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更地の固定資産税は高い?安くする方法と計算方法、空き家との比較を解説

更地の固定資産税

空き家の処分について不動産会社に相談すると、空き家を解体し更地にして売却を提案されることがあるでしょう。しかし、更地は固定資産税が6倍になるという噂を聞き悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際には、空き家(建物)を解体して更地にしても固定資産税は6倍にはなりませんが、3〜4倍高くなるのが一般的です。また、解体費用も念頭に入れる必要があります。
この記事では更地の固定資産税の計算方法や高くなる理由、固定資産税を安くする方法、空き家の処分方法を解説します。

この記事で分かること

  • 更地の固定資産税の計算方法
  • 建物(空き家)が立っている場合と更地の固定資産税の比較
  • 更地の固定資産税が高くなる理由
  • 固定資産税を安くする方法
  • 空き家の処分方法

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そもそも更地とは?

更地とは
更地とは住宅や家屋といった固定資産などがなく、さらに敷地に対し借地権や抵当権といった活用が制限される権利の付いていない土地のことです。つまり、一般的に土地活用できる土地や住宅用地で建物が建っていなければ、ほとんどのケースで更地という扱いになるといえます。
ただし、建物がなければ必ず宅地になるというわけではなく、山林や沼地といった地目になることもあります。

なお、更地にするための空き家の解体費用についてはこちらの記事でわかりやすく解説しています。
50坪の家の解体費用相場は?内訳から費用が高くなる6つの原因や安く抑える方法も解説

更地の固定資産税の計算方法

更地の固定資産税は、課税標準額(固定資産税評価額)を知ることで計算できます。

更地の固定資産税 = 課税標準額(固定資産税評価額) × 税率(1.4%)

なお、更地の固定資産税評価額は地価公示価格の70%ほどが金額の目安です。

更地の固定資産税評価額 = 地価公示価格 × 70%

固定資産税の計算方法

土地の固定資産税は「住宅用地」か「非住宅用地」かで計算方法が異なります。更地は「非住宅用地」に該当し、計算方法は先述の通りです。
一方、土地に空き家など建物が立っている場合は「住宅用地」に該当します。住宅用地の固定資産税は、固定資産税標準額に一定の係数がかけられて安くなるため、固定資産税が軽減されます。

住宅用地の固定資産税 = 課税標準額(固定資産税評価額 × 一定の係数(1/6または1/3))

この「一定の係数」は住宅用地の広さによって決まり、「小規模住宅用地の特例」が関わっています。特例については次で解説します。

固定資産税が安くなる小規模住宅用地の特例とは?

小規模住宅用地の特例は、小規模な住宅用地について、固定資産税・都市計画税の課税を軽減する措置のことです。
専用住宅の敷地に供されている土地について、面積200平方メートル以下の部分に対する標準課税が、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は3分の1にそれぞれ軽減されます

区分 面積 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 固定資産税評価額 × 1/6 固定資産税評価額 × 1/3
一般住宅用地 200㎡超の部分 固定資産税評価額 × 1/3 固定資産税評価額 × 2/3

このように建物が立っている土地は特例が適用されますが、更地の場合は適用されず固定資産税の満額を支払うことになります。
小規模住宅用地の場合固定資産税は6分の1ですから、更地は固定資産税が6倍になるといわれることがあります。建物の分の固定資産税がかからなくなりますが、それでも全体で3〜4倍になることが一般的です。

特定空き家に指定されると小規模住宅用地の特例が受けられなくなる

固定資産税の軽減措置として重要な小規模住宅用地の特例ですが、だからといって空き家を放置すると固定資産税が高くなる場合があります。空き家が「特定空き家」に指定された場合です。

特定空き家とは、適切に管理されず保安上・衛生上・その他環境保全上のリスクがある空き家です。特例が適用されず土地の固定資産税が最大6倍になるほか、50万円以下の過料、行政代執行などの罰則がかかります

空き家放置で増税される?固定資産税が6倍になる理由と対策を解説

実家の空き家を相続したが遠方で管理できない、空き家の活用方法が決められないといった場合には、そのままの状態で空き家を取り扱っている不動産会社に売却してしまうのも一つの方法です。

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更地と住宅用地の固定資産税がいくらになるかシミュレーション

固定資産税の計算方法を説明してきましたので、実際にいくらになるのか例を用いてシミュレーションを行ってみましょう。

土地面積が200㎡以下の場合の固定資産税

敷地面積が200㎡以下の土地を例に、更地の場合と建物が立っている場合の固定資産税を計算します。
敷地面積が200㎡、土地の価格が1,500万円とします。

更地の場合の固定資産税の計算

更地の固定資産税は課税標準額(地価公示価格×70%)に税率1.4%を乗じることで計算できます。

更地の固定資産税

    課税標準額 = 1,500万円 × 70% = 1,050万円
    固定資産税 = 1,050万円 × 1.4% = 14.7万円

建物が立っている場合の固定資産税の計算

建物が立っている場合には、住宅用地の特例が適用されるため以下の計算になります。

宅地の固定資産税

    課税標準額 = 1,500万円 × 1/6 = 250万円
    固定資産税 = 250万円 × 1.4% = 3.5万円

つまり敷地面積が200㎡以下で土地が1,500万円の場合、建物が立っている場合に比べ、更地の固定資産税は4.2倍高くなります

土地面積が200㎡超の場合の固定資産税

敷地面積が200㎡超の土地を例に、更地の場合と建物が立っている場合の固定資産税を計算します。
敷地面積が300㎡、土地の価格が3,000万円とします。

更地の場合の固定資産税の計算

更地の固定資産税は課税標準額(地価公示価格×70%)に税率1.4%を乗じることで計算できます。

更地の固定資産税

    課税標準額 = 3,000万円 × 70% = 2,100万円
    固定資産税 = 2,100万円 × 1.4% = 29.4万円

建物が立っている場合の固定資産税の計算

建物が立っている場合には、200㎡以下の部分と残りの100㎡の部分で課税標準額が変わります。

宅地の固定資産税

    200㎡以下の部分の課税標準額 = 3,000万円 ×(200㎡/300㎡)× 1/6 = 約333.3万円
    200㎡超の部分の課税標準額 = 3,000万円 ×(100㎡/300㎡)× 1/3 = 約333.3万円
    固定資産税 =(333.3万円 + 333.3万円)× 1.4% = 約9.3万円

つまり敷地面積が200㎡以下で土地が1,500万円の場合、建物が立っている場合に比べ、更地の固定資産税は3倍以上高くなります

更地の固定資産税が高い理由

これまでに解説したように、更地の固定資産税は建物が立っている場合と比較して高くなるケースがほとんどです。
建物の固定資産税がない分安くなると考えがちですが、建物を解体し更地にしてしまうと「住宅用地の特例」が適用されなくなることがその理由です。
また、家の解体には高額な費用がかかります。建物(空き家)を解体して更地にする場合は、解体費用や高くなる固定資産税なども考慮した上で計画的な活用プランを考えるようにしましょう。

更地の固定資産税を安くする方法

一般的に、更地は建物がある土地よりも固定資産税は高くなるため、軽減措置などを使って固定資産税を抑える方法を知っておきましょう。
また、建物を残しておくことで複数の節税方法を利用することができます。

1月1日以降に建物を解体する

土地の固定資産税は1月1日の状態で決定されます。そのため1月1日時点で建物が立っていれば、その後更地になってもその年は住宅用地の特例が適用され固定資産税が安くなります。

農地に転用する

更地と宅地にするのではなく、農地として利用することで固定資産税の評価額を抑えることができます。なお、どのくらい抑えられるかは土地の面積によって異なります。

省エネ改修促進税制を活用する

省エネを目的としたリフォームもしくはリノベーションをした場合、延べ床面積が120㎡の範囲において家屋の固定資産税を1/3にすることができます。

バリアフリー改修促進税制を活用する

バリアフリー改修を目的としたリフォームもしくはリノベーションをした場合、延べ床面積が100㎡の範囲において家屋の固定資産税を1/3にすることができます。

耐震改修促進税制を活用する

耐震工事をした家屋の場合、2年間家屋の固定資産税が1/2となります。

長期優良住宅化リフォームを活用する

長期優良住宅となる改修工事を行った場合、翌年の固定資産税が2/3となります。ただし、耐震改修もしくは省エネ改修を同時に実施することが条件です。

空き家を更地にせず活用する方法

空き家を取り壊して活用する方法として駐車場経営が人気です。メリットデメリットがありますのでこちらの記事を参考にしてください。
空き家は駐車場にした方が得?メリット・デメリットを解説

また、前の章で解説したようにリフォームやリノベーションを行うことで空き家を活用し、さらに固定資産税の軽減措置を受けることも可能です。

空き家をそのまま売却するのもおすすめ

固定資産税を抑える最も良い方法は、空き家を更地にせず売却するという方法です。
活用方法が無いと思える空き家であっても、投資家や田舎への移住をしたい人にとっては魅力のある物件ということも多くあります。所有権を放棄する代わりに空き家と土地の管理を第三者に譲渡することで、固定資産税の支払いから逃れ譲渡益も得ることができます。

空き家の活用には普通の不動産とは違った工夫が必要なため、売却するなら空き家を専門に扱っている不動産業者がおすすめです。このような空き家専門買取業者は買い取った上で活用するノウハウがあるため、一般的な不動産仲介や不動産会社に比べてスピーディーに高く買い取ってくれる可能性があります。

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空き家パスは「古すぎる」「接道条件が悪い」「家の中に家具が放置」などの他で断られた物件でも、数多くの買取実績がある空き家買取サービスです。
空き家の処分・活用方法にお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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よくある質問

ここからは、更地の固定資産税に関してよくある質問にお答えします。

土地の固定資産税は減価償却の影響を受ける?

減価償却とは、経年劣化によって減少する資産価値を各資産の耐用年数に応じて各事業年度の費用に配分することです。そのため、一戸建てやマンションの固定資産税を計算する場合には減価償却を考慮する必要があります。一方、土地については償却資産という位置づけではないため、所有期間に限らず経年劣化しないことになります。このことからも、土地の評価額は年月の影響を受けないといえます。
ただし、土地価格の高騰や震災による下落といった影響を受ける可能性は高いことから、活用や売却のタイミングには注意が必要です。

土地改良費と固定資とは何ですか?

農地を所有している場合、固定資産税とは別に土地改良費という費用が発生します。この費用は土地改良法第36条にて徴収が認められている費用のことで、農地や農業用水路などの農業水利施設の維持管理に使われています。つまり、土地改良区にある農地の場合は固定資産税以外にもかかる費用があることを知っておく必要があります。
なお、市街化区域の土地については固定資産税の他に都市計画税がかかり、総務省では「都市計画事業や土地区画整理事業を行う市町村が、都市計画区域内にある土地や家屋に対して、その事業に必要となる費用に充てるために課する税金」と定められており、評価額の0.3%が課税されます。
このことからも、土地を保有している場合には固定資産税以外の費用についても負担分を分を把握しておくべきです。

更地の固定資産税の申告が必要になるのはどういった場合ですか?

原則、土地や建物の固定資産税に関する申告は不要ですが、以下の場合は申告が必要となります。

  • ・更地に住宅を新築した
  • ・店舗などを住宅に改築した
  • ・店舗と住宅の併用建物において、居住部分とそれ以外の部分の床面積に変更があった
  • ・住宅をリフォームし、住宅でなくなった
  • ・土地の利用状況を変更した
  • ・建物を解体した
  • ・敷地内の住宅戸数が変わった

上記の条件にある通り、更地に住宅を建築した場合には一定の手続きが必要となります。

必要な書類と手続き

申請には住宅用地申請書の提出となり、各市区町村に提出することになります。なお、書面については諸管轄庁において異なるため、注意が必要です。

申告の期限と注意事項

固定資産税は1月1日時点の所有者とその利用用途に対して課税されることから、用途に変更があった場合には速やかに申請する必要があります。この期限については市区町村によって異なりますが、おおむね1月末までであることが多いです。そして、この期限を超えて申請しなかった場合、固定資産税の追徴課税が発生する可能性があるため注意が必要です。

更地の管理にかかる費用はどれくらいですか?

更地の管理には固定資産税の他に、都市計画税や土地改良費、上下水の基本料金などがかかります。しかし、やむを得ない事情によりこれらの管理費が支払えない場合、市区町村に進行することで支払いの猶予、もしくは免除となることもあります。
そのため、利用していない更地を所有している場合は、市区町村に相談するのがおすすめです。

更地の固定資産税の税率と支払い方法を教えてください

固定資産税は自分で計算することができ、そのためには評価額と税率を把握しておくことが重要です。また、支払い方法はいくつかあり、納付書を使ってコンビニでの支払いやクレジットカード払いがあります。

現行の税率とその計算例

固定資産税は評価額に対して1.4%を掛け合わせることで算出することができ、たとえば3,000万円の評価額であれば42万円となります。これに対し、「住宅用地特例」による200㎡以下の小規模宅地を適用することで評価額を1/6にすることができ、この場合だと7万円となります。
このように、特例を利用することが重要といえます。

所有者負担の原則

固定資産税は原則、所有者が負担することになります。そのため、賃借権や抵当権といった他の権利と相殺や転用することはできず、納付書を受け取った所有者が支払うことになります。
万が一滞納した場合、延滞金の発生や更地の差し押さえというケースも考えられるため、固定資産税の支払いには注意が必要です。

まとめ

更地の固定資産税は建物がある土地よりも高くなる傾向がありますが、軽減措置を利用することで税金を抑えることができます。
ただし、更地にせず空き家として有効活用する方法もあることから、空き家がある土地を所有している場合は更地にする前に不動産会社へ相談し、活用方法の提案を受けることをおすすめします。

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この記事の監修者 高祖広季

株式会社ウィントランス 代表取締役 高祖広季

空き家パスを運営している株式会社ウィントランスの代表です。日本の空き家問題を解決するため空き家専門の不動産事業を展開中。「空き家パス」と「空家ベース」というサービスを運営しています。これまで500件以上の不動産の売買取引に携わってきました。空き家でお困りの方の力になりたいと思っています。

       

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