家付き土地も固定資産税の課税対象です。さらに、何もない土地(更地)は、居住用住宅が建つ土地に比べて最大6倍の固定資産税が発生します。これは、住宅用地の軽減特例の適用が解除されるためです。
固定資産税の基本的な計算方法は以下のとおりです。
固定資産税額=土地や建物の評価額 × 標準課税率(1.4%)
土地や建物の評価額は、固定資産税評価額のことです。所有する土地にどのくらいの税金が発生するのかが気になる方は、上記を参考に計算してみてください。
不要な土地の管理とそのコスト
売れない土地や有効活用ができていない土地でも、土地の状態を維持するための管理責任を追わなければなりません。放置された土地は、ゴミの不法投棄、樹木などの越境、景観の悪化、近隣住民とのトラブルなど、様ざま問題に発展する可能性があるからです。
遠方の土地を所有していたとしても、維持管理のために定期的に足を運ばなければならず、そのための交通費や時間もかかります。
土地の利活用が難しい
土地が田舎にあったり、土地の形状が特殊であるため使用用途が限られ、なかなか買い手が見つからない土地も活用方法が難しく売れない土地になりやすいです。
例えば、土地が道路に接している長さが2.0m未満であったり、接道している道路が建築基準法上の道路でない場合、建築基準法に定める接道義務を満たしていないため、建物の再建築を行うことができません。その場合、建物が残っている場合は、建物を残し続けて使い続けなければなりませんし、建物を取り壊した場合は建築確認が不要な土地の使い道しかないため、買手が見つかりにくいといえます。
手放す方法を選ぶ
売れない土地を手放す方法は主に3つあります。
- 土地を売却する
- 土地を寄付する
- 土地を放棄する
- 土地を寄付する
それぞれ見ていきましょう。
土地を売却する
最も好ましい手放す方法は売却することです。売却するためには、不動産仲介業者が間に入れば仲介手数料がかかりますし、その他、登記費用など様ざまな費用はかかりますが、売薬にかかる費用より売却価格の方が高く売れた場合は、売買代金を現金化することも可能です。
その他に、土地の上に建物が残っている場合は、自治体が主体となって運営している空き家バンクに登録して、空き家バンクを介して空き家を借りたい・買いたい人を見つける方法もあります。ただし、空き家バンクを運営する自治体は、空き家バンクで情報を提供するだけなので、実際の売買や貸借の手続きは当事者間で行わなければなりません。自治体によっては、売手・買手、貸主・借主が見つかった時点で提携する不動産仲介業者に手続きを委託している場合もあるため、その場合は、その不動産仲介業者に仲介手数料の支払いが生じる場合もあります。
土地を寄付する
土地は地方自治体へ寄付することができます。ただし、すべてのどのような土地であっても寄付できるわけではありません。まずは各地方自治体の担当の窓口へ事前相談が必要です。
その後土地の調査が行われ、寄付を受けてもよい土地かどうかを審査します。その後、地方自治体で寄付が認められれば、所有者が必要書類を自治体に提出し、手続きは完了となります。
土地の寄付は、個人を相手にすることもできます。しかし、個人に土地を寄付する場合、贈与の扱いになるため、土地を受け取った相手がその資産価値に応じた贈与税を支払わなければなりません。また、対象の土地を個人へ寄付するに際し、贈与契約書を作成する必要があります。その際は、所有権移転登記を進めると同時に作成する必要があります。
土地を放棄する
土地の放棄は、相続放棄が当てはまります。相続放棄をする場合は、相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し出を行います。相続放棄は財産ごとにはできませんので、金融資産も含めてすべての相続財産を放棄することになる点は念頭に置きましょう。
自分が相続放棄することで、ほかに相続人が居ない場合は、その土地を管理する「相続財産管理人」が決まるまでは、その土地の管理義務は残ります。つまり、管理不行き届きによって問題が発生した場合は、たとえ相続放棄していたとしても、その責任があることに注意する必要があります。相続財産管理人が決定したら、管理人による手続きによってその土地は国庫に帰属されます。
土地の有効利用:駐車場、太陽光発電、レンタルスペースなど
土地の有効活用が難しそうに思える土地であっても、需要を見極めれば、十分に利活用できる可能性があります。
主な土地の有効利用の一例は以下のとおりです。
- 駐車場
- 太陽光発電
- レンタルスペース
- 高齢者施設や老人ホーム
住宅街かオフィス街か、郊外か都心かなどの諸条件で需要は変わります。有効利用の方法がないか、不動産会社に問い合わせてみるとヒントが得られるかもしれません。
手放す過程での注意点と法律的な手続き
土地を手放す場合の注意点と法律的な手続き、その他、手放す方法別にメリット・デメリットを確認していきましょう。
土地売却の準備と手続き
まずは「土地を売却する」ケースです。土地売却における準備と手続きは、以下の10ステップになります。
ステップ1.土地の相場を調査する
ステップ2.不動産会社に査定を依頼する
ステップ3.媒介契約を締結する
ステップ4.土地の測量をして境界線を確定する
ステップ5.売却戦略を立てる
ステップ6.不動産会社が販促活動をする
ステップ7.土地購入希望者と条件交渉する
ステップ8.売買契約を締結する
ステップ9.決済と引き渡しを行う
ステップ10.確定申告を行う
大切なことは、信頼できる業者に依頼し、納得して売買を終えることです。そのためにも、複数の不動産会社に査定依頼することをおすすめします。複数業者に一括で査定依頼できる一括査定サイトの活用も検討しましょう。
土地寄付のメリットとデメリット
続いて「土地を寄付する」ケースのメリットとデメリットを紹介します。
メリット:税金の軽減、維持費用の節約など
土地を自治体に寄付する場合、贈与税を発生させずに済みます。贈与税は安い場合でも評価額の10%を支払う必要があり、金額の大きな出費です。また、固定資産税の支払い義務は、土地を所有する限り続くものなので、土地を寄付することで維持費用の節約にもなります。
デメリット:利用価値の消失、寄付後の管理問題など
土地を寄付すると、その土地の利用価値が失われます。例えば、土地が農地であった場合、寄付後の農地として使用できなくなる可能性があります。また、土地を寄付した後、その土地の管理がどうなるかは寄付先によって異なります。寄付した先が適切に管理を行ってくれない場合は土地が荒廃したり、環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
土地放棄のメリットとデメリット
最後に「土地を放棄する」ケースのメリットとデメリットを紹介します。
メリット:維持費用や税金の節約、管理の手間の軽減など
土地放棄をすると、これまで維持管理に充ててきた費用や、納付してきた固定資産税や都市計画税などの税金を節約できます。
ゴミの不法投棄や無断駐車などを心配する必要もなくなり、定期的な維持管理の手間が大きく軽減できます。
デメリット:所有権放棄の結果、相続人の選択など
不動産会社や買取業者の選び方
土地を売却する場合は仲介する不動産会社や買取業者選びが重要です。
ここからは、不動産仲介会社と買取業者の選び方と、選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
不動産会社の選択
不動産仲介会社を選ぶ場合は、民間企業が提供する不動産一括査定サイトに土地の情報を入力して査定を依頼する方法が手間をかけずに簡単にできます。
サイトに登録されている不動産会社から複数の不動産会社を選択し、机上査定を選んで申し込み、不動産会社からの返答を待ちます。返答が来れば、直接窓口に赴くか、訪問査定行ってもらい、その中から更に、どの不動産会社に売却の依頼をするか選びます。
買取業者の選択
買取業者を選ぶ場合も、不動産仲介会社と同様に、複数の買取業者に査定の依頼をし、比較検討をしましょう。得意な物件と買取実績は、不動産買取業者によって異なります。そのため、特殊な物件であれば、特殊な物件の買取が得意な業者を選ぶことが重要です。
その他に、対応の素早さや価格交渉に応じてくれるかも買取業者を選ぶ際には重要になります。急いで不動産を売却したい場合は、対応が早い買取業者を選ぶことも重要になりますし、納得のいく価格で不動産を売却したい場合は、価格交渉ができる業者を選ぶことが重要です。
複数の不動産会社へ査定依頼をするのが重要
不動産仲介会社に間に入ってもらう場合も、買取業者に直接買い取ってもらう場合も、必ず複数の不動産会社へ査定の依頼をしましょう。
土地の立地や広さ、形状などである程度の相場が決まりますが、不動産会社によっては、査定価格に差が出ることもあるので、複数の不動産会社の価格を比較することが大切です。また、不動産会社は大手から地元に昔からある地元密着型の地場の不動産会社も多くあります。また、買取のみを行っている不動産会社や特殊物件に強い会社など、不動産会社によっても強みがさまざまです。
複数の不動産会社へ査定依頼を行い、査定価格が一番高い理由だけで不動産会社を選ぶのではなく、後悔のない不動産売却ができるような不動産会社を見極めて選択しましょう。
土地を手放す前後の価値評価と税金対策
売れない土地になっている理由はさまざまです。しかし、中には適切な対処をすれば売れる土地に変わる可能性があります。損をしないためにも、手放す前に再度確認しておきましょう。
土地の活用可能性を再確認する
手放す土地は本当に価値のない土地なのかを、よく検討してから手放しましょう。
例えば、田舎で一見価値のなさそうな土地でも、太陽光発電などの土地活用で利益を得られる可能性は十分あります。また近年は、郊外にサービス付き高齢者住宅を建築するために広い土地を探している企業もあります。
売却前の準備:確定測量、境界確認など
土地を売却する場合、隣接地や道路との境界をはっきりさせていない場合、土地の敷地面積の誤差で買主との間でトラブルに発展するケースがあります。隣接地との境界が明確でない場合は、土地家屋調査士に測量を依頼し、測量後に隣接地の所有者立ち合いのもとで境界線を明確に決め、測量図と境界確認書を作成しておくことをお勧めします。
売却後の手続き:登記変更、税金対策など
売買契約が済み、決済・引き渡し当日には、売主から買主へ所有権移転登記を行う必要があります。土地の所有移転登記手続きは個人でもすることは可能ですが、専門の司法書士に委任して行うようにしましょう。
土地を売却して利益が出た場合には譲渡所得の確定申告が必要になります。譲渡所得は、土地の売却金額から取得費(土地を購入するためにかかったお金)と譲渡費用(土地を売るためにかかったお金)を引いて算出します。
譲渡所得の基本的な計算方法は以下のとおりです。
上記の計算式で譲渡所得を算出後、金額がプラスになった場合は確定申告が必要になります。また、土地の売却の際、老朽化した建物を取壊して敷地を売った場合には、3,000万円の特別控除制度を利用できる場合があります。土地売却の3,000万円特別控除とは、居住用財産の譲渡所得に対して3000万円を控除できる制度です。この制度は、2014年4月1日以降に居住用財産を売却した場合に適用されます。売却後に、どのような節税ができるのかあらかじめ調べておくようにしましょう。
まとめ
売れない土地を手放したい場合は、売却する、寄付する、相続放棄をする方法などがあります。利益が生じる可能性のある売却が一番お勧めですが、もし買い手が見つからない土地であれば、譲渡や寄付ができないか、確認してみましょう。それと同時に、土地の需要を見極め有効活用ができないかも考えるとよいでしょう。「空き家パス」では、全国の空き家の買取を数多くしてきました。空き家買取のノウハウがあるため、手放したい土地や売却に悩んでいる方はお気軽にご相談ください。